自分たちの作った価値観への敗北

ネットブックの販売台数が大きく伸び 調査機関によると3台のPCが売れたら一台がネットブックだそうで それはどうなのと思う向きもある。
たとえば大画面化、高解像度は時代の流れであり 横ワイドの画面で1280x800のPCが出たら 「もう少し頑張ってほしかった」なんて評価が当たり前のように出る。
かくいう私のLatitude E4300の評価がそうなのであるから。
じゃあ、1024x600という解像度はかろうじて使えるレベルなのかと突っ込みたくなるのですが 画面サイズと解像度の問題はある程度の妥協店の産物である。
Vista以降になって画面解像度を必ずしも低くしなければ字が小さくなるということはなくなったものの あまり高解像度すぎるのも(色々な物のデフォルトの表示が小さくなる)問題がないわけではありません。
まあ、前述の評論が一般大衆の意見の多くを反映しているのであれば三台に一歳の販売数はおかしいのである。
 
価格だけが価値観だとは言いません。
現に100円ショップも以前ほどの輝きを失っているのも事実です。
それでも商品の選択のアンケートを取れば必ず上位5位には入ってくる判断基準です。
では、ネットブックについてはどうでしょう?
確かに最初は安かろうということで 機能を驚くほど限定された状態で搭乗したEee PC 4GのSSDでは正直Windowsが良く入ったなと感心したレベル。
おもちゃであるという認識でしたが、いつの間にかあれよあれよと類似商品が登場し 競争原理を反映してSSDなら16G、HDDは160Gが当たり前。
モリーは1Gというレベル。
大きなイノベーションとして搭乗した低価格CPU(チップセットも含めて)ATOMがその勢いに拍車をかけ4〜5年前の普及機のノートPCのスペックに近いものが出てきます。
おりしも、回線販売との抱き合わせがピークに達していたのに対して 携帯ブロードバンドとの100円販売などが購入時の価格を一気に引き下げ思い付きで購入できる程度の価格のPCという認識を多くの人に与えこのビジネスモデルが成功し 現在に至るわけです。
まあ、このあと毎月5000円ぐらいの料金を払い続けるうちに後悔する人たちは出るかもしれませんが・・・・
 
今日朝、特価情報を見ていると LOOX U(ATOM Zモデル)が52000円という価格が着いていて安いと思ったのですが 価格比較サイトで見てみるとどこも横並びで同様の値段。
私の持っているネットブック 工人舎SCも含め 「ネットブックではない」ことを特徴として発売した機器だったのですが 結果的には同じ価格帯に戦場を移してしまっています。
今のところスペック的にレベルが低いということになっていますが 実際のところどうでしょう?
昨日でしたか発表になった、nVidiaのIONチップセットでATOM 330(Dual Core 1.6Ghz)の場合スペック的にはかなりのもの。
現状のモバイルStdノートと呼ばれるノートPCなどはCore Solo 1.4G等を搭載しており(参考 Let's Note R)スペック的には性能面も含めて必ずしも低いとはいえないレベルにまで仕上がってきています。
では、どこにSTDノートの利点があるのでしょう。
 
家電品から始まった日本の電化製品の特徴は 「付加価値」ではないかと私は思っています。
本来の機能で競争をするのではなく +αの機能で競争するという考え方。
古くは ラジオにカセットを付けることから始まり、カセットデッキを持ち歩けるサイズまでにするとか・・・
もう一つはカタログスペック市場主義の部分
車あれば最高速度からスタートして、馬力競争。
最高速度は速度制限のある日本の国の中で暴走を煽るような広告は望ましくないと 自粛し
最高馬力は自主規制で 排気量毎に決めるといった念の入った規制で止めなければ 行ける所まで行ってしまうことになってしまいます。
なぜなら1馬力でも高ければ それだけ車の性能が良いとお揉みこませるような広告を打ってきたわけですから。
有名な車のCMでは、「+100ccの余裕」というキャッチコピーがありますが この+100ccには馬力の要素を大きく書いた広告が着いたわけです。
では、PCの世界ではどうでしょう。
いまでこそ、あまりにもたくさんの種類があってぐずぐずになっていますが 少し前までは Ghz競争というのをやっていました。
現状でもCore2は3Ghzを少し超えた程度ですが、Pentium4の時代は3.2Gなどをすでに出していました。
今はどちらかというと CPUコアの数がスペックを決めるような風潮で、2コアは当たり前で少し良いものは4コアで やはり狙うのは6コア 将来の8コアに備えるなど といった段階的な広告が打たれています。
付加価値のほうは、チューナーだったり 小さなところではメモリーカードなどです。
 
