被災地でない方に聞いていただきたい

もし、私に少しでも文才というものがあるなら できれば今日にすべて使い尽くしてでも書いておきたいことがある。
タイトル通り被災地にいらっしゃる方には とても失礼なのでできればお許し願いたいと思う限りなのですが 感情のコントロールができないので許していただきたいと思います。
自分の恥をつらつら書くわけですから 身を削っているということで。
今までもそれなりに色々なトラブルに会っているのは この日記を見ていただいている方なら間違いなくわかられるだろう。
大阪人の特性なのか何にでも落ちをつけないと気が済まないので それなりに肝を冷やしても 何事もなかったかのように面白おかしく書いてきたつもりではあります。
アメリカの時のようにいくつかの例外を除いてなのですが・・・・
 
私は一生忘れないだろうが 2011年3月11日 金曜日に塔、今日ビッグサイトにいた。
展示会としては 先週土曜日から6日目で、この展示会は搬入も含めると4日目。
今日か明日には帰れると とりあえずほかのブースでも見ておこうかと ビッグサイトの西館から東館を見学して回っていた時の事です。
災害用のトイレの説明などを聞いて そこから少し離れたときです。
大型トラックに重機を積んでもそのまま入ってこれる 背の高いシャッターから
「バン! バン!」
と何かが当たる音が聞こえました。
その時はさほど焦ったわけでもないわけです。
時間は15時直前で、16時に展示会は終了して 搬出を始めるためにシャッターの向こうでは数十台、もしくは百台を超える大型トラックがシャッターの向こう側にはいつでも入れるべく待機をしているのです。
突き破ってきたことはないのですが、シャッター前で待機するときに ちょっとした手違いでぶつかるようなこともあるわけで 実際そういったことを見たこともあったのです。
今回は既に二度も聞こえており、当たり方は尋常じゃなく 何かの操作を間違えて突っ込んでくるのではないかと その瞬間に体が動こうとする。
シャッターを突き破れば 正面にいるとはじけたシャッターや機材が飛んで来たりしては大変な惨事になりかねないので せめて自分の身だけでも守りたい私は飛びのこうとしたわけです。
 
足腰が弱っているのは 普段座りっぱなしの私が立ち仕事を続けているのですが解っていたのですが それにしても体が動かないことにはびっくりしたわけです。
足を踏み出そうにも 踏み込んだ足が急にふみ代を失ったかのように そして伸ばした足に 地面から押し出されて膝がその入力に耐え切れず がくんとひざから崩れて行きました。
それでも まだまだ若いつもりでなんとか踏みとどまったが、そのまま動くことは諦めた どうにもわからない違和感が自分の体にあった。
せめて突き破られたときに何とかよけようと思ってシャッターを見るとたぶん10mぐらいの高さがあろうかというシャッターが まるで薄紙でできた暖簾が風に揺れるかのように波打っている。
既にその異常さは理解を超えたもので 体が全く動かなくなった。
金縛り状態と言っていい状態だった。
金縛りをといたのは 恥ずかしいことだが自分の意志の力などではなく 女性の空間を切り裂くかのような悲鳴であった。
そこまで来て ようやく体が動いた。
私より地震に慣れていると思われる 東京の方々は既にシャッター脇の出口の方に向かっていた。
場所が良かったこともあって その方々に追いつくほどの勢いで私もそこに向かった。
そこから出さえすれば助かるという事はなかったが、ここにいると必ず押しつぶされると 体が反応したのです。
 
表に出ると 後ろから追い出されるかのように そのまま前へ前へ・・・・
直後におそれたのは前にも書いた 並んでいるトラックたちの事。
私の眼には動いているのか止まっているかの判断もつかなかったわけです。
冷静に考えれば、どの車も動けないほどに パズルで組み合わせたかのように 並べてあるわけですから1m程度ぐらいしか動く余地はない訳です。
しかし、トラックは上下に大きく揺れているのです。
高速道路を走っているほどの上下感で。
その場にへたり込みそうになるのを 冷静な自分が見ていて 奥に進み外からの侵入を防ぐためにある金網前にある植込みの前まで進んだところで足を止めた。
また、そのまま動けなくなって今度は 男性の叫び声で正気に戻る。
驚くべきセリフは「フジテレビが燃えている」なのである。
野次馬根性であはあるのだが、危険に身をさらしているときに止まっているという事が 安全と分かっていても出来ない事だ。
 
