Miss.Lの幼馴染5(創作です)

「暗殺の依頼者って判るものなんですか?」
初歩的な疑問だが気になるところ。
警察官が素人と言っていいのかどうかは判らないが、少なくとも起きた殺人に関してならともかく 殺人依頼やそれを生業にしている人に関して言うなら素人といえるだろう。
日本にはそこまで切れた職業の人がいないのか、知らないのかとにかく私の持っている資料には存在しない。
だから、当然聞いてみたくなる。
「暗殺依頼には二つのパターンがあるけどわかるかな?」と、Mr.G
二つのパターンと言われても抽象的過ぎてわからない。
「二つと言われても分類が出来ません」
「簡単に言うと クローズドなもの、オープンなものと言うことなんだが・・・」
オープンとクローズと言われてもぴんと来ない。公開暗殺なんてものは無いわけだから・・・・。話は続いた。
「暗殺対象が決まっていて、暗殺者を特定して直接交渉するという方法と、暗殺者をオープンに集める方法があるわけです。」
 
「悪人はミスをしない」というのはよく言われることで、たとえば犯行現場にあけすけに置かれた証拠物件などは犯人を示すものと言うより 犯人が他の人間を落としいれようと置いたものと思われるパターンがあるということです。
暗殺者と依頼人の関係を契約による厳正なものだと思い込んでいる辺りに間違いがあると。
もともと、人を殺さなければ駄目なほど悪いことをしているから 人を殺すことを依頼しなければいけないわけで、多くの殺人は知り合いに対して起こすからこそ自分自身が疑われないように人に依頼する必要があるという訳です。
そんな依頼人が見ず知らずの暗殺者に対して厳正に契約を守ると思い込む辺りに無理があると言うことらしい。
よくよく考えると納得の行く話し。
仕事の終了した暗殺者を次の暗殺者に殺させ続ければ永久にお金を払わなくて良いと言う循環も可能なのである。
逆もそうで、暗殺者が必ずしも依頼者の秘密を守るはずも無くそれすらも脅しのネタになりかねないと依頼者も考える。
結果的に悪人同士の信頼なんて、ある意味期待すればするほど成り立たない図式なのである。
 
信頼される関係があったとした場合、依頼者が個人ではなく企業だったり暗殺者側もグループ化していて どこかの世界に向けて信用がお互いにあったりした場合 契約不履行が後々損出になるというような極めて利己的な理由があるときだけである。
また、継続して暗殺を依頼するような極めて常習的な依頼者ならともかく、一生に一度ぐらいしか(それでも普通ではないのであるが)依頼を出さない人の場合等 とても信頼の根拠など考えられないわけである。
故に、仲介業者が必要になる場合がる。
仲介業者はお抱えの暗殺者に依頼する場合もあるが、それが出来ない場合がある。
手を出すと危険なグループに対する依頼などがその顕著なもので、お抱えの暗殺者が仕事に成功すると報復が帰ってくるようなところに対する暗殺は割に合わないので出来るようなものではない。
ましてや、依頼された相手がダークサイドにいたりした場合もろばれになるパターン。
多くの場合、一回限りの依頼の約半分が身近なものに対する依頼で 残り半分は相手がダークサイド側にいることを知らずに依頼が来た場合。
一元の客に対してそんなリスクを負うわけには行かないので、フリーの暗殺者に対するオープンな依頼を行うわけである。
身近なものに対する依頼であれば、生命保険の一つでもかけて受取人を仲介業者が預かればよいわけですが、後者はそういうわけには行かない。
オープンの暗殺は、昔の賞金稼ぎに対する犯罪者のポスターのように「WANTED」というタイトルのついたポスターの配布と言うことになるわけです。
 
その時に問題になるのは、支払いの保障なのですがこれに仲介業者が直接関わるわけには行かない。
故に、多くの場合美術品等のものとして公に公開されるという形で保障とされる。
つまり、この仕事に向けて新たに美術品などの所有権を購入し それを公開する形での保障を立てるわけである。
例えば、「ピカソ」の絵を購入し百貨店などの企画展にでも出品して一般公開するという手法を使うわけである。
何らかの形でその絵がなくなれば、依頼は完了したと つまり暗殺が成功したとみなされるわけである。
でなければ沢山配られた殺人依頼書を受け取った人に向けて 暗殺は終わったから手を引けと連絡して廻るわけには行かないからである。
つまり、今回の場合はオープンな依頼だったわけだからその保障となるべき物と その所有者からたどってゆく形になるということである。
勿論、依頼された暗殺施行者この場合はルージュさんには保障としてのその品がわかっているわけで、そこからたどると言う手を使うわけである。
もちろん、そんなことで判るぐらいなら話は簡単でというか そんなことが出来るのならば暗殺依頼者の半分はこの世からいなくなっていると言う事なのだが・・・