今年のキーワード(理論も何もない主観ですので 技術系の人は本気にしないでね!!)

今年のモバイル界のキーワードは「NetBook」ではないでしょうか?
異論のある方は少なくないと知ってはいるのですが、モバイルを前提とした回線とセットで販売された1円PCのインパクトは非常に強く E−Mobileの回線の件数から考えてもかなりの数量のPCが販売されたことと思われます。
 
昨年の後半ごろから、私は私の日記の中でUMPCの話題に仕切りに触れています。
もちろん、わが愛機であるEverunの影響は少なくなく 5時間を超える持続時間を持つ500gを下回るPCが登場することなど考えてもいませんでしたのでそのインパクトは相当なものだったのです。
軌を同じくしてATOM CPUのプラン、C7−ULVの小型PCの登場、場つなぎと言われたA110プロセッサ等々
今回、韓国では私の知らないメーカーで Everunと同様のGeodeプロセッサを搭載した安価なネットブックがありましたので 未だ現役と考えてもよいのでしょう。
もっとも、日本語の変換などに使うにはかなり苦しいのではと思われるところとなります。
おおよそ、私の予想では 現在でもC7モデルのUMPCが低価格帯で現役でいて、ATOMとNanoプロセッサーが中位クラスにしのぎを削る状況を予想していました。
Core2は現在のCentrino2に成ることは十分に予想範囲であり、少なくともCPUは小改良でもチップセットの大きな変更を要求される事態、無線の新規格への対応(11n,WiBro用のインターフェィス)、グラフィックのレベルアップ、Core2に超低電圧版を登場させるに相応しい省電力などという命題は一年以内にかなえる必要性があったのです。
でなければ、AMDのモバイルプロセッサの登場が早まれば現在のメインストリームとなる市場のシェアに影響が出るはずでした。
ところが、現在周りを見ればわかるとおりC7 CPUを搭載したPCはメジャーなところではHPの2133のみ。
想像しなかった低価格帯にATOMプロセッサー搭載の UMPCとしては軽くなく モバイルノートにしてはバッテリーの持たない 珍しいクラスのPCがかなりの市場を席巻したのである。
メインストリームとなるCore2ノートPCのクラスさえ脅かすほどに。
 
大きな理由の一つは、C7プロセッサの後継となるNanoプロセッサのリリースの遅れでしょう。
もし、リリースのタイミングがATOMと平行に進めば チップセットの性能的には 一世代前の廉価版チップセットネットブックに比較すれば悪くない性能で、一クラス上のCPU性能を誇るノートPCが CPUのピン互換故に差し替えるだけでリリースできるという非常に安直な形で市場に食い込めたはずなのです。
しかし、現在においてもULVやUULVモデル搭載品が登場していないことからも リリースの遅れは否めないことでしょう。
もっとも、本当に対抗するほどのマーケティングが必要だったかと考えると もともと制御機器、セットボックスに強いCPUだっただけに それ以外の新しい用途のための無理な開発が必要だったかというとそれほどの資金も投入されていなかったことでしょうから これがスケジュール通りという状態かもしれません。
ただ、このスケジュールがその虎の子の市場にATOMの台頭を許そうとしているのは皮肉な話ですが・・・・
でも、私の考えるところの最も大きな理由は、Intelの誤算ではなかったかと。
 
ATOMのはモバイルと呼ばれるPCに搭載されているCPUに二種類あることはご存知でしょうか?
ネットブックに搭載されている Nから始まる品番のATOMとWILLCOM D4等に使われているZから始まる品番のATOMです。
どちらが高性能かというと、実は速度で比較すればN品番であるということも。
廉価版でありながらそれなりだと使っているネットブックに搭載されているのは 高性能であるN品番のもの。
チップセットと組み合わせて買っても、トータルの価格は2/3から1/2とすら言われるほどZ品番に比べて安いといわれています。
もちろん、消費電力は大きく違い チップセットには動画支援機能なども搭載されていてZ品番の方が良いのです と発売前にはみんな信じていました。
ところが発売してみると、まるでIntelが積極的に隠しているかのように その差について語られることはなくなりました。
その政策を最も感じたのは工人舎のモバイルPCで、つい一昨日に登場したPC MLシリーズが解りやすい図式で Zシリーズの採用をIntelの言うとおりに行った工人舎が その穴埋めでNシリーズのATOMを分けてもらったのではないかと思われるほどの価格でリリースしています。
 