東館とから中央のロビーまでの通路の所にはテラスのようなところがある。
建物中に入ることは怖すぎてできなかったが あそこぐらいなら大丈夫だろうと人をかき分けて上がった。
人込みを通り抜ける際に、携帯電話でワンセグテレビを見ている人がいるのを見て SmartPhone持ちは 全く駄目だな・・・なんて思いながら通り過ぎた。
実際i-Phoneを持っている人はパケットも通らない状況で手も足も出せていなかった。
階段途中で気が付いたが私のLynx 3Dがワンセグ機能つきだという事を思い出し
「国産万歳」と叫びたい気分で付けてみると そこは信じられない光景が映っていました。
いまだ、宮城県というより まだ、東京の情報でした。
お台場で火事が起きているというもの
確かめるでもなく テラスに上がれば黒い煙が空に墨汁を流すかのように広がっていた。
 
一番不安を煽られるのは テレビから聞こえてくる情報で
「海沿いの人は津波が来る可能性があるので 離れてください」と、声がかれるほどに叫んでいるのですが
ご存じでない方のために書くと、ここは埋め立て地で周りは海である。
本当にm単位の津波が来れば 一撃である。
高い建物っと言えばこのビッグサイトだが、私は普段でもこの建物には入りたくないのです。
設計も強度も正しいとは思うのですが 4本の柱で大きな構造物を支えている建物で 津波なんかが来ようものなら、そして柱に何かのたとえば船のようなものが当たろうものならそのまま崩れてしまうのでは・・・なんて思って近づけないわけです。
叫ばれれば叫ばれるほど恐怖感は増すわけです。
 
自分の保身しか考えていない私はすっかり忘れていました。
年を取っている分私は同僚3人よりは 星を沢山持っている階級なので ようやく仕事を思い出す。
彼らを助けなければ・・・・
一人少しでも安全な地に立ち という状況に職場人としての意識がむくむくと起きたわけです。
自分だけだと思うと一歩も動けなかったあしが、ようやく前に動いてくれた。
動き出すとじっとしてられないので 小走りで東館から西館までの距離を移動した。
それでも確か外を通っていたように思う。
西館は少し低い位置にあって 水面に非常に近い高さなのだが そんなことを言っている場合ではない。
3人中二人をそこで見つけて 状況を確認する。
最も多くの情報を握っているのは私で、展示会の係員が展示会場からの退出を叫んでいた。
正直ほっとした。
搬出の作業を始めようとしていた同僚たちに ここで作業を一緒に行うなど怖がりの私としては続けたくないのです。
1秒でも早く高いところに行きたい私に対して 二人は作業を優先したかったようである。
係員の言葉に従うべきだと、安全第一と 会社としてとか話して退出を促す。
そして、一緒に微妙な場所ながら高いところに座り込んでコーヒーを飲み始めた。
口の中がカラカラだという事に気が付き、お金を渡して買ってきてもらった。
実はここに至ってようやく自信であると認識しているのでした。
実際あまりにも衝撃が強すぎて 揺れを感じてなかったのです。
驚きがひどすぎて 気分が悪くて いや、眩暈も吐き気もこの時点で誘発しているのでそれも嘘ではないが 揺れを感じれたのはここに入ってからです。
 
そのあと1時間ほどの空白があり
その間にWiMaxを起動して Skypeでの接続に成功し 何とか多くの連絡をこなすことができた。
パケットも通ったので 他の人のキャリアメールではない私は連絡のほとんどを 一人で賄った。
その間に トイレに行って緊張感でおなかが痛くなり 何とか走り込み。もう一度出かけて 吐いたりもした。
何も出ないのは、お昼ご飯を遅く設定していたのだが 食べる直前に揺れがあって 6時になるにもかかわらず何も食べていなかったからである。
ただ、見栄っ張りなのか 彼らの前ではそんなそぶりを見せないことには成功していた。
ようやく許可が出たところで下に降りれば またもや吐き気で、おそらくいまだ洪水に怯えていたのでしょう。
そして、とにかく手の震えを抑えながら片づけを手伝った。
1時間ほどで大半が終わったものの、どうしても余震が続く状況で脚立に乗った高所作業は許可されない。
それでも一刻も早くこの場を去りたい私はふみ台を用意して、しがみつくように作業を継続し 足の上にガラスのシャンデリアを落としながらも(今も傷は残る かすり傷ですが)何とか途中まで終えた。
シャンデリアは再起不能なぐらい割れたが 箱詰めして持って帰ることにはした。後で謝らねば・・・・
 
