付喪神 For モバイル

大事に使っていたものには神が宿ると言われています。
100年以上大事に使われているものには その使った者に応えるべく能力を発揮し役に立つように頑張ってくれるというもので
それが長期間にわたって続くと 神通力を持って神となるというのが 日本の古来の考え方です。
八百万の神様というのは数えきれないほどに多い神様という意味で、一粒の米にも7人の神様がいるわけですから 日本全国で数えるとそんなに少ないはずはないので無数という意味にとっても良いかと私は思っています。
神は祟るものという言い方もあるとおり、神には祟られないように頑張って祈るというのが基本のスタイルだそうです。
若しくは力の強い神様に祈って気にかけてもらう事で他の力の弱い神様が恐れて近づかないようにするというのが それらの効果という風に聞くのですが 間違えているかもしれません。
 
残念なことにモバイル機器に関して言うなら 大事に使うかもしれませんが 2年もすればそろそろ・・・どころか私や私の周りでは 
「へ〜1年も持ってるの」なんて会話がなされるほどで、とても神様が宿るとは思えない機器ではあるのです。
時折「神機」なんていい方もしますが、これらは全く別の意味です。
それでも、自分にとっての相性などはあり 調子の悪い時が必ず必要な時など(調子の悪い時点でどうだという考え方もあるが)なぜか間の悪い機器もありますので まったく関係が無いのではないのではないかと オカルトめいた感想を抱くときもあるわけです。
 
恐らく忘れないだろうデジカメに つい先日まで持っていたEX-FC150というカシオのデジカメがあります。
このカメラは ハイスピードエクスリムと呼ばれるモデルで なにより他のデジカメと異なる機能として持っているのは超高速度撮影機能です。
1秒間に数十枚の写真を撮影できる機能で、900万画素の写真をそれだけのスピードで撮影するので 逃したくないシーンでは非常によく使えます。
もう一つはハイスピード動画撮影機能で、最大1/1000秒ぐらいの動画が撮影できます。
水が水面に落ちる瞬間の映像など、通常肉眼でとらえられない画像などの撮影が出来ます。
Youtubeにも上げましたが、パチンコで玉を打ち出す瞬間をカメラで撮影すると 動く弾の姿が確認できるという非常に驚く映像が撮影できます。
背面照射型CMOSという技術的に新しい素子も使われており、高速シャッターと明るい感度を持つ素子のおかげでこういったことが出来るわけです。
逆にCCDほどこなれておらず、写真を撮影するという意味ではカシオそのものが別のラインナップを持っていることからも解るとおり、これだけではだめだという点もあります。
記録写真ならともかく平坦なイメージな写真の出来上がりなどがそうなのですが まあ、どちらかというと仕事メインで使っていたカメラなので十分なクオリティが現在のカメラにはあるわけです。
正直、そういった意味では可もなくという印象でした。
ただ、結婚式場で撮影したときに ケーキカットでケーキにナイフを入れる瞬間などやキスするシーンは実はどうやってもうまく取れにくい瞬間なのです。
眩しいフラッシュに目をつぶったり、フラッシュが偶然同期されて光が大きくなりすぎて露出が合わなかったりといろいろな事件が起こるわけです。
流石に30枚も1秒で撮影すると どれから結構いい具合に使えるものです。
カメラとしてどう思うかに関しては私の日記の古い物にも書いていますし、今はEX-FC160Sに変っているのですが基本的に同じカメラなのでこちらのページを見ていただけばわかるのですがこのカメラにはもう一つ私にとってだけの思い入れがあるわけです。
偶然という言葉で片付けるのであればそれでいいわけですが・・・・
 
