充電式乾電池

パナソニックから驚くべきパワーの乾電池が発売されていたのですが いつの間にか無くなってしまいました。
以前書きましたが、電圧がちょっと高めなのです。
やってみるとわかるのですが何の制限もされていない機器では 電流が流れ過ぎて壊れてしまうという事態が起きたようです。
どんなに良くて規格に合わなければという 典型のような話です。
 
先日、とあるところであったのですが 充電式電池を使うとマウスが動かないという話。
いわれてみればそう珍しい話でも無く、実はよくある話だったのです。
モーターを使った子供のおもちゃ等はてきめんで、昔ながらの懐中電灯も明かりの色が黄色くなるわけです。
何故かというと問題は簡単で、電圧が1.5Vの乾電池に対して 充電式電池は1.2Vしかないという事です。
もちろん、1.5V定格だからと言ってちょうどではなく 購入した時は1.6Vぐらいで徐々に落ちてゆくとなるわけで前述のハイパワー電池はどうも1.7Vぐらいあったようです。
じゃあダメじゃん と言いたいところなのですが最近そうでもない。
というのも・・・・というはなしなのですが。
 
電子機器の駆動電圧はおおよそ決まっています。
たとえば12Vだったり 5Vだったり、3Vだったり 事によっては1.5Vだったりと。
解りやすいのはPCの電源を見ると 12V、5V、3Vなどと出ているはずです。
少し前までは12Vと5Vだけでした。
じゃあ、なぜこれなのかというと歴史的に意味はあるものの今となっては実はたいした意味は無い。
ただ、このチップは1.2Vでこれは1.5Vとかとなると収拾がつかなくなるので できる限り同じ電圧に集めた結果こうなったと言えるでしょう。
おおよそ電気回路の多くは5Vで駆動しておりずっとそうだったのですが、昨今では3V以下の層に移ってきています。
バッテリーでの駆動の為です。
3Vであれば乾電池2本で動作する訳ですから、5Vの6本に比べてずっと楽になるわけです。
特に、消費電力が少ない機器においては サイズやデザインの自由度から少なくする方向になっています。
問題はバッテリーが消費される事で徐々に電圧が下がってゆくことです。
モーターや電球であれば 回転が遅くなったり暗くなったりで済みますが小型の演算回路などが入っていると(ってもう入ってないものなんてないのでは・・・というぐらいたくさんあります)困るのは動作するかしないかぎりぎりのところに来た時で、演算中のデータが欠落したり 結果がおかしかったりするわけです。
実のところどうなるかわからない。
事によっては「ぱるぷんて」な事が起きてしまいます。
一気に電池が無くなってくれればよいのですが、徐々になくなってゆくので電池の交換がなされるときにある一定以下に下がった時に動かなくなるまでの間におきに魔の黄昏が存在したのです。
 
で、そこに救世主のように現れたのはアルカリ電池です。
電流容量が大きい事もさることながら、その電圧消費曲線は見事なもので 1.5Vを割り1.3Vあたりに至ると「カクン」と一気に力尽きる特性を持っています。
魔の黄昏の直前まではぎりぎり頑張って、一気に黄昏期間を飛び越してしまいます。
つまり不安定を生み出す期間が無いわけです(もちろん、確率的に少ないだけ)。
最近は見ませんが海外から入ってくるものの中には 「アルカリ電池専用」と書かれているものもありますがあれがそうです。
マンガン電池を使うと 魔の黄昏が発生して「パルプンテ」が起きるわけです。
では、最近書いていないのはなぜかというと これに困る人はたくさんいてある一定以下に電圧が落ちると電気の流れを止めてしまうようなチップが出た事。
これは非常にうれしい発売で、みんなが困っている問題をこれ一つ入れるだけで解決したわけです。
メーカーは故障だと帰ってきた機器にマンガン電池が入っていたりするとそれだけで溜息をつくような状態になるので できるだけ予備対策を取りたかったので日本製の機器のほとんどにはこういった回路が入っていることがほとんどです。
これでどの乾電池もOKと言いたいところなのですが これが入っている故に困る事も出てきました。
それが、充電式電池の1.2Vなのです。
充電完了すぐなら たとえばエネループなどは1.4V近い電圧を出してくれて良いのですが もう少し下がると魔の黄昏帯域に迫ります。
そこで働くのはある一定の電圧に落ちると切っちゃうスイッチ。
全体の力は残っているにもかかわらず、そこで終わりという扱いとなります。
で、充電電池では動きませんとしっかり書かれた器具がたくさん出てきたわけです。
ここ3年程前の電化製品の多くには 充電式電池では動きませんと ちゃんと取扱説明書には書いてありました。
 
では最近はどうでしょう?
電圧で解りやすいのは よくある小さなLED懐中電灯を思い出してください。
机の中を探れば1〜2個出てくるよくもらえるような安いあれです。
電池を交換しようと開けてもらうとわかるのですが、小さなボタン電池が4個入っています。
これは何故かというと、白色のLEDの駆動電圧の問題で5Vが必要です。
で、1.5Vx4で6Vに抵抗を入れて調整しています。(暗いLEDを明るく見せるために抵抗抜いて 短い命にした商品もちらほら)
ところが最近2000円ぐらいのを買うと、単4 1本とかになっています。
1.5Vでは点灯しないので昇圧回路を入れて稼ぐわけです。
昔は回路を組んでいたのですが 今は1チップでやってくれる便利な子がたくさん出ています。
価格によって効率などが異なりますが、たくさんのメーカーから出ています。
同じように他の機器用の物も結構出ています。
出力電圧を特定すれば、かなりの幅の電圧からその電圧だけを作ってくれるという便利なもので これで乾電池式の機器の安定度もぐっと増したわけです。安定化電源の働きをするわけです。
で、すこし前に戻ってください。
1.6V〜1.3Vどの入力からでも 5Vが出てくるのであればどれでもいいかなと・・・・
つまり、電圧の低下が機器に与える影響がなければ電源の事を考えなくてよくなるわけです。
前述のマンガン電池チェック回路も必要なくなります。この電源ユニットが動作しなくなった時点で出力が無くなるので電圧の手近レベルの限界を意識する必要がない機能の付いたものもたくさんあります。
こういった回路を実装することが増えたので、今度は充電式電池でもよくなってきたわけです。
 
時期を外さずして、エネループなどの充電式電池が注目を浴びています。
乾電池式の器具が増えてきたことも追い風でしたが、エコというキーワードには使い捨ての代名詞のような乾電池はそぐわないわけです。
機器が前述の理由で 充電式電池への対応が増えれば充電式電池でもよいというわけです。
と、喜んでばかりいられないのは 普通、器具を買った人は中の回路まで解らないわけです。
どこからどこまでがOKでどこからどこまでがダメなのか。自分の危機はどの時期の物なのか?
中国製のノーブランド等では いまでもいろんな時期の商品が混在しています。
区別のつかないものは混乱を招くわけですが エコなのでなんでも許されるのでしょうか。