伊藤探偵事務所の爆発39

日本に有能な政治家がいないとはいえないが、どうしても線が細いと感じてしまう。
多くの国で、経済的に成功した人たちが政界に出てくることが多いが、日本はどちらかと言うとヨーロッパに近く 過去から引きずってきた貴族のような形で二代目や三代目 つまり 生まれてこの方政治しかした事の無い人たちが議員としている。
唯一ヨーロッパの政界と違うのは、貴族の歴史が古く その組成の殆どを長い歴史の中で政略だけに使ってきたのだから。勿論、それに関しては日本も同じであるが300年間の徳川時代に 長らく培われてきた政略と謀略の手法が生きていくだけにしか利用価値がなくなってその伝統が続ける事が出来なく成ったことである。また、戦争に負けてその新しい300年分の蓄積を継承する新たな後継者を失ってしまった。
お陰で、今のような状況になったのだ。勿論、世界で最も平和で経済格差の少ない誰もが物質的な欲望を満たす事の出来る世界的に自慢できる良い国である。
だが、国際的な交渉の場から考えると決して強い国でないことは誰が疑うわけではない。歴史が証明している。だが、その国こそが 世界に唯一のこの国だけが可能にする交渉方法ある。それこそが、今回の事件の起点になる。
裏が無いという事は、表しかないという事である。裏が無いわけではない裏を知らないだけである。交渉の場においては 交渉だと思い込んでいる事はただの上っ面の数枚の表面を撫でているだけと言う事である。だから、時期を外して無効にしたい約束事すらもいかに遵守しながら交渉を有利に進める事だけにしか頭が行かないのである。
いかにしても反故にしたい約束と、反故にされると国が立ち行かなくなる国。故に交渉の場にここを選ぶと言う事である。
表向きの要件に振り回されることがいい所であり悪いところでる。この話がうまくいけば国として感謝されるのか それとも馬鹿にされるのかその事が気になってきた。
時間は三時を過ぎた頃、瞼の重みが比例的に重くなって気が付いたときには眠っていたようだ。
 
arieさん:「だめね、これぐらいで寝ちゃあ」
周りに積んであった本を開いて読んだ所を確認する。
arieさん:「まあ、これぐらい読んでりゃ良いわね・・・」
にこやかな笑顔。そして、いそいそと始める本の表紙と中身の入れ替え。
arieさん:「大体気が着かなきゃ、アラブの繁栄の本に日本の政治家の話が出てきた時点で・・・」
全ての本を入れ替えた時点で、毛布を掛けた。
arieさん:「おやすみ」
電気を消して部屋から出て行った。
arieさん:「いけない いけない」
コーヒーサーバーのコーヒーを流しに捨てた。こんなもの飲まれて大事なところで寝られたら困るものね。
机の上のコーヒーも、流しに流して改めて出て行った。
夜は更けてゆき、と言うよりも太陽が時間と共に顔を出す時間になっていった。何も知らずに寝ている僕を置いて。
 
コーヒーの匂いが、脳みその皺をそっと触れて 体自身を笑わせて起こそうとするかのようにまとわりつく。
未来さん:「おはようございます。」
返事はしなかった。いや、出来なかった。重たい頭を起こしてせめて起きている事を主張してみただけである。返事をしない事は流石に失礼に感じたからである。
未来さん:「昨日は遅くまで頑張っていらしたのですね、コーヒーサーバーが空でしたよ」
そんなに飲んだのだろうか? その割りにはいがらっぽいのどの感触。でも、結構良いところまで読み進んだ気がする。えーっと、山が一つ、二つぐらいか・・・。とにかくたくさん読んだ。