パンくずは小鳥が食べてしまいました。

ヘンゼルとグレーテルという話は知っているでしょうか?
絵本によっては「お菓子の家」なんて名前になっているのですが お菓子の家にたどり着く所が有名になっているお話です。
結構怖い話で 子供が 森に置き去りにされるお話です。
食い扶持減らしという非常に重いテーマなのですが 子供も頭がよくて 1度目は目印となる石をたくさんポケットに入れて出かけて 目印にして家に戻ってきます。
二度目は それに気が付かれて石を持っていけなくて 食料となるパンを小さくちぎって目印として置いて行ったのです。
ところが、森の中にそんなものがあれば想像すればわかるのですが 動物や小鳥たちが食べて無くなっていて 結局道に迷って その結果お菓子の家にたどり着くというところで 絵本でよくある話となるわけです。
無邪気な子供どころか、頭の良い 大人の話を信用しない子供ではあるわけです。
 
子供なので、頭は良くても経験が足りなかった。
故に、動物や小鳥のことを考えに入れられなかったという点に問題はあったわけですが、そもそも たとえ戻っても2度も捨てられるわけだから 3度目もしくは4度目とあってどこかでこうなったのでしょう。
根本的に問題を解決せずに 現場対処のうまい人というのは 重宝されるが実際の貢献度は低いとか 今ならコメンテーターに突っ込まれそうな話です。
では 今の時代に話を持ってくるとどうでしょう?
 
もちろん、森に入って迷子になれと言っているわけではなく ネットでの話です。
ビッグデータの収集に大手企業は躍起になっているのはそれらを扱うプログラムが登場したからで 今まではごみのように捨てていたデータが宝物に変わる瞬間で ゴミが宝物にというのは本当に錬金術の世界なのです。
例えば、電話で聞く問い合わせやメールによる問い合わせを 現場の担当者が答えている。
これを体系的にまとめるとなると現場の担当者以上に 素晴らしい回答をできる人が 言葉遣いも丁寧に 商品や複数のキーをタグとして割り当てて 分類がマイナーにならないように分類して 仕分け登録してゆく作業が必要だったのです。
そんな人材は存在しなかったので せいぜい現場からのQ&Aというようなマニュアルが登場する程度だったのです。
現場の集大成のようなものです。
ところが AIで作られたBOT達は それらを頻度や内容をある程度の判断のもと自動的にまとめ 複数の回答からより良い回答を導き出すわけです。
秋葉原の小さな店頭で、一つのジャンルの部品だけ売っていた人たちは 昔はわからなくなれば聞きに行けば性能に合わせた部品のチョイスや互換性のある部品をたちどころに教えてくれたわけですが、いまや それも大手に侵食されて行っています。
本当のディープな問い合わせに関しては難しいのですが 一般的な選別となれば そういうネットタイプの販売店は 問い合わせをBotにかけて 最終的には自動的に回答できる仕組みを作ろうとしているわけです。
いずれ、多くの問い合わせはそういったものが 回答するようになるのだろうと思います。
本当に聞きたいことは 聞くところがなくなってしまうかもしれませんが・・・
 
すべてが、そういう良い方向に進むのであればよいのですが 形だけついてゆこうとする企業も少なからずあります。
中小企業向けのセミナーでも最近は登場していますが そもそもデータの量が少ないと 回答を作ることはできないのです。
ましてや、電話問い合わせがほとんどの窓口対応のところで こういうものを運用するためには 問い合わせをそれこそ一言一句聞き漏らさないように入力するような必要があって現場担当者は適当に要約して入れて Q&Aと変わらないものしかできないなんてことも。
これらは、音声認識がかなり高度になって 電話の会話を記録して自動的に作るようなものが出てくるまで待たれるわけですが そのころには同業大手が大きなDBを完成してしまっているということになりそうです。
でも、ここまで行けばいいほうで 結果的にはデータをため込んだ挙句に破棄するだけのところも出てくるわけです。
その中には、適当に検索されて営業活動に使われるデータも。
 
適当にというのは非常に危険で 集めてみたらごみだったとなるとその扱いも想像通り。
これが宝物になる人たちのところにいろいろなルートで流出してゆくわけです。
これだけのデータだと たいしたことではないのです。
こんなことを聞いた程度のことですからせいぜいできるのは 同種の商品を売り込むことのできるお客さんだというぐらいの認識です。
ですが、こういったものが複数集まると話が変わってきます。
Amazonの買い物リストではないですが これにより行動の傾向が測定できるようになるわけです。
展示会場のボールペンの景品1本で 得られた情報はさながら 森にまいたパンくずのよう。森の中には 怖い獣がたくさんいて食い荒らされてしまうわけです。
ヘンゼルとグレーテルは道に迷っただけでしたが、もしかしたら 最初のパンくずを食べた獣は 次もあるかもしれないと追いかけてきたかもしれません。
そうした場合、本人達も食べられていたかもしれません。
同じように 集められたデータからは追跡されることになるかもしれません。
迷った 先に現れたお菓子の家は実は罠だったというのは 絵本のお話。
特定の個人に向けて非常においしい提案がなされるかもしれません。
例えば〜の会員権とか 賃貸アパートの経営とか
お菓子の家は魅力的だったのですが 本当にそんなものが存在するかというと なんのリスクもなくは存在しなかったのです。
 
絵本の世界の話は ほのぼのと終るわけですが、現実の世界ではそうはいきません。
GoogleFacebookの持つデータは、人を簡単に破滅させられるほどの破壊力があります。
いろいろな人の写真から、本人を特定し 本の隅っこに偶然映り込んだという望まない写真まで集約されてしまうのですから 恐ろしい機能です。
果たして 私のパンくずを食べるのは・・・・