ネットブック

一時期はスーパーなどでも販売されていたネットブックなのですが 既に下火になっていて、それに対してローエンドのデュアルコアのノートPCが勢いを見せているようです。
4万円台ぐらいを境に両者が分かれるわけですが、両者の性能の差は顕著なものです。
これは単純にハードウエアのスペックからくるものではなく、例えば液晶のサイズやメモリーの容量なども含め Windows 7 Starterという安価なOSをインストールできるための要件を満たしていることに過ぎず このOSの為に非常に簡単に付加できるべき性能を低く保たざる得ない場合もあります。
もちろん、CPUのスペックや組み合わされるチップセットの関係で 例えば動画再生機能が弱かったり 一部のゲームで利用されている機能が使えなかったりと制限があるわけです。
あたりまえななのですが、ソフトウエアを提供する側がハードウエアを限定して 安価にOSを提供するというような仕組みは やはりうまくゆかない商品が多いわけです。
価格があまり変わらない層に 性能が格段違うというよりそういう制限を受けない種類の製品が出てきてしまえば 見てのとうりの衰退も納得のゆく話となるわけですが・・・
 
日本という国ではこういった制限を設けるのが好きで、その枠内での商品を作り出すのが比較的特異な民族です。
例えば、世界でも有名な日本車ですが、日本の法律上 横幅1.7m以下で2000cc未満の車種とそれ以上の車種に明確な区分けがあった時代があります。
以下は通常の税率ですが、以上はぜいたく品として税金がかかるという状況でした。
今ではあまり区別しませんが3ナンバーというのは ある意味お金持ちの象徴だった時期があったわけです。
そのおかげで、小排気量なエンジンの性能向上に注力し、小さなボディサイズで広い空間を作る技術に力を注いだわけです。
そういった制限のない国では、当然少し良いクラスの車を設計するにあたり 大型化、大排気量かという道を選択できたために 海外では5lクラスの車が出てくるわけです。
横幅制限の関係で スタビリティが低下するのを覚悟で 縦長な車が町中を走りまわることとなったわけですが、正しく設計がなされた横幅の広い車や ハイパワーな車たちはその輸入にかかるコスト以上に高い税金に苦しめられて 結果的に日本国内に海外の車が輸入される状況を規制し その間に進歩した日本車が オイルショック以来世界中に輸出されてゆくこととなるわけですが こういったところにも規制による影響は少なくないわけです。
日本酒などもそうで、現在のように飲みやすくなったのは実は最近のことで 昔はもっと高いアルコール度数だったわけです。
アルコール度数に税金のかかる時代に その規制枠をくぐる為に加水するという事を覚えて、故に基本的に水で割ったりしないで飲める お酒として飲まれるようになるわけです。
 
ネットブックもそういった規制を受けて登場したものですので日本人に好まれたものかと思っていたわけですが
実際は、ちょうどネットブックの価格が 通信回線業者の作った割引額相当であったことから、「0円 パソコン」とまるで携帯電話のような販売方法が生まれたことによるものです。
違約金制度を持つ販売で、二年間の契約内に途中解約すれば 解約金のかかる契約です。
月々の通信費用を払えば PCが無料で手に入るという仕組みに乗って 世の中のこういったパソコンが欲しくてしょうがなかったお父さんの背中を押したわけです。
結果的にこういったパソコンを持ち歩いている人をあまり見ないのは、こういうしくみは実は世のお父さんたちは使いこなせなかったのかと心配になるわけです。
現実、街で見ててもそろそろ2年経過ぐらいなのですが 実際のところ代替えが注文とシチエ入っている姿は以前のように見られなくなっているような気がします。
めっきり、i-Padなど用の ルーターをせっせと売っているように。
 
枠の中という事であれば、UMPCと言われるPCも実は前述のネットブックたちと同様のスペックです。
画面サイズが4〜7インチぐらいなので 逆に大きな解像度を生かすほどもなく、HDDの容量も、ヘビーなOSも必要もなく 制限内を水を得た魚のように泳ぎ回るわけです。
私が持っているものでいえば 工人舎 SC、Viliv S5、Mbook M1、少し違いますがWILLCOM D4等がそれにあたります。
このあたりは制限を得たことで 逆にスペックの上限を少しでも伸ばすというベクトルと価格やサイズを低くするというベクトルの最大公約数を取るための難しい計算を放棄して、低い上限性能をどれだけ小さくパッケージングするとか、どれだけ長くバッテリーを持たせるとか、通信機能に特化するなど その枠を決めたことによる商品化が成された例でしょう。
 
ネットブックの衰退により、UMPCと呼ばれるPCたちの新しい商品の噂もあまり聞かなくなってきました。
このスペックで満足できるという層が意外に少なかったのかもしれません。
ただ、マイクロソフトの提供するOFFICE アプリケーションも縦の解像度が足りないこういったPCでも使いやすくなるようにメニューレイアウトを変えてくれていたりして ずいぶん便利に使えるようになりました。
おかげで、最新のOFFICEが最も良いと私個人としては思えています。
Flashもようやく対応したものができて、普通にWEB上の動画も楽しめるようになりました。
せっかくアプリケーションの対応ができてきて 狭いなりに便利に使えるように、低スペックなりに便利に使えるようなものが出てきたら ハードウエアとして下火になってきたわけです。
 
制限により、いろんな意味で市場が歪んでゆくわけですが、制限がある故に商品の開発ベクトルが一つの方向に向けて進んでゆくようになるわけです。
もちろん、それに対応すべくいろいろなソフトが対応してゆき携帯電話のWEBブラウザのように進歩をしてゆくわけです。
ところが今回でいえば梯子を下されたようなもので、今開発中のものを除けば ネットブック用の新製品というのはあまり開発されることもないだろうと想像はできます。
それはそのままUMPC向けの商品もという事。
流行り廃りは世の常ですが、UMPCたちが世に見捨てられるのは 悲しい限りです。
もっとも、もっともニッチな商品たちに一瞬でもスポットライトが当たったことそのものが珍しいことと言えばそうなのですが

written by HatenaSync

追記:そういえば今でも検索キーワードとしてよく上がってくる「ネットブックの寿命」ですが、当時は二年と書いているのですが ここまで来てみるとその通りだったと・・・