伊藤探偵事務所の爆発27

王子:「いいか、これから言うことは翻訳するな。恐らく、お前を人質にとっても効果は無い。殺されて終わりだ。しかし、俺の事は殺せないはずだ、あくまでも予想だがな! だから言う通りに動け。死にたくなかったらな」
不本意ながら、か弱い女性を人質に取った。正確には人質に取った振りをしたが正しい。
彼らは、彼女を盾に私がいる限り 薬剤も銃も使えないはずだから。
王子:「じゃあ彼らに後ろに下がるように言ってくれ」
いかにも、首を締めなおすような振りをしながら、彼女に翻訳させた。
彼女は、僕が怖いのか銃を構えた男たちが怖いのか声が震えていた。
男たちが何か叫んだ
女性:「動くと殺すって言っています」
王子:「殺せるもんなら殺してみろって いってみてくれる?」
にこっと笑顔で、女性にお願いした。これ以上怖がられたくない。
勿論、訳してくれたが 相手もそれ以上の台詞が無く事態は均衡した。
あまり長引くと、応援が来る可能性がある。
王子:「そろそろ薬の効いてくる頃だから、出直したほうが良いんじゃない? と言って上げてください」
あくまでも、喋るたびに首を締める振りをするが別に彼女に逃げる意思は無いようなので別に押さえる必要は無かった。
何度か言葉のやり取りがあり、相手に理解させたようだ。
女性:「要求は何ですかって」
王子:「そうだね、開放しろ言ってみて。それと馬鹿王子だから適当に誤魔化せば良いとも。」
女性:「そんなこと・・・」
王子:「いいよ、言ってください」
彼女が、また説明する。
女性:「えーっと・・」
王子:「大丈夫だよ、何を言っているかぐらい僕も解っているから。適当に喋ってくれたら」
女性:「言葉が解っているのですか?」
王子:「解らないといったつもりは無いんだが」
女性:「わかるんだったら通訳なんて」
王子:「わからないと思われているほうが都合がいいこともあるんだよ」
男の一人が、膝を付いた。
ようやく効いて来たか、でくの坊。
王子:「針に毒を塗った、これ以上被害者を増やしたくなければ連れて行け と言って上げて。それと、どうせ逃げられないのだから、一旦外に出て応援を呼んだ方が良いと言ってあげてください。」
彼女の説明を受けて、男たちが下がった。
そして、半ば強引に部屋から外に追い出した。
絶対に逃げられない、無駄な抵抗はするなと言い残して出て行った。
でたら、すぐにうちから鍵を閉めて近くに会った灰皿で取っ手を壊しそのままでは鍵が開かないようにした。
そして、チェーンをかけ、チェーンとドアの間に手近な置物を突っ込んだ。
せめて銃弾二発で開けられないようにだけした。
女性:「どうやって逃げるんですか?」
王子:「逃げるとばかりは限らないよ」
入り口前に、机を並べてとりあえず入って来れないようにバリケードを築いた。
そして・・
女性:「何をするんですか!!」
王子:「見てのとおり」
ライターでカーテンに火をつける。
3つある窓全てに。そして、ソファー 台所にあった油も撒いて部屋の周囲一杯に。
王子:「そこにいると焼け死ぬかもよ」
元々監禁されていた部屋に戻った。
王子:「ここは何階? 5階ぐらいだと思うんだけど」
女性:「そうですね、4階ですわ 一番下が倉庫なので大きくて」
王子:「じゃあ、OK この部屋ならしばらく持つだろう。」
彼女を連れて部屋に入る。
ドアの隙間には、シーツをちぎって目張りし隙間を塞いだ。
そして水をかけた。部屋中に。
王子:「これで、後は助けが来るのを待ちましょう」
ベッドに座った。
女性:「でも、これじゃあ・・・・」
王子:「しばらくすれば、スプリンクラーも動くだろうし、日本の消防だったら15分以内に来るでしょう。ガスさえなければ・・」
女性:「ガスはありますよ」
王子:「あとは、確率の問題でしょう 全員倒して脱出するよりは確率高そうだったから」
女性:「助かりますか?」
王子:「生きて帰ります。何が何でも」
女性:「何か後できる事ありますか?」
王子:「出来たら名前を教えてくれると助かる。呼び難くて」