Zシリーズは当初小型以下のPC用にリリースされた 省電力性能にフォーカスされたCPUとして発表されました。
しかし、商品的にはNしりーずが先に登場し もっとも特徴的な部分を打ち出すはずのZシリーズのリリースは陰に隠れた格好となってしまいました。
リリース当初の仕様も、Zシリーズに関しては二転三転しております。
現状のこの二つのCPUの違いの最も大きな点はFSBでZシリーズのFSBは遅く設定されています。
もう一つのポイントとして、Zシリーズとセットで利用されるべきチップセットの目玉機能の動画支援なのですが 現在もIntelからリリースされているドライバとマイクロソフトの提供しているメディアプレーヤーエンコーダーとの間ではそのハードウエアの支援機能は働かない状態です。
D4のユーザーは、DVD再生ソフトの機能を利用して(体験版でもOKらしい)チップセットの動画支援を有効にする方法が知られていますが その程度のことをIntelが積極的にリリースしない理由が納得いかないわけです。
実際入れてみるとわかるのですが、せっかくの支援機能が働くと画面の滑らかさは増し十分に視聴できるレベルにはなります。
Nシリーズでは考えられないところなのですが、それでも埋められていないのが消費電力の壁。
再生を続けると、見た目上はCPUの負荷はかなり低いものの 消費電力的には思った以上に消費しています。
DVD画質のビデオをNシリーズで再生したのと大して変わらないレベルに。
また、OSの問題も大きく実はWindowsXPにウイルス対策ソフトをフルインストールして、デスクトップサーチと他社製のガジェットなどを入れてみると大して差にならないはずながら、標準でそれが動いて消せないVISTAは軽量化には不向きだったのです。
Nシリーズは廉価版としてOSもXPが提供され、ZシリーズはVISTAが提供されたあたりにも不幸があります。
 
動画再生時の消費電力の問題は、予想の域を出ないのですがデータ転送の問題でFSBを可変しきれていないZシリーズのCPUはメモリーへのアクセスには速度の変わらないバスを使っているようで 故に省電力のよりどころをここにだけ(なわけではないのでしょうが)に持つのはつらいところ。
チップセットとの接続などでデータが大量に流れる処理を行ったときにCPUの負荷自身は減るものの 休止に近い状態にまで陥りたい省電力の働きを止めざる得ない状況になっているのではと。
思った以上に性能の出なかったZシリーズの完成を先送りにして、新しいプラットフォームの登場を強く打ち出していた手前 安価すぎる設定を行ったNシリーズのばらまきに呼応した、その時にCerelonでスタートしたEee PCのクラスに投入したことがブレイクのきっかけとなったのではと。
 
恐らく、HD画質のメディアソースが地上波デジタル合わせて増えるまでは 性能面でのデメリットの少ないNETBOOKはこのまま市場を形成することでしょう。
じゃあ、HD画質が出てきたらどうなるのかという面に関しても すでにATOMに対応したサードパーティチップセットのリリースが発表されている以上、価格を上げたZシリーズにシフトすることは考えられず NシリーズにZシリーズのチップセットを合わせてでも対応させざる得ないとなれば それこそZシリーズの立場が無くなってしまいます。
できれば、市場から知らない間 誰にも知られる前にZシリーズが無くなってくれるのを期待しているのではないかと。
もしくはSmartPhone+の市場向けの低クロック製品だけのラインナップだったと開き直るかでしょう。
VIAのなのもさすがに間に合うでしょうし、UULV用のチップセットのアドオンとしてのグラフィックも発表されました。
AMDはEverun Noteで使った手法を拡張して 現行のプロセッサを低クロックに焼きなおすという手段でさえNETBOOK市場であれば十分だと投入しそうな勢いです。
 
歴史に「もし」はないといわれますが、あとで考えると大きな誤算となる理由がどこかにあるものです。
今年のキーワードがNETBOOKであるというのは、市場だけでなく 業界の転身すらも必要とさせる出来事だったのではと・・・・
ただ、誤算が悪いことばかりではなく シリコンウエハ上の面積を切り詰め 低速トランジスタを配置したATOMの歩留まりは高く Intelの収益はこの状況においても上向いているという。
追従するメーカーはそこまで都合よくはないものの、シェアが無ければ成り立たない産業構造故に追従しなければいけないというのも辛いところです。
ドル箱の 半導体フラッシュメモリネットブックの採用で需要増の価格低下を招き本当に儲かっているのか?というのは 少し遅れて発表されることになりそうなのですが・・・・