伊藤探偵事務所の混乱 11

erieriさん:「海兵隊でも来る予定だったの? げっぷ あら、失礼」
arieさん:「何で、あたしまで食べなきゃ駄目なの?」
「arieさんも一口乗るんでしょ?」
arieさん:「これは仕事よ 仕事」
「依頼主もいないのに?」
arieさん:「明日には、依頼主がやってくるわ」
「えっ、僕の物なのに何で?」
arieさん:「正確には既に貴方のものでない。そして、彼女のお父様から依頼が来るって訳 だから、もう食べなくてもいいでしょ」
「そうだったんですか、それで後で取りに来るって言っていたんですねKAWAさんは」
arieさん:「そう、そして私は明日のためにメンバーを集めに帰るのよ」
「じゃあ、僕も・・・」
arieさん:「これはどうするの?」
「そりゃー、片付けといてもらわないと。」
erieriさんを一人残してホテルを出た。
arieさん:「ところで、あの部屋いくらか知ってる?」
「いいえ、いくらなんですか?」
arieさん:「恐らく 一泊と食事代も含めると300万円ぐらいじゃない?」
「そんなに高いんですか?」
arieさん:「あたし、今日彼女に名刺配っちゃったから 明日になったらきっと怒ってくるわよ」
「じゃあ、戻ってお金を払わなきゃ」
arieさん:「いいのよほっとけば、何とかすると思うわ」
事務所に帰ったら、所長と西下さんは座って待っていた。
所長:「何か引っ張ってきたんだって」
「はい、すいません」
西下さん:「謝ることは無いよ、今日一日で 100億円ぐらい儲けたんだから」
所長:「実はいなくなるかと思っていた」
アメリカ人があきれた時に取るような 両手を肩の前で開いたポーズを取って言った。
西下さん:「所長はいつもこうやって新人を試んだ。このままお金を持ってやめてもきっと一生慎ましやかになら食べていけるって。」
arieさん:「そう、このまま逃げれば 約10億円を持って 安楽な生活が待っていたのに」
「そうだったんですか 考えもしなかったです」
arieさん:「逃げるどころか、仕事を拾ってきたみたいよ」
西下さん:「それもスペシャルなやつ」
所長:「ようこそ、我が以東探偵事務所へ」
「はい?」
arieさん:「ようやく正式採用って訳よ」
「今までは?」
arieさん:「お客様期間 なんで、所長がこんな子連れてきたか判らなかったわ」
西下さん:「今回は、所長の勝ちって事ですね」
所長:「じゃあ、今日はゆっくり寝て 明日の依頼を待ちましょう」
arieさん:「はい、解散!!」
「それだけですか?」
所長:「そんなに働きたいんだったらいいけど、西下君の邪魔はしないようにね」
arieさん:「明日まで動きは無い、誰かが渡しちゃったから分析も出来ない つまり手の打ちようが無いってこと。だからとっとと寝る! 明日は朝からうるさいのが来るんだから」
「それなんですけど、KAWAさんからメールが来ています」
PDAに表示されたスカーフの写真を見せた。
arieさん:「西下君」
西下さん:「予想通り、楽しいことになりそうですね」
所長:「俺は、もう寝る! 後はよろしく」
arieさん:「写真があるんなら、とっとと出しなさい」
「そんなこと言ったって、喋らしてくれなかったから」
arieさん:「男はぐちゃぐちゃ言わない」
その後、しばらく怒られ続けた。怒り疲れたのかあおのままarieさんは奥に引っ込んでしまった。どうやら寝たようである。
「西下さんは寝ないんですか?」
西下さん:「写真が来たのにか? ほんと 安眠妨害だよ」
「すいません」
西下さん:「いや、冗談だから気にしないでくれ しかし、良く逃げなかったな」
こちらの態度に驚いた西下さんが 話題を変えた。
「実は、KAWAさんに言われるまで判らなかったんです」
西下さん:「何が?」
「口座には100万円があるって思っていたので 全額おろそうとして大騒ぎになりました」
西下さん:「じゃあ、逃げだすも何も判らずにデートしていたって事?!」
西下さんは、珍しく声を上げて笑った 大きな声を出して。