新しいLet’s Noteとネットブックを比較してみると(ネットブックは複合で比較しますのでフェアとは言い難いのですが)
バッテリーの持ち時間 では ASUSのものなので8時間を超えるものがあるので同等のものがあります。
画面解像度は 1024x768に対して1280x800のものがあったりしますのでこれもそれなり
重量も Let’s Noteの1Kgを切る重量は発売当時驚きでしたが 10インチの液晶サイズのモデルでも1Kを切るものは出ています。
堅牢性に関しては 100kgの天板強度などがうたわれていますが これもあります。
CPUに関しては 現行はCore2 1.4Gなのですが 最新のモデルは廉価版モデルとして CoreSoloが出るそうなので その場合にはATOM Dual Coreであれば同等以上のスペックを示すことができると思います。
グラフィックに関しては、IONプラットフォームであれば 3Dゲームが可能で、Bluerayビデオも楽しめるので上かもしれません。
じゃあ、となってしまう気持ちも分からなくはない。
 
私がLet’s Noteを嫌いなのかというと実はそういうわけではないというか2世代にわたって使い続けたわけですから嫌いなわけじゃない。
ただ、他社に比べて頭一つ高いので買えなかっただけなのです。
うまく入手する機会が前二台にはあったのでこれは幸運ということで、このPCの仕事で使うと考えたときの良さは格別です。
破たんしないキーボードなどはやはり良いと思います。たとえば店頭で中古を比べてもらうとわけるのですが 5年前の中古を見てもかなりパリッとして見てると思います。
PCによってはよく使うキーのキートップがてかてかに光って消えていたりとか かなり使用感があるものもありますが 思いのほか程度の高いものが多いと思います。
昔からヒンジのカバーなどがとれることはありますが、ヒンジそのものがぐらぐらするものも少なかったと記憶しています。
Rだけでいえばファンレスだったり(最近は違う)、はね上げ式のDVDドライブ等もこれしかないという魅力を持っています。
天板が100Kに耐えるからではなく 全体のつくりが良いから Let's Noteなのだと私は思っているのですが・・・・
いざ、電気店の店頭に行ってみると 天板が展示してあって ばねばかりのPOPがあり 100Kgと大きく書いてある。
売りたいのは100Kgに耐えうる天板だけなのか? と疑いたくなる宣伝です。
「〜時間駆動」とか「9〜〜g」とか分かりやすいキーワードに示される広告文句だけが飛び交っています。
前例で出したのはつまりこの部分で、キャッチとして特徴とした部分だから 他のメーカーは逆にその部分だけは揃えてくる。
以前にこれも書いていましたが、メーカーはネットブックの寿命を3年と読んでいるのはバンドルソフトの期限で想像できること。
Let’s Noteは少なくとも5年は共にできるPCだと思っています。
私のような浮気者でなければなのですが・・・・
 
自ら作った販売の為のモデルが 結果的に自らの首を絞めるようになり
特徴としてピックアップした機能だから それを目標に対抗される。
本来の すべての使い勝手を重視するではなく、それだけで比べてみるなら価格の安いものが有利になるのは当たり前。
今がその状況だからなのです。
各社こぞってSTDノートと呼ばれる層の価格を引き下げ Let'sも大きく引き下げたモデルを出します「必要のない機能を絞って」はいままで必要のない機能を購入させていたのか(付加価値の否定??)性能うはそのまま価格を絞ったとすると なんとなくユーザーにとっては逆に納得のいかないところでしょう。
ブランド品ではないのですが、そのあたりをブランドに求めるのではなく それ以外に求めた付けが・・
液晶テレビではないのですが、それで有名になったブランド名を 切り売りするように表示装置の付いたものすべてに使っては ブランド力そのものが無いのと同じになってしまいます。
本来のものづくりの点で勝負ができない、そういう時代を作ってきて その時代に飲み込まれてゆくというのも悲しいことです。