MATIZ

でも、何も無いとさびしいので PDAと全然関係の無いレビューを一つ。
最近、お気に入りなのですが 我が家の車庫に仲間入りした「MATIZ」君
実は、購入までには多大な紆余曲折があったのですがそれはおいといて・・・
彼は、生まれは韓国ですが イタルデザインのジウジアーロにデザインされたイタリアっ子で、ドイツで設計されたエンジンの鉄のハートを持った子です。
車体は、極めて小さく 外観は非常にコンパクト。
日本の軽自動車と ほぼ、全くといって同じ大きさです。
口の悪い人からは、ミニAクラス(メルセデス)とか呼ばれていますが、同じような形をしています。
車は、こちら http://www.matiz.co.jp/
まあ、見て解るとおりに小さな車ですから、エンジンも小さく たった800cc
軽自動車の660ccと比べると少し大きくて、マーチの1000ccと比べると少し小さい。
開口部の大きいドアや窓、斜めに大きく傾斜した窓。
見た目には可愛いポイントですが、私にとっては多くが否定的な印象でした。
パワーが無いから良いようなもので、ボディはぐにゃぐにゃの張りの無い車かと思っていました。正直・・・・
僕のMTは5速だが ATは3速(現行機種は4速) 価格の安さも手伝っていわゆるただの足車。
言葉和悪いが、超特価の実用軽自動車の典型みたいなものかと思っていました。
昨年11月に最初の車検が切れて約2ヶ月。
東京からはるかな旅行を、トラックの上で過ごした彼は、ぱらついた雨で少し汚れていました。
眠っていたエンジンは、眠気がなかなか覚めず。かったるい印象で動き出しました。
キャリアカーから降りたMATIZ君は、3気筒エンジンらしく神経質に体を震わせていました。
ご近所をぐるりと回って、自宅の車庫に。
今まで、車庫の大半を占めていた ランディ君がの替わりに置いたら尚且つ小さい車体。
車庫の中で、車の周りをぐるりと歩いて回れるほどでした。
取り合えず、仕事をほっぽり出して納車に付き合ったので、そのまま試走を兼ねて会社まで・・・
まだ、完全に目覚めていないエンジンは、その一番得意なところをなかなか教えてくれず、ただ、軽い車特有の敏感すぎる反応を椅子に返してきます。
もともと、固い足回りの車が好きですが ギクシャクするのは名指しで運転が“下手くそっ”って陰口されているようで 一層乱暴に成る運転。
勿論、パワーはかけらも出ず、良く効くヒーターがかえってイライラを煽ります。
それでも、昔とった杵柄 何とかかんとか会社にたどり着きました。
帰りは、10時前 大阪でも車がようやくいなくなる頃。
大きな丸い目玉を見開いて、MATIZは不機嫌な友達を乗せて走り出す。
流石にこの冬、寒い中を半日も待っていて、身も心も冷え切っていた彼は、あまり動きたがらない。
旧車を扱う時と同じように、一速では、“ぽん”っと前に押し出されるようにスタートして 2速で前に出る。
パワーが無いから、3速に入れるのをぐっと我慢して 本道と合流するために加速してゆく。
丁度、車が切れたので加速も減速もせずに合流できた。
我慢していた3速にギアを放り込み、一度だけアクセルを軽く煽ってそのまま惰性で流れてゆく。
昔はエンジンが暖まるまでの一種の儀式みたいなものだった。
CDを付けていたのを思い出し、信号で止まる。
少し古い、ディスコソングを放り込まれたデッキは、4つの口で楽しそうに歌いだした。
3気筒のしつけの悪い振動も、リズムを刻んでいるように思えた。
信号が変わるのを待って、動き出した車はお昼のあんなにしつけの悪い車ではなかった。
1速で発進 35kまで軽く引っ張る。その後は2速にバトンを渡しそのまま車線をリードする速度まで。
ギアは無理せず、4速まで。パワーは元々無いからしょうがない。
あんなに、ギクシャクした加速はギアチェンジをする度に ロケットが切り離されて次のロケットが火を吹くかのように一つ、二つと繋がってゆく。
そして、目の前に迫ってくる車を避けて、右の車線に。
その瞬間、思い出した古い感覚。
行儀の悪い筈だった左右の揺れは息を潜め、車体のほぼ中央にある腰を中心に車体が方向を変える。
ハンドルの切り角が、間髪入れずにそのまま腰の移動量に繋がる。
どこで曲がる。どこで舵を当てる。
目が目的地を見れば、ハンドルを切って腰の方向を目的地に向けると自動的にそこに引き込まれるように曲がってゆく。
まが、目的地に向いている限り頭は何も考えず肩がその方向に動くだけだった。
でも、勘違いするだけでたいした速度ではないのですが・・・
アクセルの反応は、相変わらずだるく(ただ、パワーが無いだけ)そこに気持ちよさは無いが 速度を落とさずに済み、紐で引かれるように走る感触は 腰を喜ばせた。
いけないこととは思いつつ、つい 一台二台と、前に前に。
後ろからハイスピードで走ってくる車には道を譲って、目の前の遅い車にだけターゲットを絞り かなり前から加速して一気に抜き去る。
抜き去る瞬間に、抜いた運転手の顔を見て悦に入る。(ただ、抜くのが遅いから顔が見えるだけだけど)
幾つかの信号でストップしていつの間にか家に着いた。
翌日から、ターゲットを決めて、同じ回転数を保つように慣らしを始める。
きっとこの子はいい子に成ると信じて。
今日も、彼に乗って通勤。
いつの間にか、うちの子に成った彼は 僕に要求する。
「僕は60〜80Kが得意なんだから、そこで走ってよ」
なだめすかして、通勤をするのが日課になるといいな・・・って思いながら。