Miss Lは、ローズバスが大好き 41

今日は何もなさそうだと、事務所に帰ることにした。
必ず座れる始発駅より電車に乗って帰るだけである。
同じ駅から乗り込んだ 人が3人もいたのが不思議だったが 同じ車両でなかったので気にもならない。
ゆっくり座って事務所まで帰れた。
行儀は悪かったけど、待ち時間が長かったので電車の中から電話をした。
結果報告と乗る列車の時間ぐらいを伝えたら、興味があまりないかのようにMr.Gは電話を切った。
地下鉄の中でも駅に止まっていれば 携帯電話が使えるのは便利な時代になった。嫌がらせのような 友達の子供の写真のメールを次々送ってみたら 後は広告のメール鹿の頃なかったことが余計気分をブルーにさせた。
まあ、良くわからなかったがこれも仕事に違いない。どう見ても、まともなOLの仕事とは思えなかったが。
約1時間半の時間をかけて 事務所に近い駅まで帰り着いた。都心から1時間半もかかる湾岸地区なんて なんのアトラクションもなければ観光的には存在価値すらないという事でしょう。
駅に降り立ったところで、小柳刑事が改札口で待っていた。
小柳刑事:「お疲れ様でした 何か危ないことありませんでした?」
小柳刑事:「上司のわがままですいません」
小柳刑事:「車でも呼びましょうか? お疲れになっているのでしたら」
駅から徒歩10分ほどの距離だから 車を呼んでもらうほどのことでもない。それよりも、珍しく饒舌に話す小柳刑事 こちらから話を切り出すきっかけもつかめない。
「じゃあ、お言葉に甘えて」
ピエロから奪い取った上着を差し出した。
小柳刑事:「これは?」
「お手伝いくださるんですよね、お持ちいただけますか?」
効率よく、おしゃべりをとめるのに成功した。
「ところで、どうして駅まで?」
私の手から上着を受け取りながら 小柳刑事は話し始めた。
小柳刑事:「実は、今日はそちらの事務所で待機していたのですが 先ほど電話を終えたところで Mr.Gに届け物を頼まれまして」
上着を受け取った反対の手には 紙袋が提げられていた。
「いまここで?」
わずか数分の距離が待てない届け物って?
「何だか判ります? 中身?」
この間の バーじゃないけど何かまた、小柳刑事か私をからかおうとしているのかもしれない。
小柳刑事:「お聞きはしたんですが、Miss.Lの女性の秘密だということだったので」
「えっ!!」
いくつかのものが頭の中をよぎった。
しかし、Mr.Gに知られている筈もないし 思い当たるものはこの間の事件で下宿と一緒に破壊されてしまったし・・・・ 最近は不順でも無いし・・・
とにかく、中を見られて面白いものでない可能性はある Mr.Gの事だ。
小柳刑事が驚く速度で紙袋を奪い取って、紙袋の中に顔を突っ込んで中を見た。
当然、真っ暗で中は見えなかったので ゆっくりゆっくり顔を引き下げながら小柳刑事や他の人に見られないように中を確認した。
既に、紙袋に顔を突っ込んで中を見ている時点で 回りの注目を浴びていると言うことにまでは気が廻らなかった。周りを気にしながら中を確認していると視線が自分に集まっているのに気が付いた。
少しくすんだ 紫と黄色と赤色の色とりどりの糸で飾り付けられた少し古い感じの布地だった。
それ以外には、黒くて丸い棒が4本入っているだけだった。
「何これ?」
思わず廻りに聞こえるような声で叫んだ?
小柳刑事:「Miss.Lの女性の秘密としか」
小柳刑事の口を押さえた。
「ちょっと、やめてよ」
ただでさえ注目を浴びているところに、私の秘密なんてことを喋られたら余計に注目を浴びるじゃない。
小柳刑事:「あっ、はい」
判ったのか 判らないのか 小柳刑事が言った。
とりあえずベンチに荷物を置いて、中身を出して確認した。
分厚い布で出来た肩当と、ビリヤードのキューのようにねじ込む形で繋いでゆく棒であった。
勿論、私にはこれが何であるかは判った。間違いなく私の秘密であるのではあるが なぜ知っているのであろう。 Mr.Gは?
それよりも、ここでこれを渡されたと言うことは・・・・
「小柳刑事、少なくとも3人の人がつけて来ていると思うんですけど 彼らが襲ってくるのではと Mr.Gからの伝言みたいよ」
小柳刑事:「本当ですか? では私がお守りします。」
でも、この棒? 人でないものも出てくるのかも?