望まざる将来

AUはすでに2.4Mの通信速度を持っているって知ってました?
それも日本全国の多くの地域で実現されています。
DOCOMOもSoftbankもE−mobileも含めようやく追いつき追い抜こうとしていますが、それもきわめて限定された地域のみ。
限定された地域は首都圏で、四国や広島の方(もちろんほか地域の方もですが 私の見ているBlogの方で嘆いた方で覚えているのがこの地域の方)等は、何を言っているんだと怒りすら覚えてられるかも知れません。
ただ、高速化も今までの理論値で比べた 384K(W−CDMA)と2.4M(CDMA WIN)の差を顕著に感じられているわけではなく PC等に繋いだときに体感されている方が殆どだと思います。
 
無線LANを搭載するPDAが増えて通信環境は改善しました。
最近ではスマートフォンにも搭載されて場所によって通信手段を切り替え、コスト的にも速度的にも恩恵を預かれるようになりました。
ISDNで64Kだった時代を考えるとどちらもおおよそすごい進歩です。
僅か10年足らずの間の話なのですから・・・・
 
ところが、DOCOMOの携帯電話を持っている人と話をしていると 遅いという意識はあまり無いようでどちらかというとメニュー表示のもっさり感にDOCOMO携帯の不満を話す方が多いようで、逆にAUの携帯電話を持っている人にとっても乗り換えて速くなったという感想を聞けることは稀のようです。
実際には、EZチャンネルのような動画配信や着歌フルとかのサービスを受けると想像できないほどの差になるわけです。
では、PDAでもW−CDMAから11bの無線に変えてメールの受信やストリーミング、ダウンロードに効果は高くてもWEBの閲覧には画期的に効果が上がるほどでは無いことがわかると思います。
もっとも差を感じないのは、11b(11M)と11G(54M)の表示速度の差がほとんど現れないことで判るでしょう。
一つは、人間の反応の上限の問題で 程度が離れれば離れるほど比例的な感覚ではなく、微分的な先に行くほど角度の低い曲線で感じるというものです。
しかし、もっとも大きな理由は受信する側のデバイスの問題があります。
 
もし、WEBがテキストの羅列であれば伝送速度と表示速度はおおよその線で比例します。
ところが画像を含むHTMLできた場合、画像と文字の並びを整形する必要あります。
DTPのように、画像の位置とテキストの位置を規則性にしたがって並べます。
これはそれなりに重い処理ですが現在の携帯端末にとってそんなに難しい作業であるとは思えません。
しかし、その上に携帯端末にとって難しいのが画面に応じて最適化する作業です。
これは各ブラウザー作成メーカーの腕の見せ所で、その閲覧方法として 異なる要素を一列に並べて表示したり、横幅にあわせて圧縮したり、小型の全体像を表示して選択したりと言う訳です。
携帯電話で多い画面が縦型のQVGAの場合横の解像度は240ドット。WEBのページの多くは横800ドット〜1024ドットで設計されているわけですから難しい道理です。
たとえば 画像一つでも横幅を超えれば縮小する必要があるのですがその作業は携帯端末側で行うとなると PCで画像の拡大・縮小に時間がかかるのに(データ量が違うのであれほどのことは無いですが)尚且つです。
実は携帯端末のWEBの表示はFlashなどの特別なオブジェクトが無い限りPCより処理は大変になる場合もあるのです。
で、考えるとボトルネック(トータルで考えた処理のもっとも遅い部分 それに処理全体の速度が制限される部分)が通信速度では無く表示のために使われる処理にかかっている可能性があるのです。
解決する方法は、PC並みの解像度を持つ方法もありますが 今度はグラフィックの制御に全体的な負荷が上がるので(ためしにSVGAとかに解像度を落とすとPCも早くなったりするものもあります もちろん、遅いと思われるPCで ですけどね)その問題もあります。
それ以外には、処理速度を上げるという選択。
後者の選択が大事になってきます。

携帯電話という枠に縛られている場合、高速の通信でWEBを見るのに恩恵を受ける人受けない人がいます。
今でも、販売促進のコストを引いても、5万円近くする携帯電話もあるぐらいですから十分携帯電話は高価な商品なのです。
実際、最上位と価格的にはなってしまう X01HT等でも海外では10万円を超えている場合が多いのですから。
あくまでも通話を中心に考える人にとっては余分な負担に他ならないのです。
コンテンツのために高速の通信が必要である。しかし、そのためのコスト負担を直接価格に還元しにくい。
AUの2.4MもW−CDMAの384Kも携帯電話で見る限りあまり変わらないということでは高額な携帯電話機は売れなくなってしまいます。
 
高速の通信を生かす、携帯電話機の中のフラッグシップとなるものが必要となり スマートフォンが出てきた。
無ければ、投資の効果をユーザーに理解を求めることが難しくなる。
つまり、時代は高速化通信の方向に走り それゆえにスマートフォンを出して来るしか無くなったという状況もあるのです。
つまり時は熟したという状況なのでしょうか・・・
皮肉なのは、最も速度の遅いWILLCOMから登場したということなのかもしれません。
高速の通信は、ヘビーなユーザーにも恩恵を与えます。
しかし、海外の通信の安価なところにはそういった設備への投資を行わず音声だけに限定し(SMSぐらいはともかく)安い価格を実現しているところもあります。
横並びに高速化を進めるのは、一概にユーザーのためと言えるのかどうかという事に関しては誰も問わないのが不思議なことです。