通信ケーブルには寿命があります

よく、LANケーブルは良いものが なんて言われますが そんなに良いものが良いですか?
 
例えば時速250K/hでるスポーツカーに乗っていて サーキットのような特別な環境でないとこの車の性能は発揮できないという話があったとして これは正論と言えば正論です。
多くの場合は車は大丈夫でも、運転手は大丈夫でなくて その速度まで踏み切れないものなのですが・・・・
それに対して、荷物運び用の軽自動車に乗っていて、サーキットでないと性能が出ないと言っても笑い話となるわけです。
勿論、もうすぐお金をためて買うんだと言ったところで 5年先ならその維持費を5年分払い続ける事が無駄となってしまうわけです。
乗る車に合わせた道を用意すればいい話なわけです。
 
Cat5eとCat6を並べて、若しくはCat7のケーブルを並べて どれの性能が良いと言ったところで言うまでもないわけです。
カテゴリーは数字が上がれば上がるほど性能が良くなるわけです。
ちなみに、Cat5eが100Mhzまでで、Cat6は200Mhz(250Mhz)です。
Cat7を書かないのはカッコ内は判っているけど カッコ外が良くわからないからです。
カッコの内容に関しては まあ、気にしないでください。
でこれはあくまでもケーブルの規格というスタンスです。
配線規格でいう所のCat表記もあるので間違いやすいところです。
 
じゃあ、ネットワークのプロトコルに目を移すと
例えば 10Base-Tとか100Base-Tとか1000Base-Tとかっていう表記のものです。
最後の「T」はモジュラープラグ型コネクタと考えるのが自然なので良いのですが 間の数字が伝送速度となるわけです。
で、性能的にみると 10base−Tで10Mの伝送速度で利用帯域は10Mhz(16Mhzという場合もある)
100Base−Tで100Mの伝送速度で利用帯域は 33Mhz
1000Base−Tで1000M(1G)の伝送速度で 利用帯域は 80Mhzとなっている訳です。
現在、一般的に使われているネットワークは1Gが最大なので 最大利用帯域は当然Cat5eで十分なわけです。
(例外もあり 1000Base−TXでは Cat6必須 正しサーバー用のネットワークカードと 車が買えるほどの金額のHubが必要)
 
では将来性に目を移して 10GBase-Tの時代にきっとなるから・・・・というなら話は判ります。
この間の偉い議員さんの仕分け作業で 10Gや100Gnoネットワークが必要だという次元の話では実はありません。
あれは、基幹となるサーバーで利用するネットワークの話。1万台のPCがアクセスするコンピューターだとすると 全部のPCが一斉にアクセスすると 1台あたりのネットワークの速度は10G(10000M)を1万台で割ると 1台あたり1Mが最大速度となるわけです。
現状のストリーミングサーバーなどで考えると帯域不足となるので 10Gや100Gが必要になるのだという話が仕分けで 「必要ない」と判断されて 無知をひけらかすなと言っている訳ですが
家庭での10Gの利用は 完全に仕分けられてしまう対象に入る 必要が無いのではないかという速度となります。
今のところネットワークカードのアクセス速度がHDD等を上回り 効果が出ないからなのです。
もう一つの問題点としては、10Gのネットワークは ACat6以上の性能を持ったネットワークでしか使えないからです。
つまり、いまCat6を施設しても 10Gのネットワークに変わる可能性はほぼ0になるわけです(何らかの新しい伝送方式が登場すると判らないけど)
 
じゃあ、Cat7で引けばとなるわけですが、電線の規格は出来ていますが 配線規格の規格はまだできていません。
工事を行うに当たって どうすれば良いのかは実は判っていません。
配線規格のそろっている ACat6で工事を頼もうにも、ACat6用の モジュラープラグくださいとお店で言ってみると判りますが そんなものが市販品で存在しないのです。
機械的にモールドされたものでは存在するわけですが それでは工事が出来ないのです。
実際のところ検査方法に関しても 各社各様ではっきりこれといった基準がなかったりもするわけです。
Cat7に関して言うなら 「モジュラープラグではもう無理でしょう・・・」と言っている段階。
百歩譲って ACat6で工事が出来たとして、実際に10Gが家庭に入ってくるとすれば現在の2世代以降後のCPUが登場したころからと言われています。
CPUの一世代は速くて2年程度。現在のCoreがあと1年続くとして 5年後以降と想像されます。
勿論サーバーに対してはもっと早いとは思われますが。
で、5年後に今引いたネットワークケーブルはどうなっているのでしょう?
 
約0.5mmのケーブルなのですが 銅でできています。
銅は錆びない金属ではありません。これは徐々に錆びてゆきます。
端子はどうでしょう。電気を流す訳ですから帯電しやすく 帯電すれば埃や空気中の金属を引き寄せ 表面にコーティングされてゆきます。
風が吹けば細かいほこりで表面は削られてゆきます。
あの硬いガラスでさえ 何年か放置されれば細かい埃がつける傷でもろく割れやすくなってしまうのです。
細かい傷と空気中の水分が電線を弱らせてゆきます。
で、一般的にネットワークケーブルの寿命について語られる事は無いのですが 5年もすれば目に見える形での劣化は性能的には起きています。
その証拠に、家によってADSLの伝送速度が異なるでしょう。古い家等では配線が悪くて速度が出ないという事に泣いた人も少なくなかったはず。
あれ以上に速い帯域を使っているのですから 当然発生するわけです。
現在の技術では 帯域ぎりぎりの性能しか出せていないケーブルが5年後にちゃんとその帯域を確保しているかどうかに関しては大いなる疑問となるわけです。
 
帯域が広いという事は、単純に1と0だけでなく 0.1を1とし0.2を2とすると言うように複数の情報をもった信号を流したときに その段階の分解能度の高さを表現することも可能になるわけです。
故に帯域の余裕は 伝送中のエラーを減らして実行速度の向上には寄与しますので効果が無いわけではありません。
ただ、規格以上とか配線規格の出来ていないようなケーブルを用いることは 化ならzぅ氏も良い結果を生まない訳です。
ちゃんとした工事がされているCat5eの配線に対して、今のコンピューターを繋ぐ限り 一切の速度向上も見られませんし(論理上) ケーブルを変えたから音が良くなったというような フラシボー効果以上の何物もない効果しかない訳です。
勿論、書いてあってもその性能が出ないパーツも多々あるわけで、性能比較をして笑いが漏れた事もあります。中を開けてみるとCat3の電話線が入っているLANケーブルなどは見た瞬間腰が抜けそうになりました。
勿論、用途によって使い分ければよいわけで SlingBox日本版に同梱されていたケーブルは私のものはCat3のケーブルでしたが それだけの性能しか出なかったSlingBoxにとっては、Cat5と書いていないケーブルでしたから良かったわけです。(勿論私は交換しましたけどね)
 
どんな良いものにも寿命があって、寿命を超えたもならば安いものに負けてしまうわけです。
例えば5〜10年前のビギナーズ向けの20万もしたノートPCなどは 現在の5〜6万円のネットブック+達には全てのスペックで叶わない訳ですから。
比較的寿命の長いものなら良いのですが LANケーブルなどは隙間の多いモジュラープラグなど 必ずしも性能ではなくお手軽さを優先された端子などを使ってますので そのあたりを考えると無駄な先行投資は避けたほうがよいと思うのですが・・・・
提灯記事や耳年増が多くて困る世界ですよね・・・・

written by HatenaSync