本物のお好み焼きって・・・

お好み焼きには二つの顔があります。
お店で食べるそれと、持って帰ったり縁日で食べるそれ。
この二者の間には大きな差があるのですが、このあたりが最近感じられなくて・・・
 
広島焼きと、大阪お好み焼きは多くの部分で異なります。
前者はクレープのように広げた生地の上にキャベツを盛りだくさんに乗せて反対側にも薄い生地の皮を作りキャベツを挟み蒸した食べ物です。
向こうが見えるほど薄いきじが焦げてなくならないのは、キャベツからふんだんに出てくる水分があ常にその記事を冷やすので焦げずに出来上がります。
蒸されることにより甘くなったキャベツの味に、そーすや調味料が最後まで混ざらずに食べられるという重要な点を記事は発揮してくれるわけです。
最もおいしい虫キャベツを食べる料理の一つだと思います。
自分で味を簡単に調節できるわけですから。
ただ、粉ものという部類から考えるとどうなのでしょう?
 
後者となるお好み焼きは少しイメージが違います。
生地となる水溶き小麦粉を最初からキャベツに混ぜて焼き始めます。
すべてをキャベツに塗りつける必要はなく、所々にむらがあってもOKな結構ルーズな混ぜ方でもOKです。
そして、かき混ぜたキャベツと生地を一気に鉄板の上に広げます。
製法からわかってもらえるように、キャベツの量が少ないことと 生地の量が多いことは間違いありません。
キャベツに関してもこれは一概には言えませんが お好み焼きに比べて広島焼きは細く細かく切る傾向にあります。
 
ではお好み焼きを焼く工程をもう一度 一からみてみましょう。
だいたい注文してから店では入れ物にキャベツを入れて、その上から生地を入れて アルマイトや鉄でできたかなり大きめなマグカップのような入れ物に入れて目の前まで持ってきてくれます。
そう、基本はテーブルにセットされた鉄板で焼くようになっています。
厨房で焼いて持ってくるやり方はあまり感心できたものではありません。
注文を受けてから生地をかけるのはお客の注文に合わせての量の調整が必要になるという事もありますが 先にかけてお客を待っているような店は遠慮することが基本です。
昔は 注文を聞いてからキャベツを切ったものなのですが これは最近では一流店でも見られないので期待のしすぎですが 先に生地をかけるとキャベツの水分の多くが生地を薄めてむらができるのもさることながら、キャベツが知らない間に端からしなしなに
このあたりは基本中の基本です。
 
サンプルは基本中の基本で 豚玉です。
豚玉は、豚バラ肉だけが具のストレートなお好み焼きです。
これが基本であることは焼いている最中に分かっていただけると思います。
まず、豚バラ肉を鉄板の上に広げます。
そして、その肉が焼ける前に急いで生地とキャベツを混ぜます。
ここでひとつ言ってはいけないセリフが
「キャベツがこぼれているって!!」なんてお店の人には決して言わないこと。
言ったところで怒られるわけではないのですが、おそらく冷たい眼差しで力いっぱい睨まれることでしょう。
そして、いつもより二割は間違いなくなぜかまずいお好み焼きが提供されることでしょう。
こぼすのが行儀が良いとは言いませんが、こぼすほど生き良いよく混ぜることも大事なのです。
毀れたキャベツには殆ど生地が付いていないことがポイントです。
その状態で、豚バラを中心に記事を一気にあけます。
そして、かき混ぜているのにつかっている 柄の長いパフェなどに使うスプーンでこぼれたキャベツも集めて丸い形に成型しなおします。
この丸い形に関しては、楕円形に広げる名店もありますが基本は円形です。
具の多さなどにもよりますが、そんなに大きくなく20cm超というところでしょう。
あつみはこの時点では多くの店が1cmぐらいを保っています。
ちなみに、これはお店用で お持ち帰り用や屋台の物としては厚すぎるので このあたりはご注意を。
 
丸い形が出来て、しばらくすると湯気が多く上がりだして タイミングを同じくして生地が周りにこぼれ出します。
生地が多すぎるのは店用としては向かないので 2〜3cmぐらい 何か所からかこぼれ出すぐらいでしょう。
そしてこれは始めて使うこてで変形の中に集めてください。
あまり神経質になる必要はありません。
適当で・・・・
というかいっぱいこぼれすぎるようなら、焼けるまで待ってこてで切り離してしまいましょう。
粉っぽい食感が出るので、無理にお好みの中に戻さないようにしてください。
 
