為替差益

ここ1か月ほどで 円とドルの為替レートが大きく変化している。

輸入原料を使う商品に関しては 値上がりが予想されるわけなのですが・・・

 

例えば、原油価格が上がりましたというのは単純に原油と言う商品の値段が上がったという事ですが 為替はそうはいきません。すべての輸入する商品が値上がりするのです。

約1年で 1USDが103円から 121円になったという事は20%の値上げになったというのと同じ意味なのです。

では、なんでも20%値上げになっているかと言うと 例えば小麦を使った商品であれば10%~15%程度とそこまで上がっていません。

逆に10%上がった商品と言うのは日常生活に影響を与える商品の中では少ないのです。

 

何故値上げされないのか?

一つは「企業努力」という形を持たない掛け声のようなもの。

これは「がんばれ」と叫んでいる応援の人と同じで 中身が示されているわけではなく 多くの場合は従業員のがんばりなどです。

なので、価格は維持されましたが生産量当たりの従業員の賃金は減っていたりしています。

そうでないとバランスが取れないので。

中にはサービスの廃止や、機器導入で効率化を図った場合もありますが その際も従業員の給与に反映するほどでもないようです。

故に、20%の値上げが10%に減ったところで 給料が上がってないので苦しくなるという状況です。

 

で、もう一つは 日本で完成品を作っているパターンです。

給料が同じであれば 製造コストは変わらない。原材料価格が上がっただけなので全体の中の原材料価格分だけ上がったので完成品で見ると値上げ率が下がったという物です。

意味的には一つ目と同じなのですが 大きく違う点があります。これは 生産性を上げなくても給与がそのままだったらあり得るパターンで 前項ではそれ以上の何かなのです。

 

では、二つ目のパターンに絶対なりえないものがあります。

それは、完成品を輸入しているパターンです。

例えば、SmartPhoneですが ほぼ100%輸入品です。

コンピューターも殆どと言って輸入品です。

日本で作っているという商品もありますが これも最終組み立てを日本でしているという意味でそれ以外は輸入しているので 原材料価格が殆どを占めるパターンなのです。

これらの価格が為替の通りに上昇します。

 

まだ上がってないじゃないか??と言われそうですが そういう物なのです。

一つは 注文のスパンの問題で 大量の買い付けを行う会社は原材料の仕入れ段階から関係しているので発注タイミングが1年を超える場合もあります。

つまり、発注そのものが1年前だったのでその価格が維持されているパターン。

勿論、ドル建てで支払いが今なら為替差益は受けますが こういう取引の場合はその部分に対する事項も含まれている場合が多く 発注時の現地価格に近い価格での支払いが行われることが多いのです。

二つ目に この取引などがそうですが こういう場合には前もってドルの予約をしている場合が多く 指定日にドルをいくら買うのでこのレートで交換してくれる人と 先物取引などでヘッジがかかっている場合があります。

なので すぐに価格が反映するわけではないのです。

 

では、このまま黙っていると間違いなく価格は為替の差分だけ上がります。

実際にそういうことを意識しているのが現在のロシアの人で 食料も携帯電話も買いあさっているようです。上がる前に買っとこうというわけです。

では頭の中で考えてみてください。

持っている電化製品のほとんどが made in何とかと書いてあることを。

逆にHPのPCなどは日本で消費するのにMade in Japanと書いてあるのですが そのパターンを除けば書いてあるのは 海外生産だからです。

勿論ですが100円ショップの殆どの商品、靴や衣料品も完全に完成品で輸入されるものです。

勿論、相手国の通貨が円と同様に下がっていれば結果的に価格は変わらないものの 間接費は上がってゆくので同様にわずかでも上昇することでしょう。

 

テレビでインフレって言っていてもいくつかの商品の値上げをわざわざ言っているだけだと思っている人、そんなに甘いものではないのです。

インフレ体験世代(その時には賃金は物価上昇を上回っていたのでものだけが無くなる状態でした)の私には 余裕がみんなあるなと思ってしまうわけですが。