PとE

ここでいうところの PはパフォーマンスコアでEは省電力コアの意味として書いているわけですが 最近の流れとしてこれがトレンドになっています。

 

元々というか、ARM系のCPUでQualcomなどが提供しているものはかなり前からこの構造になっています。

消費電力が非常に高いが計算能力も高いものと、消費電力が低くて計算能力の低いものの組み合わせです。

一般的にクロックが高く多数の分岐を持つCPUは消費電力が高く そうでないものは消費電力が低くなっています。

もちろん、消費電力の高いCPUも動作の規制やクロックの低減など消費電力を下げる試みは多くなされているわけですが そもそも分岐が多い分電気を消費する部品が多く クロックを最初から低く抑えることでより省電力なスイッチを採用することができるようになるわけです。

ここでの最大の問題は それをどうやって切り替えるかです。

 

AMDのCPUで話題になっているアプレット構造と言われる 複数のコアをひとまとめにしたパッケージをCPUのパッケージの中で幾つかくっつけることでコア数の多いCPUを作る技術です。

一つは、1アプレット4コアなら2アプレットで8コア、4アプレットで16コアという風に一つの設計でいくつもの種類のCPUを作り分けることができるという事です。

そして、一つの単位を小さくすることで 一部が欠損したことで丸ごとがダメになってしまうという歩留まりという意味で 小さく分けることでその確率がぐっと減るわけです。

そして、CPUの様に非常にコストの高い精密プロセスを本来必要としない インターフェース部分をほどほどの精密プロセスで作って組み合わせることで こちらもコストと自由度を上げることができるわけです。

逆に、複数のCPUで共有しているキャッシュやCPU間の高速のデータ転送などが遅くなってしまうという欠点もあり 現在のものは以前に比べてアプレット内のコア数を多くして対応していたりもするので そのあたりは馬鹿にできない性能の分岐点になるのでしょう。

 

複数の種類のアプレットを組み合わせることができるようになるなら 前述のPコアとEコアとの組み合わせも比較的簡単に設計できると思うのですが これに関してはIntelが先行しました。

既に、IntelもCPUとGPUは別に作って組み合わせたりしているので同じような技術はあるわけです。

PC用としてはintelが先行しましたし話題になっているわけですが 実はその前にQualcomのCPUでWindowsを動かしている状況ではQualcomが先行しているともいえるわけです。

Qualcomすごいとなりそうですが、SmartPhone向けのプロセッサの現在のところは小改良状態なので意図したというより そういう流れでそうなったというものでしょう。

ただ、この技術の難しいところは どうやってコアの負担を切り替えるかです。

どこまでがEコアでどこまでがPコアだという部分です。

もちろんアイドル状態で何も動いていない状態ならEコアでというのは分るのですがアプリケーションの起動中にとか処理の始まったタイミングで切り替わるというものではなく 処理の重さを見て切り替わるのでどうしてもそこには遅れが出てしまいます。

プログラム毎に処理の重さを決め打ちできるとかがあるならより効率的に動くのでしょうが・・・・

この辺りはOSの変更でとなるので Windows11の対応具合に注目が集まっていたりもしているわけです。

今後このタイプのCPUに関してはWindows11ならというような流れとなって Windows11への移行を進める原動力になるかもしれません。

勿論なのですが、それによってARM CPUの私のPCもひっそりパワーが上がってゆくかもしれません。

というのは、アイドル中のCPUの負荷率は省電力コアですら1%とかになるわけですから。

 

ともあれ、それ故に割り切りが付きやすく パワーの上限を目指した尖ったPコアを作るのには向いているようで Intelの新型CPUはかなりの性能向上が行われたようで ベンチマークの成績ではかなりのパフォーマンスを示しています。

AMDが多コア化を進めていて 16コアなんてのが普通のデスクトップ用として出てきているわけですから コア数の拡大競争は結果的に製造コストと性能向上の割合が下がってしまうために 同じならPコアとEコアに割り振って消費電力と性能面でのメリット両方をかなえようとしたわけでしょう。

しかし、これもプログラムの問題で 今のところまだ多くの処理が複数のコアに効率よく分散されているわけではないのですがそれがより多くに分散されてゆくなら性能の向上はコア数の増加で賄える可能性もあるわけです。

旧来のプログラムも新しいプログラムも両方良くしようという事なら今の流れがという意味でもあります。

 

そのうえで、コアを2種類に分けることで 商品電力の小さい 言い換えれば温度の上がりにくいコアと 消費電力の多い 言い換えれば温度の上がりやすいコアを混ぜることで熱の発生を分散させることにも成功させているのではないかという点も大きなポイントのようには思われます。

残念ながら、消費電力が下がるはずのEコアを使った状態でも DDR5という新しい規格のメモリーを利用する上において どうもこっちの消費電力が大きくて全体でみるとやっぱり省エネにはなっていないという状況のようなのですが・・・

 

ハードウエアの進化はより早く起こりますがソフトウエアの対応はそこからずいぶん遅れてしまいます。

例えばなのですがx86の表記にX64という表記が加わったのが2003年の発表時以降です。

現状、気にはしてなかったのですが ARMCPUを使っているとWindowsのプログラムがどのモードで動いているかが気になるのでタスクマネージャーをよく見るのですが 少なからずというか未だにX86表記の32Bitモードで動いているプログラムも多く存在します。

このコアの使い分けもプログラム的に仕様が決まってその標準化が為されるのには未だ時間がかかるでしょう。ここで言っているのはPコアとEコアの使い分けではなく マルチコアの運用についてなので その前の段階も未だ途中であるという意味で使っています。

ならば、この新しい運用がソフトウエア的に最適化されるのは・・・・まあ、ゆっくり時代を眺める時間はありそうです。できれば寿命が尽きる前に・・・