伊藤探偵事務所の爆発6

arieさん:「てこずらすんじゃないわよ!」
erieriさん:「割りと本気なんじゃない?」
arieさん:「あんたの腕が鈍っただけでしょ」
erieriさん:「そのまま返したげる、その言葉」
西下さん:「位置の補足は出来ますが、します? ばれるかも?」
arieさん:「ほっときましょう、死ぬ事は無いでしょう」
erieriさん:「あら、冷たいのね」
西下さんからの会話はerieriさんには聞こえてなかったので、その返事をそう理解した。
erieriさん:「で、ここに転がっている男どもはどうするの?」
足で、二人が気を失って倒れている男たちを指差しながら聞いた。
arieさん:「好みの男でも居たの? 趣味が悪くなったんじゃない?」
erieriさん:「そこまで、男には困ってないわよ」
arieさん:「じゃあ、どうせ何も知らないわよ 聞きだされることを覚悟で来てるんだから 知らずに来ていると思うのが正しいでしょう」
erieriさん:「時間稼ぎだったわけね」
arieさん:「陽動作戦とも言うけどね、偶然に二人がここにいたのが誤算だったのか・・・」
すこし、なにか引っかかるような言い方をしながら少し目線が上目遣いになった。
arieさんが何かを考え出した時にとる癖のようなものである。
erieriさん:「とにかく、追いかけましょう」
arieさん:「随分優しいじゃない」
erieriさん:「あら、何か面白そうな匂いがするだけよ」
arieさん:「勝手にしなさい」
erieriさんは、男たちが逃げていった方向に向かって走り出した。
arieさんはそれに続いた。
 
衛星、電話、電気と、随分厳重に仕掛けてあるじゃない。
西下さんは、さらわれた先を探すのに 衛星写真や電話のアンテナ経路等追いかけようとしたが どうも罠を仕掛けてあるようなので、第3国を通じた広域衛星写真を追尾している。
西下さん:「どうも精度が低いな、まあ、ほっといても大丈夫そうだから・・」
幾つかの機器を調整して、衛星からの写真の信号を自動追尾するように仕掛けた。
もちろん、発見されないような手は打ってあった。
 
所長は今日は真面目に仕事をしている。
最も、打ち合わせに出かけているんだが そのまま接待を受ける側だから出かけたのであろう。
依頼主:「じゃあ、内容と契約は 今の条件で、明日改めて契約書を届けさせますので。それよりは、この後いかがですか?お時間があれば」
所長:「勿論お付き合いいたしますよ、この後もお話が続きそうですから?」
依頼主:「はぁ・・・」
所長:「いえ、独り言です にぎやかな所が良いですね、お店は」
依頼主:「私のお伺いしているお話では、グラマラスな女性がお好みとか」
所長:「いえいえ、私 女性の好みに関しては贅沢を言った事はありませんよ」
依頼主:「では、参りましょう」
所長の横には、ぬりかべさんが付き添っている。
こうなる事を予想して、arieさんが同行させたようだ。
 
コーヒーは、ホテルの部屋のコーヒーとしては高級な味だった。
勿論、コーヒーの味に詳しいわけではないが酸味が尖ってなく、味が濃いにも関わらずくどくない、そんなイメージだった。
「おいしいですね、コーヒー」
女:「これは、ありがとうございます。しかし、私よりも機械の手柄かと思いますわ」
女性が、手のひらで先ほどコーヒーを入れていたところを示していた。
「そんなに良い、コーヒーメーカーなんですか?」
立ち上がって、コーヒーメーカーのほうに歩いていった。
止められる事を想像していたが、止められなかった。
実際は、コーヒーメーカーよりも部屋の外が見たかっただけである。
部屋の外には、細い廊下があってその端に 大きく銀色に光るコーヒーメーカーがあった。高圧でコーヒーを抽出する装置で、サイズと配管のジョイントの部分からかなりの高圧のお湯を注げるようになっているようだ。
女:「イタリア製の物らしいですね、ここのホテルはそれが自慢だそうです」
その先には、ドアがあって その横に非常通路の案内が貼ってある事から出口だろうと想像できる。
女:「あっ!」
女性が、僕のほうに向かってくる足音が聞こえる。そして僕の横をすり抜けて、廊下の反対側にあるドアの前に立ち生きよい良くドアを閉めた。
女:「はしたない所を、未だ荷物を片付けておりませんで・・」
顔を伏せ気味に女性は言った。