以前、会社の近くを歩いていて 面白い形の雲があって写真を撮ろうとしたことがあって カメラのボタンを押して起動したのですが レンズが伸びたものの液晶画面が写らないわけです。
あちこちいじってみたり、バッテリーを抜いて入れなおしてみたりしているうちに何事もなかったかのように元通りになったわけです。
ようやく・・・・と思って写真を撮り終えて 横断歩道に足をかけた途端に目の前を横切った車が止まっている車にぶつかってきれいに90度回りました。
比こそ出なかったものの 横断歩道上で90度回るというアクロバティックな動きを見せてくれました。
その写真を撮ってみたりしたのは ちょうどカメラを出していたからです。
ただ、そのまま前に足を進めていたら実は危なかったなと・・・
そして、先週の話なのですが これは日記にも書いているのですが 水曜日にこの子が壊れました。
沈胴式のズームレンズが前に出たところで そのまま固まったいわゆる以前の状態です。
画面も出ないですし、なにも動きが無い。
電池を入れ替えて 電源スイッチを押すと「ピッ」と音を出して 「くっくっ」とモーターの駆動音
そして沈黙と何もできないわけです。
バッテリーが切れたかもしれないと、その夜ホテルに帰ってバッテリーを充電して翌朝チャレンジしてもダメでした。
壊れちゃったとトランクに入れて持って帰る準備をしたところでトランクの中にしまいこみました。
 
そして、金曜日にあの地震です。
カメラがあればとは言わないのですが、無かったので携帯電話のカメラではズームが出来ないので 展示会場の写真を撮るのには(ちゃんと許可をもらっています)近づいて取らないとダメでいつも以上に時間がかかったいたわけで そして地震があったわけです。
状況は日記に書いている通り 広いメインストリートのような通路にいたところで地震が発生なのです。
被害は大きくはなかったものの、それでも落ちてくる荷物でけがをされた方もいなかったわけではないのです。
そういう目には合わずに済みましたし、宿も飛行機も確保が出来ていたわけです。
偶然でしょうがなんとなくタス柄kられているような気がしませんか?
綺麗にはしていませんが大事にはしていたはずです。
 
一昨日、この子を家に持って帰って 不憫だったので精密ドライバーでケースを割って 少しいじってみました。
実は既に新しいカメラを購入しています。
ばらし始めてどうしても動かず、やはりカメラは仕事でも必要なことから購入したわけです。
ところが、さっきもやったはずなのに ケースを緩めるところで 幾分レンズの動きに余裕が出来たので もしかしてと電池を入れなおして 電源を入れると「かっかっかっ」と三度ほど音を出してレンズが収納されて、あらためてでてきました。
もちろん、ここまでくれば液晶画面も映りましたし普通に使えるようになりました。
「あれ?」というのが正直な感想です。
 
機械というのは残念ながら自動的に治ったりすることはありません。
削れたギアは元通りに戻ったりはしないわけです。
こういった引っかかりは二度と改称することは無く ある一定の確率で起きるわけです。
もしかしたら今まで救ってくれるために身を削ってしまったのかもしれません。
もう、役目を終えたので 新しいカメラを買ってくるまで動いてくれなかったのかもしれません。
いとおしくなってちょっときれいに拭いてみました。
さあ、どうしよう・・・・・・
 
オークションで売るとかそういったことはもちろん考えられないのですが、このまま箱詰めされて私の書棚の上に積まれるだけにするのもやるせないわけです。
私の会社にカタログを作ったりする部署があるわけでですが DTPソフトを作ってチラシを作っている部隊があります。
そちらに行って 
「使ってもらえませんか?」と差し出してみたわけです。
いままでも私のカメラは良くここに遊びに来ていたので そういった話はしやすいわけです。
「いいですよ」と二つ返事でOKでした。
ここなら、すぐに動かなくっても困ることはなく 毎日のようにデジカメの本文として働けるところ。
恐らく私が使っている状況よりもずっと利用頻度は多いはずです。
「レンズが引っ込まなくなったらばらしてみるから言ってね」といって
新しいデジカメをもらった時にもらった 真新しいSDカードを入れて箱にきれいに詰めてお渡ししました。
今日も元気に働いているようです。
 
もし、付喪神というものがあれば恐らくこの子にはいたのではないのでしょうか?
ただ、期間も短くて恐らく愛情も足りなくて 力などわずかにしか発揮できなかった事でしょう。
それでもがんばって教えてくれたのかもしれません。
だとすると私の為に縮めた寿命の分も、道具として指名を全うして こんどこそ壊れて動かなくなるまで頑張ってもらいたいなと そしてそれが一番喜んでもらえるのではないかと。
思い出に残るカメラの一つとなりました。



written by HatenaSync