自宅警備員

この言葉、決していいほうにとらえる人はいないと思うのですが 実際にはそういった人たちが昨今生まれてきているのです。

 

アウトソーシングという言葉はここ10年ぐらいでよく聞くようになった言葉なのですが 日本では割と新しい言葉です。

産業構造上 親受けと下請け、孫請けのように まるで権力構造の様になっていたのが日本の産業の特徴で 親会社のいう事を子会社孫会社は聞くしかないという形でした。

また、なんでも自社でというやり方が主流で 日本の家電メーカーなどは歯ブラシからエアコン コンピューターまですべて自社のブランドの付いたものを揃えていたのですが リソースが分かれすぎたことや 全体での拡大期には良かったのですが それ以降の停滞期には採算性と商品のラインナップのバランスを見失い 例えばコンピューター専業のメーカーなどに後れを取っていって 気が付いたら没落していったわけです。

その中で 例えば物流の様にそれ専業で複数の業種の仕事をまとめて受けられる会社に委託し始めるアウトソーシングと言う業態が出てくるわけです。

 

アウトソーシングはここ2年ほどで一気に進みました。

今までは、雇用も含めて会社の形を守るために社内で行われていた業務が 新型コロナウイルスの影響と 働き方改革と言う手法は丸投げの改善の押し付けで 一気に進み始めました。

自社内で改革の進みにくい業務は 専門の人に任してしまえばという至ってわかりやすい考え方です。

また、リモートワークなどが進むと 社内と社外の線引きが緩くなっていって、社内も社外も結果一緒と言う感じにもなって来たからです。

請求書発送のアウトソーシングなど昔からあったのですが、テレビで宣伝するほどに一気に増えてゆくのはそういった影響があるのでしょう。

 

タイトルの自宅警備員ですが、これはどちらかと言うとスラングに分類される言葉で、家に引きこもって働きもせずダラダラしている 親のお金などで生きている人のことを示す言葉です。

外に出ずにひたすら家の中から出ないので、自宅を警備しているという揶揄から自宅警備員と言われているのですが、そうではなく本当に自宅に居ながら警備をしているという職業の人が増えてきているのです。

 

物理的な警備ではなくコンピューターに対する攻撃などを分析対処する仕事が増えてきています。

テレビのニュースを見ても戦争にかかわるハッキングの増加などが話題になっていて、企業を対象とした攻撃も最近は公表されています。

トヨタの子会社への攻撃はテレビで何度も見たと思いますし、話題になったところでは東映のサーバーの攻撃でテレビで放送するはずのアニメが届かないという話も聞いています。

日所に日常に近いところでこういった攻撃が一般生活に影響を与えているのです。

 

こういったものへの対処を仕事にしている人たちも沢山いて 分析と対応方法を日々アップデートしているわけですが こういった会社はもっともリモートワークに適した会社なのでこういった作業をしている人が自宅で作業しているわけです。

通常はそれほどに忙しくはなく、攻撃が激化したときには時間を忘れて働く必要がある仕事です。勤務時間を決めて会社で作業すると 仕事が無くても拘束されて 仕事があっても帰らないといけないという事が無いわけです。

攻撃する側が受ける側の都合を考えてあってくれるわけではないのでどうしてもそういう勤務体制になってしまうのです。

 

自宅で多くの企業を守る自宅警備員たち。

彼らの名誉のため何か新しい名前が必要ですね。