立体視と複眼

荷との目が二つある理由なのですが、多くの場合ものを立体的に見ているからというものなのですが 実はそれ以外の理由も少なからずあります。
一つは、目を休めることでずっと両眼で見ているわけではなく 片目を中心にしてみているいわゆる効き目というものがあるわけです。
目にゴミが入った時も 片目だけならそちらをつむって運転し続けることができると危険性の回避として働いているわけです。
そしてもう一つ、視野の拡大です。
魚などは左右に目が分かれているのがそれで 両目で360度に近い視野を持っているわけです。
人の目もそれほどではないにしても120度近い視野角を持っているので 両目であることに意味はあるわけです。
 
立体視の為のカメラとして、二つ目のカメラがあるのですが これらはカメラの距離が問題で 人と同じ画角となるとおおよそ8cm程度カメラが離れている必要があります。
では、それでどれぐらいのとなると 1mの距離で4.5度程度の角度ずれが左右の目で起きるのでそれによって見える場所が変わって立体的に見えるわけです。
じゃあ、とちょっと距離を延ばすと 10mで0.45度のずれ。
100mで0.045度のずれと おそらく何の訓練もしていなければ10mも離れれば左右の目のずれを感じることができずに 実は物の大きさで距離間を測っているわけです。
ゆえに、例えば建物を食べているかのような写真の撮り方をしているものがありますが ああいう写真は脳が違和感を覚え面白い写真として認識するわけです。
 
そう考えると、建物の陰に隠れながら銃を撃ったりするものや、それこそ 女性と息がかかるほどの距離となれば左右の目で捕まえる立体視は必要なのですが 戦闘機同士の打ち合いとなると距離がありすぎて左右を分けた画像をつくっても立体的に見えるのは別の理由だったりするわけです。
実際にはコクピットを見ると近距離なので立体視が起きて その窓越しに見える戦闘機を立体と感じているわけですが 実際の戦闘機では近距離と遠距離の目の動きを無駄ととらえてヘッドマウントディスプレイに情報を表示する方式になっているわけです。
車でもスピードメーターを気にしすぎていると周りが見えなくなる理屈です。
 
では、遠距離の場合立体感を感じていないかというと実はそうでもないわけです。
例えば電車の窓から見る景色を想像してもらうと 遠くの山はいつまでたっても場所が変わらないのに対して 近くのものはすぐに視界から流れて行ってしまいます。
これは距離と角度の問題で遠いと角度の変化が小さいのでいつまでも視界に残り続けるだけのことです。
実際、月を見ているとほとんど動かないように見えますから。
この効果を得て、映画などでは立体感をより感じる演出をするわけです。
妙に登場の多いシーンでしょう・・・・
頭につけるヘッドマウントディスプレイにおいても 首を左右に振っても動きの比較的少ないものを遠くに感じるというのは立体視として捉えているからで たとえ画面が1枚であったとしても立体として捉える場合が多いのです。
ARなどのモニターはどちらかというとこちらの方が相性はいいようです。
 
いま、立体視のアプローチとして 360度動画が注目を浴びてきています。
地面に対して前後左右に180度の視野を持つカメラだったり そのカメラを上下もしくは左右につけて360度を見渡せるカメラです。
これらは一つ目なので立体視ではないように思われますが 少なくとも10mを離れれば物の大きさをたらえて立体感を感じるわけです。
そして、ここが重要なのですが 動画であるということが大事なのです。
動画の撮影であれば、静止画のように定点で撮影して被写体が動くという方法もありますが この場合の撮影が撮影者が動くパターンです。
撮影者が動くと、それに対して物を見る角度が変化します。
少し前の記憶の画像と、今の画像を頭の中でミックスして立体的にとらえる機能も人にはあるようです。
もちろん、動きに対して近くのものは速く、遠くのものは遅く動くことにおいても立体感を感じています。
これをヘッドマウントディスプレイで位置情報をと角度をとらえた場合まるで自分の両眼で見ているかのような錯覚を脳は起こします。
 
実際のカメラではある程度動いた時の画像を先ほどの脳と同様 古い画像と新しい画像をまるで二つの目で同時に見たかのように合成して 立体視を作る技術も登場しています。
動かないもの対象であれば理論的にはできうるわけです。
ただ、どの画像とどの画像を合成するかに関してはとらえる技術が必要となるわけです。
そこで、いつものAIが登場します。
これまでの動きのパターンから最適だと思われる画像を合成して・・・・
よく考えたら昔の立体絵葉書なんかはそうやって撮影してたんですよね!!
複眼にすると360度カメラにおいては お互いのカメラが映ってしまうことから登場していません。
しかし、単眼で立体視を作り出せるカメラの登場はARやVRのソースとして新しいものを作り出してゆくかもしれません。