CEATEC

結局行けなかったのですが、無理して今日出かけていれば、着いた頃に閉館と大阪から来たのに・・・・・という状況に成っていたのでしょうから行けなくて良かったのかもと。
今週は、安い買い物のレビューばっかりしていましたが、実はCEATECでも、またアメリカでも新しい技術、商品が目白押しでした。
CEATECのレポートでは、面白おかしく書いてあった NECとルネサステクノロジーのモバイルCPUの対決図式なんかが書いてありましたが、どうも帯域が違うようで多少疑問があるのですが。
車のエンジンでは、トルクカーブとパワーカーブと言うものがあります。
トルクとは車を加速する力、パワーとは車を早くは知らせる力と一般的に言うのですが、ようは車のエンジンの場合、シリンダーにガソリンと空気の混合気が入ってプラグで火をつけ爆発した力が回転運動に変えられます。どんな回転数でも 1回の爆発によって得られる力が同じであれば、回転が速くなれば早くなるほどパワーが出ます。しかし、物理現象の限界があります。例えば、火をつけてからガソリンが爆発する時間、これはエンジンが速く回ろうと遅く回ろうと同じです。故に あまりエンジンが早く回ると火がついても爆発しきる前にエンジンが回ってしまい、爆発力が回転運動に転化されなくなります。他にもあまり効率よく回ると、爆発が強力すぎてエンジンが溶けてしまったり、バルブを抑えているスプリングが閉める速度よりも速くエンジンが回ったりと・・・・
最も効率よく爆発を回転運動に転化できる場所、それがトルクカーブの頂点です。それから徐々に回転を上げてゆくと徐々に効率は下がってゆくのですが 回転が上がれば回転数×トルクで馬力は計りますから 回転数の上昇以上にトルクが下がらなければパワーは上がり続けます。そして、それが均衡した場所がパワーカーブの山になります。
CPUでも同じ事で、ある速度まではクロックを上げれば上げるほど性能は良くなります。勿論、これは物理限界を超えない限りどこまでもなのですが これがモバイルに特化したつまり消費電力の少なく作られるCPUに限って言うなら、その速度が問題に成ります。
つまり、ある一定のクロックを超えると、高速化の為に使われる電力よりも熱になる電力が増えるからです。あくまでも車のエンジンで言うところのトルクの山が最も効率の良い地点がモバイルCPUの目指す点。そして、今のPentium4のようなCPUはそこを超え、パワーカーブの山を模索したCPUという風に感じます。パワーのピークですからいつでもオーバーレブ(過回転の事を言う、その事によりエンジンが破損する)の危険性を含んでおり、その為の対策(過度な冷却装置)を持ち 既に車の性能で言えばレーシングスペックな状況でしょう。また、個人で改造して速度を競うあたりも車と同じかもしれません。
しかし、こと カローラ(大衆車の例)の性能に関して言うならばあまり論議にはなりません。これが、まあ、プリウス(ハイブリットカー:省エネルギーの象徴のように言われている)でも少し話題になる程度。しかし、コンピューターの世界でも本当に求められているのはカローラなのでしょうが、ただ、カローラが100万円として、フェラーリが3000万円程の差が無いために、不幸にもコンピューターの世界ではフェラーリーやポルシェが売れてゆくのでしょう。
で、省電力のCPUなのですが、恐らく現在の状況ではぼんやりとした感覚ですが、携帯電話用のプロセッサーとしては、最大200Mぐらいがいいところかなと。
CEATECでは、SH−MOBILE3が出展されていたそうですが 未だ何も見ていないのですが恐らくそれぐらい。使われない間はクロックを落として対応するのでしょう。
しかし、NECのブースのCPUは3CPU+DSPの構成、三次元のデモを行っていたのはさることながら、その中の一つのCPUだけを利用して動画を再生するデモもあったそうです。動画を再生できるCPUを三機がけだとすると携帯電話用途ぐらいではハイパワーすぎるかと。どちらかと言えばPDAクラスを超えるような性能かと思います。
いくら、SH−MOBILE3が低電力、ハイパフォーマンスと言えどもその3機が同時に動いたものに比べればパフォーマンス面では比較にならないでしょう。(想像です、もし違ったらルネサスさんごめんなさい)
NECがターゲットにするのは、PXA270+αの世界ではないのかなと?
もともと、クロックを上げる方法は エンジンの排気量を上げていくのと同じ行為で大きくすれば大きくするほどそのパワーは大きくなり消費するエネルギーも増えてゆきます。もちろん、これにも技術が必要でそのパワーを受け止められるエンジンを作るのは並大抵の努力ではないでしょう。しかし、モバイルCPUに求められている性能はは軽自動車のエンジンで何処まで行けるかで、CPUで言うとクロックは現在の技術で電力消費量の効率の良い値に設定された中で、いかに性能を上げるか。ただ、複数のパイプラインを持たせて処理させるだけではなく 命令の中でよく使われる命令をターゲットにして最適化を図ったり、専用のハードを増設し、追加命令を増やしたりとのアプローチは地味ながら日本の得意な技術の一つかと思います。
SHというCPUは、恐らく少し前の「マイコン〜」にはかなりの比率で入っていたCPUです。それを電話やモバイル端末用に最適化されたものです。
見慣れた命令携帯と、安易に実装できるパッケージング等未だ魅力的ですが、元々の分野では色々なチップが出てきています。生き残りをかけたのか商品の幅を広げたのかわかりませんが、携帯電話の明日を考えるなら良い選択肢だと思うのですが・・・
ここで書くと反感買いそうですが、誰もがスマートフォンを必要としているわけではないのですから・・