携帯デバイスのキーボード考

多くの携帯デバイス ここではノートPCのキーボードを想像してください。
頭の中に浮かんだキーボードには必ずと言っていいほど 手前にパームレストタッチパッドがあるのではないのでしょうか?
デスクトップのキーボードでは付いているものが少ないのにもかかわらず ノートPCではかなりの確率でついています。
なぜでしょう?
 
最も大きな理由はポインティングデバイスの多くがタッチパッドでありその装着場所が 場所的にスペースキーの下側となり 結果的にキーボードの下に場所が余ってパームレストができてしまうということ。
では、Lenovoのようにトラックポイントといわれるキーボードの真ん中にスティックの付いているようなものであれば パームレストは必要ないと思われるのですがそれにも付いています。
これは現在ではあまり意識される事は無いのですが、ノートPCの厚みです。
通常のキーボードの最も手前は数ミリの高さしかありませんが、ノートPCの多くは数センチ単位の厚みとなっています。
手のひらを机の上においてキーボードを触ろうとすると この段はあまりにも高すぎ手のひらの親指の付け根あたりにはPCの角が当たったしるしとして横に長いくぼみが気が着いたら付いていることでしょう。
実際にそういう製品がなかったわけではないので 経験が語ります。
じゃあ、そういう条件をすべてクリアすれば必要ないのかというとそういうわけでもなく 机の上に置けないときに効果を表します。
たとえば膝の上で使う時に 手のひらを置く場所がありません。
その時にパームレストの効果が表れます。
手のひらを置いてそこを支点としてキーを入力するわけです。
ずっとキーの上数センチに手を固定して入力するのは 高速に入力し続けるときには有効ですが そうでないときには疲れてしまいます。
自転車のサドルのようなもので 本当に力のいるときは腰を浮かせてペダリングしたりしますが サドルは必要なのです。
通常は座った状態でペダリングするので その性能がうるさく追及されるわkです。
 
では無いききではどうでしょう?
必ずしも必要であるとはいえません。
たとえば 親指でほとんどのキーを押す必要のある機器
UMPCなどがそれに当たります。
本体を置くということを考えない機器の場合、本体を両手で持って親指でキーを押しますのでパームレストがあると親指がキーに届かなくなってしまいます。
故にそれは必要ないとされるものでした。
この辺りが私の中では常識と思われていたところなのですが・・・・
 
では、先日やってきたNOKIA E71を見てみましょう。
ひとの顔で言うと あごに該当する部分が非常に長くできています。
この部分はメタルのクロムメッキ風に(何だかわからないから 風を付けてみました)仕上げてあり小さな穴が一つ おそらくマイクの穴だと思われます。
この部分が約1cm最下部からキーボードまでの間に開いています。
先ほどまでの理論でいえば、最下部に余長を付けることは キーに指が届きにくくなることから好ましくないわけなのですが
このキーの場合非常にコンパクトなキーなのでそのことを意識する必要はありません。
ただ、なぜここに余長を付ける必要があったのか・・・
 
折りたたみ式の日本の携帯電話の多くを見てください。
やはりこれぐらいの余長がついています。
最下部に充電のためのコネクターが着いていてキーボードの基板のおさまり場所がないから というのは おそらく当初はそうだったのでしょう。
しかし、今に至ってそうであるという理由は無い。
実際スライドタイプの多くはこの部分が無く いきなりキーボードが始まっています。
スライドタイプの場合は強度の関係もあり スライド量をできるだけ減らしたいので キーボードとして必要な部分だけしかスライドさせないという危機的な問題もあるからなのですが・・・
ではスライド式と折りたたみ式では 折りたたみ式のほうが多くの人は安定しているように感じているようです。
なぜ安定しているのかというと キーの入力時にその僅かにキーのない部分がパームレストに該当する部分となるからです。
 
パームレストの機能は前述通り手のひらを置いて手の高さを適度どな高さに固定することも一つなのですが もうひとつ大事な機能があります。
膝の上などに置いたときにPCを安定させるという機能です。
PCを安定させるなどというと大げさなのですが、膝の上は多くの人が柔らかいものなので そのうえでキーボードなど叩いても 下手をすれば右の端や 左の端を押せばPC本体が傾いてしまいます。
パームレストに手を置いていて ある程度のテンションを膝に向けてかけているからこそ安定するわけです。
では、携帯電話の場合ここが安定させているかというと実はそういうわけでもない。
ただ、携帯電話なんでも良いからパット持ってみてください。
普通は手のひらに抱え込むように持ちます。
ところが、キーで入力することを前提に持ってくださいというと 携帯電話のずいぶん下側を持つこととなります。
人差し指を基準に考えると
本体だけを持っているときは上から1/3ぐらいの高さにあることでしょうが、キーで入力するといわれて持ってもらうと 大体真ん中ぐらい。
ひとによっては下から1/3のところに指が行っていることが確認できるでしょう。
一気に携帯電話の保持が不安定になってしまいます。
そうなった時に 多くの人は親指がキーボードのちょうど下のあたりにひっかけるように押さえることとなっているはずです。
その部分が確保されていると、非常に安定してもてていると感じることができるわけです。
もちろん、その状態での安定感が高いために、持っているときに落とす確率が下がっていることでしょう。
 
デザイン的には少し間延びしてバランスを崩していると思われる点ですが
おそらく開発した人たちの中には 上記で描いたような葛藤があったりしたのではないかと 想像をめぐらせたりできるわけです。
あくまでも想像ですので本当はどうかは分かりません。
たとえばTouch DIAMONDで下方向のキーを本体を片手で持っているときに発生する不安定感が(この機種の場合入力のほとんどをタッチパネルで行うので 手を下にずらして持つ方がおかしいと思うのですが習慣ですね)E71ではないという点が あるのではないかと愚考するしだいなのですが・・・