ローマ帝国とグラフィックカード

異質なタイトルなのですが なんとかこの二つを結び付けてみたいなと。

グラフィックカードはコンピューターの画面出力を司る装置なのですが 以前はPCに必ず1個入っていたのですが最近はその機能はCPUの中に同梱されることが多くて普通の方はあまりおなじみのあるものではありません。

それでも、例えば3Dのグラフィック処理をしたいとなると もちろんCPUも頑張るのですが桁数の多い小数点を含む複雑な計算を多数行うとなると専用のチップを搭載したほうが効率良くなることもありグラフィックカードが必要になります。

主たる目的は 3DのモデリングなどのCAD用途だったり コンピューターグラフィック等で使われるのですが 生産性という意味では数時間かけて計算したものがリアルタイムで処理できるようになれば生産性が一気に上がるのでここに大きなコストをかけても全体で見れば小さな出費となるので採用されるし それを開発する会社も発展してゆきます。

すこし、外れますがその機能を利用して 自動運転への転用を行うソリューションなども最近では主業となりつつあります。

CAD用途で言えば 今までは紙やPCに二次元の図面を書いていたのですが それは頭の中で3次元の完成品を展開してそれを二次元に写していただけで そもそも図面から三次元の物体を想像すること自身が専用の技術だったのが誰でもできるようになるわけですから採用されるのは納得の理由なのです。

 

じゃあ、そういったプロ用としてだけではないのが面白いところで それらのプロ用の機器を使い遊んじゃおうという人たちも少なからずおられるわけです。

これがゲームで使う人たちなのです。

今のゲームは本当にすごくて、新しいビデオカードが出るたびにそのトレイラー動画が上がるのですが「もう現実じゃん」というセリフをもう10年ぐらい言い続けています。

最近で言えばレイトレーシングという技術が採用され 映り込みなどの処理がより現実に近づき 雨降りの中を歩いている主人公の足元や その傍に止まっている車への景色の映り込みの雨による変化など拡大してスローモーションで見ていても実写クオリティだと思えるほどです。それを4k画質でとなると そもそも4K画質の動画が少ないことからも実写より美しく見えることもあるわけです。

家庭用テレビに写していたPlayStationの映像が実写のようだと評価していた自分が恥ずかしいレベルです。

これらは趣味の世界なので 高くなれば利用する人は少なくなってゆく傾向にありますが確実にそれらを支える人たちがいるわけです。

故に、最近ではゲームの性能を中心に語られることが多く 今回のCESでもnVidiaが新しいモデルでのデモを行っていたわけです。

 

じつは、もう一つ最近では大きな利用用途がありそちらが話題になり問題になっています。

それが マイニングと言われる仮想通貨の計算処理で CPUに比べてこの計算が得意なグラフィックカードは消費電力割の性能が高く 処理そのものの速度も速いことから一気に進むわけです。

技術計算用に比べて個人の支出なので同じ性能でも比較的安めに設定されているゲーム用のものが重宝され 半導体不足もあり市場のグラフィックカードが無くなってしまうほどのフィーバーとなったわけです。

今は、ゲーム用のものはマイニングを行うと性能が落ちるように作られているのと マイニングそのものの規制や報酬の低下で 価格は下がっていないものの品不足は徐々に回復期にはあります。

ま、1国に匹敵するほどの電力を消費してのマイニングは国のインフラを支える側からは規制をしたい対象になるのは分らなくもないわけです。

 

マイニング需要がある程度低下して、徐々に回復しているのであればグラフィックカードのこれまで以上の進歩が期待されるところですが 実は徐々に暗雲が漂ってきています。

もちろん、SmartPhoneのゲームがだんだん進んできてPCのゲームそのものがとか言うのは置いといて それも含めてゲームそのもののユーザーが激減する可能性が出てきたわけです。

 

中国にて 大手海外ゲーム提供プラットフォームへの通信が遮断されました。

これにより そのプラットファーム経由のゲームは購入できなくなりましたし課金やアップデートパッケージも入手できないのです。

それだけでなく他社との通信ゲームなども通信できなくなっていると思われますので例えPCにあっても動かないという事になってしまいます。

それだけではなく 中国国内のゲーム会社も7月度以降に政府から承認され発売されたゲームが0本で 関連企業1.4万社が閉鎖されたというものです。

これにより 世界人口のゲームをする層の約半分が消滅する危機に直面したわけです。

 

中国は「ビデオゲームが未成年の成長に悪影響を及ぼす」と規制を始めました。

ビデオゲームは非常にお手軽な娯楽です。

自宅に居ながらできますし、ネット回線があればほかの人との対戦も可能です。

ある一定以上の収入のある方なら簡単に参加できるわけです。

そして、現在はeスポーツなどの世界大会もあり 若者にも人気なため参加者の多いものです。

ただ、どちらかというと娯楽に分類されるもので 勤勉さなどとは少し遠いものではあるわけです。

日本でも制限を県が行い 賛否両論の議論にはなりましたが それを国が強制的に行えるのが共産主義の国だからでしょう。

娯楽による国の退廃は 過去をさかのぼっていけば少なからず存在します。

わたしがぱっと思いつくのがやはりローマ帝国です。

市民権を得たものは 国から衣食住の大半を補助してもらい 尚且つ大闘技場などの観戦やテルマエと言われる大衆浴場の利用などが無料で可能になります(時代によりますが)。

共和制を取っていたため 皇帝といえども世襲制ではなく人気がない皇帝はその地位を失う可能性があるわけです。

故に人気取りも必要なために娯楽そのものを政治の道具として使っていたわけですが それ故に娯楽により国力が低下してゆく訳です。

「世界の道はローマに通じる」とまで言われた大帝国はいつか分裂しなくなっていったわけです。

歴史に学んで 娯楽が市民の堕落を生み出すと対策をとったのでしょう。

 

歴史を紐解くと、規制を行った例は少なからずありますがうまくいかなかったパターンも少なからずあります。

今後どうなってゆくかは 歴史のみが知るわけですが

MicrosoftがGamePassを開始して AmazonがPrimeGammingを開始した。Googleもクラウドゲームを進めnVidiaも始めています。

各社がコロナの巣ごもり需要も含めてそういったものへの投資を増やしたわけですが ユーザーが半分にいきなり減るとどうでしょう?

今のところ影響が少ない APPLEやMicrosoftなどのゲームストアも近くに中国の影響を受けないとも限りません。

実際一部のゲームは中国で できなくなっているそうです。

マイニング需要が無くなり 高需要期が過ぎ 半導体不足が解消して価格が落ち着き始めた時に それらを貪欲に買い続けてくれるユーザーが残るのか?

それとも娯楽を悪とする層とそうでない層とがローマ帝国のように分裂してしまうのか?一つの転機を迎えようとしているわけなのですが・・・