そこはかっこよくないと・・・・

先日、物流業者さんと話をするチャンスがあって 物流機器のカタログをもらったりしました。
プロ用の機器というのは面白くもあるわけですが、最近はネットで見れてしまうのでちょっと新鮮さが落ちた気がしています。
10年も前なら工事の人が着る作業着のカタログを見てこんな服が売ってるんだと思ったわけですが、最近はネットでも見れますし ワークマンなどのお店で逆に工事屋さん向けなのと疑問を持つようなおしゃれなのも出てきているわけです。
色も、作業用別とと言えば濃い青か 国防色とでもいうような濃い緑だけでしたが 最近では7色展開どころか ラメが入っていたりと普段でも着ないよねというものも。
 
話は戻るが、物流機器と言えばどう物を置くかなので異形のものや定型のものを置くための棚はたくさんの種類がある。
ほとんどは大型のものでフォークリフトでの上げ下ろしを対象としたものなのだが、中には人が荷物を集める棚もある。
色々と工夫されていて 後ろからストックを補充してなくなれば箱ごと取ると後ろから前に滑りだしてくるなど よく考えられている。ストックを入れるのもその後ろに通路が必要なので出来るだけ浅く作れらるように斜めに入るような工夫がしてあったりもした。
その中で、違和感があったのが木製の棚があったこと。
枠だけでは強度が弱いのか、背面に板が貼ってあったりもする。
という事は照明も奥に届かないし 補充も前からと効率は良くない。
他には 値段は高いし 軽いのかと思えば軽くもなく、柱が太いので容積効果も低いものだった。
何のためだと思いますか?
私は置くものが 傷つきやすいもので金属がそぐわないとかそういうことを考えたのですが・・・・
 
答えはそのカタログを持ってきた人に聞いたので正しいかどうかの検証をしていないのですが 「かっこいいから」という理由のようです。
正直、かっこいいというのが選択の理由になるとは思わなかった。
仕事でものを選択するときは 大きな二大要素として機能と価格がある。
看板や印刷物でもない限りデザインが優先されることなどほとんどなかったわけです。
では、なぜデザインが優先されたのかという点でもう一度驚くことになるのですが この理由は求人が良くなるからというものだったのです。
 
物流現場で最も重視するのは時間で、商品を取ってくるのに何メートルの移動をしたか等を最も重要なパラメーターとします。
その中で、「かっこいい」が出てくると思いませんでしたし それが求人に繋がる理由がわからないわけです。
ただ、このタイプの棚は手動でものを集める場所で使われるものだという事がポイントだったのです。
 
物流のコスト低減は前述通り動く距離を縮めてというのもありますが それ以前にその人たちの給料が安ければいいというのがあります。
給料が安い人が効率よく働けばもっとも理想的なので 手作業を中心とするところは アルバイトの学生だったり、主婦のパートタイマーだったり比較的コストが安い人材が登用されることが多かったわけです。
この話の場合の大半は主婦層などのようなのです。
主婦層求人があって働く所が「かっこよいところがいい」という理由がそこにあるわけです。
 
じゃあかっこいいことが働く最大の要因になるというのも変な話だと。
自分がアルバイトで働くならと考えると、職種、給与、休み などを選択の最初に入れてそのあとに職場がかっこいいとかそういう話になってゆくわけです。
棚を買うお金があれば給料を上げてくれたらいいのになんて 思ったりもするわけです。
少なくとも私ならそう思うのですが まあ自分の会社でもそういうことはあるわけです。
でも、順位として 後半に来るものが優先されるというのには違和感があるわけです。
 
この先は想像なので本当かどうかわかりませんが 給与を上げにくいという条件があるのでは?なんて思うわけです。
それに関してはいくつかの思い当たる節があります。
一つは既存の社員とのバランス問題です。
新しい人の給料を上げるという事は、今までいた人の給料がそれ以下にすることはできません。ゆえに影響範囲が大きくなってしまうことから給料を上げにくいというところがあるわけです。
近くの同業他社さんとのバランス問題も大切ですし・・・・
取引先のパートさんが、給料を見て大量に流れ込んだりしたら不条理だと思ってもクレームが来たりするわけです。
少し余談になりますが、海外資本の日本法人の物流センターなどは周りのことなど考えずに 時間当たり200円ぐらい高い給料で根こそぎ人を持っていったりすることもあるのでだんだん日本人的な空気を読む風習は行き詰ってきてはいるのですが。
 
もう一つなのですが これはちょっと政治的な問題かもしれません。
パートの主婦の給料を上げても休まれるだけという企業が抱える問題があるわけです。
いわゆる、配偶者控除の問題です。
働きすぎると税金で持っていかれるので それぐらいなら時間を制限するというもの。
故に、主婦のパートは最低賃金ぐらいに抑えられているのです。
給料を上げると金額の上限が決まっているので 休む時間が増えて生産効率が上げた分下がるというダブルパンチを受けるわけです。
じゃあ、給料を上げずに求人できる方法をとなるわけです。
なんか、子供だましな話で 求人される側ももう少しよく考えれば結局給料の高いところのほうがお得なのですが、そういう意味で安い給料で時間を絞ってしか働かないという働き方で必要以上の職業意識を持てというのも無理な話で、企業側からも都合の良い労働者として使われているというわけです。
 
インフレ目標を立てて消費を増やさないとだめなのですが そもそもの収入が増えないと使えないわけです。
企業は潤沢に資金を持っている分消費が増えて微増しているのですが 個人は少し渋めです。それはそうでしょうとなるわけです。
消費者というか雇われている側も 安い賃金で楽に働いてが良い人が多いと 最低賃金なんて絵に描いた餅になってしまいます。
問題は意識なんでしょうけど、仕事が増えるのでえらくなりたくないとかいう人が多いようですから難しいんでしょうね。