第二世代のATOM

Eee PCの新型の発表があり ATOM N280 1.66Ghzでの駆動となるようです。
1.6→1.66の差など誤差の範囲かと思えば実はそうでもない。
一つはFSBの問題で 533→667は速度としては大きな差となるでしょう。
FSBの差がそのままクロックの差になったと思われます。
ですが、本当の差はそんな所に無くチップセット側にこそあります。
 
INTELの成功のファクターの大きな部分は、チップセットの部分にあります。
チップセットにビデオ機能を組み込んだのはほかの会社が始めなのですが、その流れをメジャーな路線に押し上げました。
CPU+チップセットだけで機能のほとんどが完結します。
もちろん、メモリーやHDDなどをのぞいての話なのですが。
DOS/VとPCが言われていたころには、すべてが別のものでした。
CPUはCPUで、チップセットはCPUの為の物でした。
たとえば、現在のUSBのように外部機器の接続に使われたRS-232Cやパラレルポート(プリンタに使われた)はスーパーアイオーカードと言うものがあり そのカードによって提供されました。
音に関してはSoundBlasterを筆頭とするサウンドカードを入れて、ビデオカードに関しては 多くのメーカーからアクセラレーターを一般価格帯に一気に流し込んだS3等のカードを入れるのが流行したものです。
では、現在のPCを見てみると何一つ汎用チップセットに含まれないものがないのです。
 
PCを購入したときの目的がワープロ表計算とするならば チップセットに抱合されたビデオ機能で十分。
DVDを見るにしても 過不足のないスペック。
三次元のゲームを始めると別にビデオカードをつけたほうが良いだろうという感じになります。
同様にノートPCの世界でも同じことが起きて Pentium M以降は 「Centrino」という言葉で囲い込みを初めて 統合チップセット無線LAN等も含めて)+CPUで初めてその名を名乗ることができ その名を名乗ることのできるPCは広告宣伝に対してIntelが補助をしたりと そのブランドネームを一気に進めました。
数は正義で、アプリケーションの多くがその仕様を目指して作られるようになり結果的に このスペックがPCとしての性能的には決してすぐれたものでは(他者のチップセットに比べて)無くてもアプリケーション側がそれに最適化されているおかげで使用上の問題を解決してくれるという図式になったのです。
当時、この仕様のノートPCで動かないプログラムに関しては 重いプログラムと指定されたわけですからその普及は徹底していたわけです。
 
当然、対抗他社も手をこまねいているわけではないのですが そのすべてを叶えるとなると規模的に苦しくなりAMDATIと合併し、VIAは単独でという形で統合されてゆきます。
そして、いままでビデオカードだけで頑張ってきた会社、サウンドカードだけで頑張ってきた会社は徐々になくなってゆきました。
ビデオカードの(統合されたものも含めると)シェアは結果的にIntelがと言うことになってゆくわけです。
nVidiaも互換チップセットを多数発売していますが、たとえばIntelの最新CPU Core i7などとなると開発するのに対して発売してからのすり合わせとなると当然遅れてしまい このCPUを選んだ場合 チップセットIntel以外の選択がなくなるわけです。
もちろん、廉価版のPCであればCPUとチップセットをわざわざ別にする理由も 問題が発生したときに問題点の切り分けなどの部分でも統一できるに越したことはないわけです。
 
今回のATOMは、おそらく私の予想ですがATOMのNシリーズは大量に販売できるものと言う認識ではなかったことでしょう。量的にはセットトップボックスなどと言う用途で出たのでしょうが コンシューマー向けのPCとしてではここまでの伸びを示すとは思っていなかったことでしょう。
そのせいで、Intelの利益が減るだろうことを(高い商品ではなく顧客が安い商品にシフトする)アナリストなどは予測していますが、CPUそのものの問題よりもチップセットの問題もここで発生するわけです。
最初からZシリーズと差別化するためにNシリーズには今までのノートPC向けのチップセットを流用し、Zシリーズには新開発のチップセットを与えました。
ですが、そのNシリーズが売れたために 旧来の物が大量に売れることとなります。
Intel的には開発費もかからず良いのですが、サードパーティの台等をかわすことが難しくなるわけです。
すでにnVidiaからは発表になっていますが、ビデオの再生支援やBD画質の再生なども支援され 3D機能も補助されるチップセットが出ています。
おそらく、汎用に比べて電源管理も考えられていますのでバッテリーの持ちも良いでしょう。
どうこういっても、やっぱり販売数では断トツのEee PCのチップセットが他社に取られたりしては 笑ってられない状況に入ってしまうわけです。
 
現在、ATOM N280用のチップセットに関してはGN40と発表されていますが 実は正体不明のチップセットとなっています。
現行のデスクトップの40番台のチップセットに対して同様の仕様を持って出てくるのでしょうが、差別化を行ったZシリーズとのバランスの問題もあり どこまで性能を出すかの部分で難しいところでしょう。
Zシリーズで商品を開発したベンダーに対する、補てんの問題での仕様決定の遅れなのかもしれません。
すでに技術があり、細かい問題を除けば作ることに何ら問題のない商品ながら 今までの商品とのバランスを考えると仕様が難しいという Intel故の負の問題があるわけです。
すでに展示会で実働レベルの商品を見せてなお、内容が発表できないという状況はかなり苦しいところなのではないのでしょうか。
 
現行発表になっているEeePCの仕様は9.5時間の持続時間で、この発表の面白いところはASUSの技術と新型のバッテリーで駆動時間が延びたことが書かれていますが Intelの仕様については全く言及されていません。
速度に関しては、最も速くという表現ですがFSBだけで 最もと言うほどの高速性能は実現できません。
おそらくCPUは同じもので、仕様的に殺されていた機能などを動かすべき変更でしょうから 体感できるほどの差を出すためにはチップセットの仕様によるものだと思われます。
WifiBluetooth等の統合、PCI Expressポートの解放、そしてたった1Gでもチップセット内にTurboメモリーを実装したりした場合 SSDを搭載していないEee PCがSSD搭載の他社モデルに比較して速く感じさせるのではないかと。
忘れられていますが、Turbo Memory搭載のPCはXpでも十分に対応させれば効果の高い そして省電力なツールとなるのですが、ただの憶測なんですけどね。
無線の暗号化やBitLockのデコーダーなど、実装される技術には興味の尽きないところです。