伊藤探偵事務所の混乱 15

erieriさんが大きくジャンプした。
そしてそのまま空中に止まった。ふわふわとまるで雲の上に乗っているかのように。
そして、男たちのうめき声が聞こえる。
男たちは、全員首筋を腕で押さえている。
勿論、かなり離れていたにも関わらず 7人目の男も例外ではなかった。
唯一その男の違ったことは、首に巻きついているワイヤーを拳銃の腹で止めていることであった。しかし、それが救いには成っていないことは男の表情が物語っていた。
ワイヤーは、後ろからでも容赦なく首を締め付けていた。
事務所の中から、arieさんが出てきた。
arieさん:「ちょっと太ったんじゃない? 苦しむ以上に死んじゃいそうよ」
erieriさん:「むかついてたのに、あたしの体に触れたのよ。その上銃を向けた。死んで当然よ」
arieさん:「一人で良いから残しといてくれない? 用があるの」
erieriさん:「さー?あたしの体重管理が駄目みたいだから保証出来ないわ。太ったらしいから」
arieさん:「太ってない、太ってない」
erieriさん:「何で怒っていたのか思い出したわ! やっぱり太ったみたい」
西下さん:「なるほど、スパイダーズは彼女一人だった訳だ。arieさん何とかしてくださいね 貴重な情報なんだから」
arieさん:「・・・」
erieriさんは涼しい顔で、空中に浮いている。
男たちの顔色が徐々にどす黒く変色してきた。

「いてっ」
歩いていたら、いきなり空中で何かにぶつかった。
腕を振り回すと 糸のようなものが腕に絡まった。
KAWAさん:「危ない!!」
「えっ」
声を掛けられたので、腕を引いた。
erieriさん:「きゃっ」
宙を浮いていたerieriさんが 急に空から地面に落ちた。
erieriさん:「何すんのよ!!」
地面に落ちて座り込んだ状態ながら 怒鳴りつけた。
erieriさんが落下した瞬間、糸の切れた操り人形のように男たちも地面に倒れた。
「すいません」
思わず謝ったが、状況は掴めなかった。
ぬりかべさんが男たちを事務所の中に放り込んだ。気を失ってたから放り込むと言う表現がぴったりだった。
arieさん:「よくやったわ」
erieriさん:「この子何なのよ? どうやって要の糸を見破ったの?」
arieさん:「言ったでしょ、天然だって・・」
KAWAさん:「ご無沙汰しています、お姉さま」
arieさん:「あら、今日もデート?」
KAWAさん:「5本爪の龍のスカーフで、お仕事を依頼しに来たのですが所長に取り次いでいただけます?」
arieさん:「4本じゃないの?」
所長:「それも、秦の時代のって事かな?」
KAWAさん:「いえ、もっと後の 元の時代の加筆についてです」
西下さん:「と言うことは、絵にも手が入っているって事ですね」
erieriさん:「蒼い牙の龍って事?」
所長:「で、依頼内容は?」
arieさん:「そこなのよ、何でロシア人が関わっているの?」
KAWAさん:「旧ロシア美術館の秘蔵品で公開されることが無かったもの。そして、ロシア人が追いかけるもの。宝物は無いかもしれないけど他のものはあるかもしれないって」
arieさん:「盗み出したのはロシア人というより旧ソ連の人って事?」
西下さん:「政権をひっくり返すってあれですか? でも、随分時代遅れな」
KAWAさん:「なら、今頃追っかけてこないわ」
erieriさん:「隠すなら旧帝の・・・、この話 ここまで来て入れてくれないって事は無いわよね」
arieさん:「クライアントに聞いてみて? 駄目だって言っても勝手に来るんでしょうけどね」
西下さん:「止めるなら 戦車の2個師団じゃ駄目みたいだけど・・・」
KAWAさん:「スパイダーズって事?」
所長:「最後は持ち主の意思だけどどうする?」
何が何だかいつもと同じで解らない。この状態で正常な判断なんて出来るはずが無い。
erieriさん:「彼が決めるなら、連れて行ってくれそうね」
KAWAさん:「何で? あたしは反対よ」
「食べたんですか・・・・・?」
erieriさん:「食べろって言ったのは 誰だっけな〜?」
arieさん:「道理で、太ったはずね」