あと3mの高さにある構造物はとれなくて工事業者の作業を待つことにした段階で 私一人で逃げました。
行為としては正しい判断だったのですが 気持ちとしては逃げたのです。
虫の知らせとしか言えない予約を昨晩入れていたのです。
泊まったことのないビッグサイトに最も近いワシントンホテル
部屋を確保しに行くと 現場を離れたのが7時過ぎ。
もうここには理由さえつけば一瞬もいたくなかったので自分の荷物を持ちカウンターにチェックイン。
ホテルに行く道の両脇には、私ですら寒いと思う環境の中 行き先を失った人たちが座り込んでいます。
ホテルに入るとその密度はもっと上がって 人ひとり分の通路を残して 座り込み、寝て、頭を抱えている人たちでいっぱい。
ホテルのフロントには なだめすかしながら部屋をよこせと頑張っている人で混雑しているものの これだけの人達がその努力をしてない訳もなく たとえこの状況では予約が無ければ国会議員でも止まれなかっただろうと思われる状況。
恐る恐る、
「予約してある・・・・」と言い出せば ホテルのフロントの人はほっとした笑顔の表情。
それだけここまでの対応の疲れの見える顔。
そして、座り込んでいる人からは 何とも言えない視線を感じた。
この時も同僚の事を気持ちの上では利用した。
私は他の二人に対する責任があるから 断固とした態度で挑まざる得ないと。
8階の部屋だったが、エレベーターは止まっていて 非常階段を一週間分の荷物を持ってあがった。
その途中で気になるのは 上からぱらぱら落ちてくる 細かい砂のような粉。
非常階段なのだが、そこから見える階の床にあたる場所の軽量コンクリートの罅らしきもの。
正常な精神状態であれば、地震なんかなくてもよく割れているところで構造とは関係のないところなので 何という事はないと説明できるのだが この時の精神状態ではこの建物の安全状態など確認できないわけです。
そして、ヘルメットをした作業服の二人が首を振りながら下りてきて もっと恐怖感が漂う。
そして、普通の建物では12階分ぐらいの高さの(1〜4階ぐらいは天井が高いので 1階が長い)階段を上り部屋についた。
 
部屋について驚いた。
部屋は揺れているのです。
怖くて、また気持ちを同僚を迎えに行かないといけないからと 飛び出した。
8階を降りて、食料を買って迎えに行くといつの間にかどこかに消えてしまった。
展示会場、ホテルとすべてを回っても見つけられない。
しょうがないのでホテルに帰ってまた8階上がって部屋に入るものの、10分と怖くていられない。
また外に出てと 連絡を取ったりと作業はしたものの また探しに行くと4回繰り返した。
5回目直前で 足が動かなくなった。
階段の上り下りに足がついてこないのである。
階段を上っている最中に 膝が横に動いて 体が上がらなくなった。
もう、降りたらここまで上がれない 涙が出たがもうどうにもならないのである。
 
部屋の怖さはここにいる人しかわからないでしょう。
水が来た時の音って皆さん知ってますか?
もちろん、本では知っています。ものを巻き込みながらやってくるので ごーっと地響きのような音がすると聞いている。
そのゴーッという音と、エアコンのモーターの唸りと私には区別がつかない。
エアコンを消した。
服は脱げない、脱ぐともしか何かがあった時に出られない。
部屋のドアは、閉められない もし同僚が着たらと思うと・・・・と言っていたのですが それもしめた。
じっとしていると部屋の天井が揺れるのです。
そしてみしみしと音を出しています。
トイレのドアと、部屋のドアはその動きに合わせて動くのです。
テレビは切ることができない。
チャンネルは数秒単位に変える。見てられないが 何らかの危険情報には反応したい。
そして、最も怖かったのがほかの部屋の人の動き。
普通でもほかの人が 動いて音がするとびくびくするときがあるのですが、一人は貧乏ゆすりが止まらないのかずっとこんこんこんこん 続いている音。
時折、切れるのですが 揺れが始まると またこんこんこんこん。
もう一人は 驚くほどの回数おそらく壁を殴っている音。
ずっと、ずっと・・・・・
そして、それを静かに音も出さずに堪えている私・・・・
 
全く、本当の被災地ではない私がこんな状況でした。
寝る場所どころか 屋根の上で助けを待っている人などは 考える余裕もないでしょうが どんな状態だろう。
もし、助かって考える余裕ができたら 正気に戻ることができるのでしょうか?
私なら無理かもしれないと・・・・
私はきっとこの日の事を忘れることはないでしょう。
この恐怖も。
帰ってきて ほとんど自身関係のニュースを見れていません。
地震速報のお知らせ音が鳴ると 今でも心臓が止まりそうな衝撃が走ります。
本当に怖かったのです。
何ができるかわかりませんが 何をしなければならないのかわかりませんが
全然被災地でない私ですら怖い思いをしたのです。
いま、被害にあっている人に 思いを巡らせる時間を作ってあげてください。
テレビの報道なんて、気持ちは伝えてくれないと私は思います。
正直、報道ヘリの音が救出に邪魔になるという話もありますが、あれが飛んでいる限り 助かるかもしれないと
気持ちが折れたら負けだと私は思います。音が聞こえている限り 助かるという気持ちを維持できるかもしれないという意味では 私には助かった音です。
最後は何を言っているかわかりませんが、命と心をどうすれば助けられるか
自分の心がどうすれば治るかを 








written by HatenaSync