伊藤探偵事務所の爆発21

「痛いです 指が ちぎれちゃいます」
未来さんは、僕の指を噛んだまま、四つんばいで部屋の中を動く。
指を引っ張られて、僕は痛くないように未来さんに誘導されて歩いた。
突然立ち上がった未来さんに釣られて立ち上がって、そのまま、押し倒されるようにベットに倒れた。
未来さん:「にゃおん」
口を開いて、指を離し一声鳴いた。
えーっと、返事をするべきかそうでないのか
このままじっとしていれば良いのか、それとも・・・・
経験の少ない事が悔やまれる瞬間。
さっきまでかじられていた指が、ジンと痺れた。
未来さん:「にゃおん?」
もう一度小さな声で鳴いた
「わ、わん」
とりあえず、思いついた言葉をぶつけた
未来さん:「にゃお〜ん」
悪戯そうに笑顔に表情を変え、僕の顔を舐め始めた。
しなだれかかる体の重みが心地よかったし、空調の効いた部屋に肌を通して伝わる温度が心地よい。
一度、ベッドの上に未来さんが正座のような格好で座った。
未来さん:「私のこと好き?」
「はっ はい」
上から未来さんが乗りかかってきた。
あっと思った瞬間、恥ずかしくなって 少し体を横にそらした。
“どん”
勢い良く抱きついてきた未来さんの腕がマットレスに着いた後、ほんの僅かに時間を置いてベッドから凄い音がした。
僅かに横にそれていた僕の体が空中に跳ね上げられた。
そして、着地する時には過ぎバ地上に真ん中のへこんだベットに吸い寄せられるように落ち込んだ。
何度か跳ねて、一番そこにいる未来さんの上に。
「す、すいません」
暴れれば暴れるほど、というより身動き取れなかった。
初めての体験だった。
経験した事があるだろうか、二つに折れたベッドに挟まれる事を。
挟まれたが最後、動けない。
じたばた暴れたものの、どうにも逃げられない。
一度からだの動きを止めると、頭も活動をはじめた。
未来さんの上を、謝りながら足元に這っていった。
ようやく足元まで抜けて、慌てて枕もとに走った。
見事に二つに折れている。大きすぎるサイズのベットがより一層の不幸を招いたようだ。
「大丈夫ですか未来さん?」
ピクリとも動かない、未来さん。どこか怪我でもしたのだろうか?
見る限り、体に怪我が無いようだが・・・・
未来さん:「くぅ〜・・・・」
枕もとに座り、未来さんの声を聞くと安らかな寝息。
眠ってしまったようだ。
解ったとたん、地面にへたり込んでしまった。
「ふ〜、疲れた」
残念なような、これでよかったような複雑な気分だった。
えも、その思考の波はようやく緊張の波が消えて勢力を取り戻した良いが打ち消していった。
そのまま、近くのソファーに倒れこんで、意識を失った。
 
朝から頭痛で目が覚めた。
そして、頭痛の頭にコーヒーの匂いが少しだけ痛みを和らげてくれた。
未来さん:「大丈夫ですか?」
僕の顔をのぞきこんでいた 。
「あっ、はい大丈夫です。」
目を開けると 昨日の出来事が夢でなかったと部屋の乱れが表していた。
「あいたたた」
頭の痛みが戻ってきたので、つい声が出た。
未来さん:「これを・・」
水と薬を出してくれた。
そして、飲んでいる間にコーヒーを運んできてくれた。
テーブルの上には、果物が並べられていた。
「少しのみ過ぎましたね」
未来さん:「私も飲みすぎたみたいですね・・・」
部屋を見回してすまなさそうに言う。
「いい、パーティでした」