コ・プロセッサ

タイトルに出てきた「コ・プロセッサ」ってご存知でしょうか?
日本では未だNECがPC9801で栄華を誇っていたころ
ようやく PC/ATと言われる海外標準の互換機が日本に入ってきて IBMから DOS/Vと言われるMS-DOSの日本語ローカライズバージョンが実用的に販売されていたころ。
Windowsが立ち上がったころの話です。
x86系と言われる Intel製のプロセッサは 8086の頃にはXTと呼ばれるIBM機で使われ その後80286がPC/ATの標準品となる。
これの互換機がCompacなどから登場するのに それを上回る販売を見込むために Intel製80386プロセッサを実装してきました。
そして、趨勢は互換機の方に進んでゆくことになる訳ですが・・・・
 
80386からその次の世代80486(ちなみに80586と言われているのがPentiumという初めて名前を冠され 数字での表記が終了する)の時期に存在したのが「コ・プロセッサ」です。
じゃあ、これが何をするかというと・・・・ 今いうと笑われそうですが 当初のCPUは整数演算機能を持っていて 当然それの組み合わせでそれ以上の計算もできますし 一応、小数点の付いた計算もできるわけですが 計算速度的に式を分解して計算するのでそんなに速くは無かったのです。
それを補完する為に 演算専用のプロセッサを別に用意したのです。
80486の時代では 後期には同じチップ内に同梱したタイプのCPUしか出荷されなり 呼び方も486と前の80を取った形で呼ばれるようになり486SXがコ・プロセッサ無、486DXがコ・プロセッサ付という風になり その後CPU内のクロックと外部クロックが一致しなくなり(CPう内部だけ倍速とか三倍速)DX2とかいう風にSXの文字の付いたCPUそのものが消えてしまい 一緒にコ・プロセッサも無くなってしまうわけです。
何故、無くなったのでしょう?
理由は簡単で CPU内部のクロックは上がってゆくが外部のクロックは上げ止まりなので その外部クロックのデータ転送を待っていると数値演算プロセッサの効率が著しく落ちてしまい効果が出ないからなのです。
内部クロックの倍率が上がった時点で消える運命となったのです。
同じ理由でこの頃から始まった CPUの複数個搭載したPCも思ったほどのパフォーマンスを発揮できずに伸び悩むわけです。
 
その後、CPUの世界でコ・プロセッサの必要性なのですが この点での進歩は非常に著しく
Intelで言えば MMX、MMX2、SSE、SSE2SSE3、SSE4と浮動小数点演算だけに関わらず 高精度な演算への対応を追加していったわけです。
3D等の画像処理、暗号化処理等のデコード エンコード等々 多くの処理に効果を与えたわけです。
というか実は CPUの演算速度の上昇よりもこの点の追加で新CPUとして登場する事もあるぐらいで かなりのCPUの性能における重要要素となっている訳です。
もし、これが同梱されていなければ CPUのロードマップは非常にシンプルでわかりやすい物となったでしょう。
これは余談ですが、これにキャッシュの方式を統一して容量を固定すれば CPUの種類がぐんとシンプルになる訳です(笑
あとはクロックの差ぐらい・・・・
 
じゃあ、コ・プロセッサって無くなったのか?というはなしですがじつは何も演算補助だけがコ・プロセッサの意味では無いのです。
CPUに機能を付加するチップのことをコ・プロセッサと呼ぶのは間違いではないのです。
という意味で言うなら ここの所登場しているGPUがコ・プロセッサと呼ぶにふさわしい物であるわけです。
今になって・・・ですが コ・プロセッサが注目を浴びているのです。
 
GPUと言えば NvidiaATI(現AMD)を想像するのですが PC市場でもっともGPUを出荷しているのはおそらくIntelです。
見たことないと言われそうですがそれもそのはず IntelのCPUの中に入っているからです。
現在ではラップトップ型のPCの出荷台数がデスクトップを上回っていて 殆どがGPうを別に付加したりしないのでGPUの出荷ではIntelとなるわけです。
ただ、性能的には前述両者が提供するローエンドと呼ばれる最下層の物においてもIntel製を上回るわけですから その性能はしかるべきなのです。
ただ、それほどに性能が低いと仮定するなら 伸びしろは沢山あるわけです。
今回のIntelのCPUの性能アップの大半が GPU周りだったことを見ると その姿勢は伺えるわけです。
これをコ・プロセッサと言わずして・・・・なのです。
Intelもその技術を伸ばすことこそ・・・なのですが CPUの性能の振るわない AMDが最近GPU同梱CPUで市場を少し伸ばしています(無い物の市場が縮小しているので 全体で見れば・・・ですが)。
これはそれだけGPUの性能が 比較の肝になっているというのがうかがえるわけです。
そういう意味では Intelの方が伸びてゆくように思いますが・・・・
 
現状、PCの生産台数よりSmartPhoneの生産台数の方が多いというのが実情です。
Tabletも含めるともっととなる訳です。
これらでも 実はGPUの性能が話題になってきています。
例えば3世代目のiPad登場時には、CPUはDualCoreだがGPうはQuadCoreっていうような表現になったわけです。
勿論、画面描画の性能も大事なのですが それと並行して 複雑な計算の一部を演算処理の得意なGPUを演算用コ・プロセッサとして使った処理が当たり前化しつつあるわけです。
その中で 注目を浴びているのは PowerVRと呼ばれるグラフィックチップです。
このままの名前で表記しているのはおそらくTIぐらいなのですが Tegraを除く多くのCPうで使われているグラフィックチップが名前は違えど PwerVRなのです。
このGPUはもともと科学計算の為に開発されたもので そのまま動画のエンコードチップとして画面を表示させずに使われていた時代もあるわけです。
チップの生産メーカーで無い事もあり ARMのCPUのようにライセンス販売で一気に市場を広げている訳です。
 
そろそろ視点は実際のグラフィック機能だけでなく 演算用のコ・プロセッサとしての機能に注目が集まりつつあります。
それに目を向けてゆくとこの先の新しい物が解ってこないかなと・・・・

written by HatenaSync