もともとジャンクフードなので手間のかかるようには出来ていません。
毎日使い込んだ鉄板であれば、すでに油もしみ込んでいて ちょっと油が引いてあれば焦げ付くことはありません。
バラ肉をそれも安いものを使ったので実は油の塊で見た目ほどには肉はなく 溶けた油がちゃんと鉄板に広がるという非常によく出来た仕組みになっています。
先に肉を引くことで油をひく手間を省いたわけなのですが、そこまでひどい肉が最近はつかわれなくなったので 先に油をひくことになります。
あまり、高級な油を使うと肉の味と油の味がアンマッチになるので サラダ油ぐらいが妥当なところです。
肉を一番下に引いているので、焼いている最中にも油が供給されてお好み焼きの下に油がにじみ出ていることも確認できることでしょう。
そして、このにじみ出しがポイントでにじみ出すようになったということは生地が既に固形化し始めているということ。
水蒸気の中に立ち上る油の煙を感知するのはズバリ嗅覚です。
まあ、適当でも何とかなるのであまり気を遣いすぎないこと。
うま味を増すために よく山芋などが入っている物の場合 油のにおいが立ちあがらないこともあるのでそこには注意。
 
さあ、ここは大きなポイントです。
こてでひっくり返します。
基本的に平らに見えるほどの なだらかな山型に焼きあげられているので中心の部分がこてに乗っていれば簡単にひっくり返すことができるわけですが出来ないということは何かおかしいポイントがあります。
厚めの鉄板を使っていれば火の通りは均一になるためにそんなに難しいことはないのでしょう。
ひっくり返したときにあちこちに小さな穴があいていて そこから少しだけ水蒸気が漏れている程度が普通です。
罅が入っていたり大きな穴が何か所もあいているようであればだめでしょう。
焦げすぎているのも駄目です。
 
ひっくり返す前に、エビやイカのような具を入れるのですがプレーンな豚玉なのでその作業はありません。
モダンの場合 別に焼いたそばを乗せてひっくり返します。
お好み焼きの縁はあちこちからキャベツがはみ出ています。
毀れるようにかき回したキャベツは なかに大きめに空気が混ざっていること。
ゆえにいくら背が高かっても自重で平らになります。
無理にたたく必要は無いようです。
蒸される工程は同じでも、粉ものにしては軽い食感が得られるわけです。
今見えている豚肉の周囲で細かい油の泡が立っているぐらいがよい感じでしょう。
 
ここからは焼きあがるのを待つだけなのですができるだけ触らないようにしましょう。
こてで刺したりは厳禁です。
こういう製法で出来上がったものは、中の部分がかなり柔らかいものになります。
この状態が実は大事なのです。
 
お好み焼きの食べ方は、鉄板の上からちいさなこてで切りながら食べるのが大阪では基本です。
切りながらそのこてでそのまま口に運びます。
これができないと大阪では一人前扱いされないものです。
食べ終わるまでにかかる時間が重要で、食べている間も鉄板の熱で少しずつ焼けてゆくので あったかいというより熱いまま食べることができます。
その逆に、食べている間に焦げてゆくわけです。
なかがやわらかくジューシーなお好み焼きは、そのまま食べ終わるまでなんとか焦げ付かずにお好み焼きをやわらかく焦げ付かないように保ってくれるわけです。
もちろん、粉の重たさがやわらかければ増すのでこのバランスが大事なところ。
 
持ち帰り用は薄く焼けたお好み焼きで、このまま冷えればべたべたのお店用のお好み焼きは持ち帰りできないからなのです。
ゆえに、お店のお好み焼きはうす味が基本で 醤油とウースターソースを混ぜたものを特製ソースとして提供している名店もあることでもわかるでしょう。
粉の鰹節なども入れたりしますが、基本的にジューシーな食感と薄味でなければキャベツの甘さを舌が感じることはできないわけです。
濃厚ソースにマヨネーズで、キャベツの繊細な甘さが感じられるほど性能の高い舌は持っていないのでうす味が基本でしょう。
ぎゃくにお持ち帰り用は そーすのあじが強くないとおいしくいただけないものです。
おなじお好み焼きでも 食べ方によって大きく違う部分です。
 
すべてのお好み焼きがこういったポリシーにのっとって作っているとは思いませんし、こうでなくてもおいしい店は数限りなくありますのでそれだけを信じるのはむちゃくちゃ危険ですが こういった見方もあるわけです。
おいしい不味いは 人によって違いますが、おいしくいただけるかもしれないぽいんととしてはどうでしょうね?
ちなみに こては大阪ではてこという場合が多いのですが 話としては分かりにくいので こてで統一したはずなのであしからず。