さとり

人間の中での情報の伝達は電気の力で行われます。神経細胞シナプスの中を通過する電気的刺激が全ての感覚になっています。
日本の妖怪には「さとり」というものがいまして、相手の心を読む妖怪です。日本の妖怪の中でもトップクラスの妖怪らしくて 妖怪の親玉としてかかれることの多い妖怪です。
たちの悪いことに、こちらの考えを読むわけですからどんなに腕の立つ達人でも倒せない妖怪だと言われています。
殆どの話の中では、受け切れない強い打撃を与えて倒されるか、徳の高い僧侶のように無の境地で戦うかで倒されるのが物語の結末です。
いきなり関係の無い二つの話を並べたわけですが、人間の思考は多くを脳の中で行っていますので、場所の特定や微弱電流を調べることが出来ればうまくいけば人の思考を読むことが出来る。いや、それ以前に 「超能力」や「極限の修行」でそんなことが出来る能力を持った人がいるかもしれない。と、言うのがSFの世界では当たり前の人の心を読む能力です。
しかし、実際のところ ウソ発見器のように“Yes”とか“No”を判別したり、今嬉しいか 悲しいかを判別する(って感情を判別して嬉しいのだろうか?)程度ならともかく 相手が今から何をしようとしているかとか、まで推し量るのは論理的に殆ど不可能な状態。
同様に、人を乗っ取ったりするのも結構大変な作業で、乗っ取られた人の感情や記憶を生かしたまま 思いのままに動かすというのは、RPGで経験されたと思うのですが 僅かな選択肢しかないキャラクターを動かすのでさえ大変ですから。
問題は、人間の処理速度の問題です。
IQで推し量れば良いのか、それ以外の数字で推し量れば良いのか解りませんが、人間の脳みその処理速度なんてせいぜいどんぐりの背比べ、ましてや20%しか動いていないと言われる脳が前回で100%動いたりしたら、勿論訓練をされた後ならともかくコンピューターのように加熱してオーバーヒートしたり 血液を通じて送られてくる酸素やエネルギーの量が不足して、最悪の場合生命維持に必要な量を消費してしまう可能性がありますので安全装置がかかっているのでしょう。生物学的には二心房2心室では送れる血液の量が不足して脳が全開で動くと駄目らしいのです。
故に、もし 人の考えを読もうとすると 人に流れ込んだデータを受け取り考えている最中なのか考えた結果を受け取り 尚且つそれに対して判断する能力を脳が要求されますので 考えを読む相手の倍以上の処理能力が要るでしょう。
ましてやそれに合わせて体を動かすと成れば、それは それはすごい処理負担でしょう。
故に、凡人の私には永久に人の考えは読めないと結論付く訳なのですが。
同様に、コンピューターからデーターを抜き取る作業にしてもそうで、どんなウイルスを持ってしても作動中のコンピューターの全処理をトラップすることは不可能。
例えば、キーボードやマウスからの入力、ネットワーク、USBやシリアル等からの入出力、ディスプレイへやパラレルへの出力等の入出力をトラップすることに始まり そのデータを外へ持ち出す作業を行います。
一般的な家庭であれば、ADSLで下りと呼ばれるダウンロードに該当する速度は 40Mだの24Mだの景気の良い話なのですが、ADSLは非対称の通信なのでこちらから送る分には1Mとかそんなもの。本当に全てデータ 例えばHDDに書き込むデータをトラップしたりすると恐ろしい時間がかかります。(作業している側が遅くて気が付く)
であれば、入出力を抜き出して 同じ環境を用意してそこで動かすしかありません。ともあれ、もし動かしたとしても人が作業している間中 そこに同じように画面を監視し大事なデータを見ておくしかありません。
そこまでして盗みたいデータならともかく、よっぽどの事が無い限りそこまでの事は無いでしょう。
一般的な手口はやはり、IDやパスワードと言った言葉に対応したキーボードの入力を機械的にトラップする手法が殆どです。
例えば、SSL認証のページ “HTTPS://”に成ったようなページに入ったときには 画面とキーボードの入力を外に送ったり、cookieが作動するページの入力をトラップしたする手法です。
あまり詳しく書くと、やぶ蛇ですから・・・・
ただ、銀行のオンライン取引や 証券取引や、可愛いところではオークションのIDやパスワードが盗まれるわけです。
逆に言えば、被害はその範囲が殆どなんです。
どちらかと言うと、保存してあるメールから盗まれるデータのほうが大事な場合が多いようです。
特に、銀行、証券会社はメールによるIDやパスワードの照会に対応していませんが、それ以外は例えば、セキュリティの概念の薄いところでは クレジットカードで購入したときに カード番号や、有効期限まで返信してくるところがありますから。(気の効いたところは 頭8桁だけが書いてあって 後は“X”になっていたり、下4桁だけを表示したりします しかし、それが両方メールBOXの中にあると判ったりするのですが・・・)
実際のウイルスの進入もデータの流出も、メールを介して起こる件数が殆どでしょう。
HPから侵入するスパイウエアーに関しては、多くのワクチンメーカーが対応を始めています。
今一度、メールの安全性を確認してみてください。
もちろん、携帯やPDAもこれから対象になりそうな気がしますよね。