Kaleido3

映像表示装置の歴史は、残像との戦いだった。

多くの映像表示装置がその戦いの中で発展していったわけですが、その戦いの岐路にいるのが現在の電子ペーパーです。

ブラウン管やフィルム撮影表示装置、液晶画面などは そもそも技術的にコマ数を増やすことが難しい状況からスタートして いかに技術的に最高のコマ数で我慢できるクオリティが表現できるかを競い その後、後継のメディアは最低限前の表示装置のクオリティと高いハードルを越えることからスタートします。

ブラウン管が液晶に変わった時などがそうで 最近でようやく240fpsなんてのも出てきていますが ここまでには長い道のりがあったわけです。

同時に発色や詳細化、大画面化と要求されるものが多すぎたのもあるわけですが・・・

 

その荒波にもまれているのが 電子ペーパーです。

電子ペーパーに期待されるのは、紙と同じ機能です。

なーんだと思われるかもしれませんが 紙は周りがそれなりの明るさであれば自分から発光しているわけでもなく閲覧可能ですが、液晶ディスプレイはそういうわけにはいきません。

もちろん、デジタル時計や電卓など低解像度の液晶であればバックライトと言われる発光装置がなくても見ることができるわけですが 徐々に暗くしていってもらうとわかる通り 紙に比べるとはるかに暗さに弱いのです、

もちろん、発光装置ぐらいつければいいだろうと言われそうですが、電気の消費がないと発光しないのです。

それぐらい大したことがないと言われそうですが そのためには電線をつないでもしくは電池を付けてと回路が付帯するわけです。

その点、電子ペーパーは周りの明るさのみで紙に近い(もちろんそれでも紙に比べると明るさに弱いのですが)明るさでの視認が可能なわけです。

そしてもう一つ、書き換えるときには電気が必要となるわけですが 維持するための電源を必要としないことから電源を消費せずに表示し続けることができるわけです。

 

最も普及している電子ペーパーは、実はスーパーなどのプライスカードで 無線接続で指示を出して書き換えを行うことができて、コイン型リチウム電池で数か月を超える稼働時間を誇るわけです。

大規模なスーパーなどでは、営業終了後に人海戦術で翌朝までにへとへとになりながら書き換えていたプライスカードがコンピューターの中にデータを用意するだけで瞬時に書き換えることができるようになったのです。

消費税が変わったり、今のようにインフレで価格上昇が続く状況では この利便性が認められているわけです。

ですが、個人的にはまり関係なく やはり不断に使うものということではやはり電子書籍リーダー いわゆるKindle等が最も電子ペーパーを利用している端末かなと思います。

 

ではKindleなのですが 実は7世代目のPaperWhiteまでの体験で最新の機種の話ではないのですが 大まかには変わってないのでその前提で話を進めますが

とにかく目が疲れにくいです。

それこそ紙を見ているかの如くで フロントライトと呼ばれる 画面の上下についたLEDで暗いところ用の照明があるのですが 正直多くの場面で消してもよくわからない程度のものです。フロントライトはどちらかというと 全体の色目を暖色にするとか寒色にするとかの変化の為に使っているような気がするぐらいです。

小説を読んだりするのには非常に良くて、7インチぐらいの比較的正方形に近い画面で驚くほど薄く そしてSmartPhoneほどの重量の為軽く感じるわけです。

こういう言い方をすると時代遅れな感はしますが、画面の周囲にはベゼルが存在し薄いこともありそこを掴めるので持ちやすさが軽さを感じさせている面もあるわけです。

寝落ちしても 痛くないような重さだと思っていただければいいかと思います。

そして、バッテリーが非常に良く持ちます。カタログ表記でも数週間という表記なのは まるでSmartWatchのようです。

 

もちろん、利点ばかりではありません。

まず画面ですが、白黒です。カラーもあるわけですが以前入手したものでも本当に発色が悪く暗くて 色がわかる程度の効果しかありませんでした。

そして画面の書き換えなのですが、全体の書き換えとなると時間がかかるので 部分的な書き換えを行うことからどうしてもゴミが残りやすく しばらく見ているとごみのような点々が画面のあちこちにできていて、我慢ができない頃、数フレーム毎に全体を消して書き換えるという時間待ちを伴う作業が発生します。

この辺り、年々改善していくのですが7世代目においても気になるレベルでした。

価格的なこともあり、バッテリーの寿命のこともあり 動きは非常に遅いです。

専用の単機能OSをして尚なので、Androidを搭載したモデルなどでは何年前の機種?というレベルです。

ここしばらくは Boox Nova Airという端末も 先日でかけた台湾などでも愛用したわけですが やはり遅さと画面のごみは気になると言えば気になるレベルだったわけです(細かく言えば調整で画面をきれいにしたりもできるわけですが そのあたりこの状態で使っているのは後述の理由も・・・・)

 

