クイックレジューム

UXには、5秒で起動するモードが付いたそうです。
で、完結してしまうと面白くないのですが、PCを取り出して5秒後には使える というモードは非常に画期的で、あのサイズからPDAに対抗できるPCというコンセプトならば十分に便利に使えるはずです。勿論、起動だけでなく終了もなのですが・・・・
PCを長時間の間休止させる方法は幾種類かあります。
その中でも、今回は5秒と言う時間からレジューム機能での実現化と思います。
簡単に言うと、CPUやその他周辺機器の電気を部分に分けて切れる限り切って、若しくはスピードを落とし止っているかと言うほど遅くすることで消費電力を一気に減らすモードです。
勿論、液晶もバックライトもHDDも動きません。
唯一に近くパワーキーやLANからのWake on信号などの待ちうけ、タイマーによる起動以外は何も受け付けないモードに入ります。
だからといって、PCの電源は切断されていないわけですから動きっぱなしに近い状態です。
今までのPCもバッテリー駆動で机の上においておくと、デフォルトの状態だと最初はスクリーンセーバーが動いてその後画面が消える、そしてレジュームスタンバイに入りますので付いていないわけではありません。ただ、今までのレジュームは一定時間が経つと休止状態に入ってPCの動きを止めてしまいます。
休止状態は、スリープモードと違い PCの電気を完全に切ってしまいます。電源を切るのと違うところはメモリーの内容や、接続されている機器のパラメーターをハードディスク若しくはフラッシュメモリーに保存して電源を切ることです。
再起動時には、PCの起動後HDDのデータをPCに書き戻せば停止させた状態にそのまま戻るわけです。ただ、ここで注意しなければいけないのは 一つは休止状態はPの電源が完全に切れている状態です。その間に繋がれた若しくは切断されたデバイスは読み込み後に再度確認する必要があります。
また、HDDというメディアはそんなに高速なメディアではありません。読み出しに時間がかかるのでなかなかクイックというわけにはいかないのです。
故に出来ればPCの電気を切らないままで止めておきたいと成るわけです。
 
じゃあ、スタンバイを使えば良いと成るのですが これにも問題はあります。電気が微小なりとも流れるのであれば電気が消費されてゆくということ。
その中でも、最も大喰なのはメモリーです。
安価で高速なメモリーであるD-RAMはコンピューターに使われることに関して言うのであれば抜群に良いものです。創成期に使われていたS-RAMなんかを今でもメモリーに使っていればこんなに安価なコンピューターは不可能でした。
しかし、その為に回路的に負担がかかります。リフレッシュという作業が必要で簡単に言うとメモリー
からデータを取り出しもう一度書き直すような作業が必要となります。
それも恐ろしいほど高速なタイミングで・・・・
高速なメモリーほど、読み書きの時間が短くなるので 電気的な容量が小さくなるために高速な書き換えが必要となります。
つまり、CPUは殆ど電気を消費しなくてもメモリーはPCが動作している時に比べて画期的に消費電力を減らすことはありません。
例えば 連続駆動3時間のノート型PCであればスタンバイのまま置いておけば 一日も経たないうちに電池が空になってしまいます。もし、空に成っていなくても減った電池は駆動時間を大きく減らします。
と言うわけで、せっかく付いているものの 席を外れて会議室に行く程度の短い時間ぐらいしか利用されないままでした。
 
じゃあSonyの画期的技術かというとそうでもなく、SharpMebiusで実現しているノートがあります。
省電力技術に関しては一歩秀でている(というかそれしか売りの無い)TransmetaのCPUを使ってスタンバイのまま二週間以上バッテリーの持つNoteをリリースしています。
Quickレジュームとよばれたその機能は、割り当てられたパワーボタンを押すだけで数秒でスタンバイに入り、復帰も数秒で行える物と成りました。
非常にすばらしい機能で、私はトレンドになることを期待したのですが 宣伝力でしょうか?それともTransmetaのCPUに遅いというイメージが付いていたためなのか、誰に聞いてもそんなのあった?といわれる始末。持っている人でも知らないなんていう秘密の技術のようになっていました。
今回の記事では仕組みも判らないのですが、UXでそれに近いものを搭載してきたのでしょう。
未だ中身がわからないので想像ですが、予想の一つは正統派にDDRモリーの特性を利用した正統派の物で、DoubleDataRateと呼ばれる同時読み出し技術(日本語化おかしいかな?)はメモリーのアクセスを高速化したのですが、リフレッシュサイクルが邪魔になりにくい構造にメモリーが作られています。
故に高速化以外にも省電力側に大きなメリットがあります。
勿論DDR2においてはそれ以上に省電力よりな設計になっています。
そして、メモリーにかかる電圧ですがCPUの電圧低下と平行して徐々に下がっていき消費電力を下げて行っています。
じゃあ、他のノートPCで何故そうならないのかと言うと、CPUのコンパニオンチップが省電力保持モードをサポートしていなかった、若しくは サポートしているが別回路を設計するのが大変だったということもあります。
今回のIntel Core Soloの周辺チップにはその為の工夫がしてあるのかいきなり実装されてきた・・・という正当な方法で叶えられたレジューム機能である場合。
 
もう一つの可能性として、OSに付いているのでない専用の休止モードを持たせた方法。
これは、休止モードに入るときにHDDにメモリーの内容を書き込みます。しかし、これをHDDで無くす方法があります。
モリーの最大搭載量は1.5Gです。BiosROMと共用にして2Gのフラッシュメモリーを搭載して 休止情報をフラッシュROMに書き込む若しくはフラッシュROMに切り替えてレジュームに入る方法をとることです。
一部の噂ですが、HDDにも一定量フラッシュメモリーを搭載して キャッシュ以外にそれを利用して今回のようなレジュームやHDD音楽プレーヤーの省電力を計ろうという発想があります。そういったHDDがもし出荷されているのならばそれもビルトイン可能です。
今回のHDDは違うにしてもフラッシュメモリーを搭載する方法は無いわけではないのです。
その最たる根拠は、16Gのフラッシュメモリー駆動のUXがこの後発売されるという事実から想定されるのです。
「HDDモデルに対してフラッシュモデルは持ってわかるほど軽くなります」
というコメントをどこかで見ました。
HDDマウント部分に、基板に乗せたIDE接続のフラッシュメモリーを搭載してそれほどの変化になるのでしょうか?
もともと、基板上に搭載している部品が 2Gフラッシュメモリーから16Gフラッシュに変わるだけなら あのブロック自身が要らなくなるのです。
時を同じくして、SUMUSUNGが32Gフラッシュメモリーの発売をアナウンスしています。フラッシュメモリータイプが遅れているのはフラッシュメモリー発売待ちと言うことも考えられます。
基板上からはその存在は無い様なのですが、状況証拠は揃っている状態です。
今回のレジュームでは読み出しさえ速ければ5秒の起動は可能になる。
ディスプレイの電源さえ消えていれば、内部でゆっくりメモリーからフラッシュメモリーにデータを送っていても判らないという利用が可能なのです。
 
いずれにせよ、新しいものと言うのは心惹かれます。
しかし、残念ながら今回は金銭的な理由で見送らざる得ないでしょう。
実際に実物が出たときに、いや 出る前に想像する楽しみは少なくとも与えてくれるPCとなりそうです。