タイトルにもあるKaleido3ですが、最近採用端末が増えている電子ペーパーなので Booxでも最新のBoox Goとかでも採用されています。

他にはKindleのライバルとなる Koboなどでもカラーの端末には使われています。

で、今回使ったのはBigmeと言われる中国のメーカーの端末で 前述のKaleido3という電子ペーパーを使った端末となります。

 

起動しなくても メーカー名のBigmeのロゴがカラーで常時表示されて箱に入っています。

7インチの画面と 4GのRAM 64GストレージのAndroid11端末でこの手の端末にしては珍しく Googleのアプリケーションストアがプレインストールされた状態で販売されています。

そして、電源を入れると ランゲージの選択とチュートリアルが動作するだけで Googleのアカウントの入力などを強要されることはありませんので、GMSの対応に関しては微妙な感じです。ある日 Googleから規約違反を言われるかもしれませんね。

流石に発色は全体が薄めのパステルカラーというイメージで OLEDのように綺麗を絵にかいたようなイメージはもちろんありませんが それでも十分にアイコンがカラー表示されているのは分かります。

4096色表示なので、色の階調不足で時折粒状感のあるべた表示もご愛嬌というレベルです。

ですが白黒表示となると 一気に紙と見間違えるほどのエッジのきいた表示となります。

全体的に少し黄色めで、フロントライトの寒色100%にしても 他の白黒端末のように白って感じまでには至りません。

なので発色性や色再現性に関してはそれなりなのですが、今までの電子ペーパーとの比較であれば十分に良くなったと言えるものです。

何よりのポイントは その書き換えのスムーズさで 書き換え時に残る点や残像のようなものがほとんど感じられないのです。

この辺りうまい処理だと思うのですが、全体的に淡い色なので 淡い残像が見えにくいという効果もうまく使っているように見えます。この辺りはハードウエアもさることながらBigmeのソフトウエアの技術もあるものと思われます。

ただ、小説など白黒の文章を読み続けていても 全くと言っていいほどに黒い点が発生しにくい点は評価されます。(比較対象が古くて申し訳ない)

そして、驚くことに Youtubeが見れなくはないレベルです。

 

ローエンドSmartPhoneぐらいのスペックもそうで、Boox Nova Airを例に出して悪いのですが 今まで使ってきたどの端末よりもよりSmartPhoneに近い使い勝手で使える端末です。

そもそも、画面の書き換えが遅いのでスペックが必要ないのは分かりますし それゆえにバッテリー寿命が長いこともわかるわけですが 電子書籍の閲覧以外には使おうと思わないレベルなのは非常に用途を限定するわけです。

その点、Bigme B751Cはローエンド並みとはいえそれなりの性能があるわけです。

いや、Kareido3の話じゃないのかと言われてしまいそうですが 今まで店頭で触ってきた他のKaleido3採用の端末の多くが スペックやアプリケーションに制限があり動画を表示したりが画面だけではない部分で厳しいものが多かったからなのです。

 

Firmwareのアップデートで 15FPS程度の表示が可能とのことなので通常の液晶画面の約半分のリフレッシュレートがやろうと思えば可能となり、より液晶端末に近い性能になったわけですが もう一歩で液晶と同様の利用ができるところまで近づいてきているわけです。

 

では電子ペーパーの採用がそんなに画期的なことなのか?と言われたときにどう思いますか?

私は将来に向けて画期的な出来事だと思っています。

例えばSmartPhoneでうまく電子ペーパーが使えるようになったとき

以前にwindowsのアイコンがシンプルなデザインに変わった時期があるのを覚えていますか?

アプリケーションは生産性を上げるためには必要でしかないものだけにすることが望ましく 数量を限定すれば 使うアプリケーションの数は一気に削減されて そうなった場合 派手な色遣いとかは そちらに目がとられてそれ以外のものが見にくくなるのでアイコンは単色でシンプルなものが生産性という観点上はよかったわけですが ぜひ自分の会社のアプリを使ってほしい層にとってはそうでもなかったので立ち消えたのですが その理論にのっとって考えると 多色である必要があまりないわけです。

他にもホームページを見ているときも 写真が混合されてはいるもの ほとんどのページの文章は白黒で値段だけが赤色とかハイライト的にしか使っていなかったりするわけです。

つまり、カラーは必要ですが 常に必要ではなく 白黒の部分が意外に多かったりするわけです。

他にもセキュリティに関する部分に関してはそうではないのですが 例えばPDFの文章を読んでいる最中に別の仕事が入って ちょっと中断してという時に画面が消えずにつきっぱなしにできたらどうでしょう?

液晶画面では表示している間中電力を消費しますが電子ペーパーの場合書き換えの時しか表示されないので 通知なども表示しっぱなしができるわけです。

後はバッテリーが2倍持つとしたら それだけで電子ペーパーを選択したい人も出てくるでしょう。

実際、Gigmeからは HiBrakeという電子ペーパーのSmartPhoneも販売されています。

もうちょっとな感じももちろんあるわけですが 体験という意味ではぜひ試していただきたい何かだと思うわけですが