伊藤探偵事務所の混乱 80

arieさん:「で、人類を滅ぼすって訳?」
少女:「ぼうやさんが望めばそれも叶えます。望まなければいいのです」
arieさん:「人が、人を永久に恨まないなんて事はありえない。同じように世界が一生のうち一度も嫌にならないことなんて無いのよ」
老:「じゃあ、わしはどうなる?」
arieさん:「嬉しいのではないのですか? 後を継ぐ人が出来て」
少女:「彼女はもう役目を果たしたわ。これ以上あそこに居る事は出来ない。」
arieさん:「死ぬのが怖いの?」
老:「ははははは、わしが死ぬのが怖いじゃと? やっと死ねるかもしれないのに」
少女:「ここでは死ねないわよ」
老:「わしは表で死ぬよ」
「ちょっと待ってください、僕の話じゃないんですか?」
僕の存在を無視するように、arieさんは少女と言い合いを始めた。
老婆もそれに加わった。
老:「そうじゃの、おまえさんの意思が一番大事じゃからの」
「じゃあ、教えてください。ここはどこなんですか?」
少女:「地名なら、アララト。」
「地名なんて、どっちでもいいんです。」
少女:「じゃあ何が聞きたい?」
arieさん:「貴方の正体!」
「arieさん」
少女:「いいのよ、あたしは“しそ” あなた方の言葉でいう神かしら?」
arieさん:「じゃあ、貴方が私達を作ったとでも?」
少女:「そうよ、それで満足?」
「貴方が、神様???」
少女:「そうよ、そう見えない?」
erieriさん:「私は、そう言った人たちをたくさん知っているけどね」
少女:「きっと私もその内の一人ね!」
erieriさんの悪意のある発言にも動じる風には見えなかった。
erieriさん:「さっき貴方は気になることを言ったわね、傍観者って 神様が傍観者っておかしいと思わない?」
老:「それ以上言うんじゃない!」
arieさん:「そう、傍観しか出来ないのよ 神様は」
erieriさん:「どういう意味?」
少女:「言葉を遮る必要は無いわ、ここでは全てが事実よ」
老の言葉を少女が止めた。
沈黙が続いた・・・
「もう少し、解りやすく説明してもらえませんか?」
arieさん:「解った事がいくつかあるわ、本当に神様だって事」
老:「arie・・・」
arieさん:「“神はこの世を作りたもうた”って聖書の言葉だっけ? どうやって作ったかは私には解らないけど世界を作ったのよ。そして、どの神も同じ、人に試練を与えるの。」
少女:「私は試練なんて与えたりしてないわよ」
arieさん:「その代わり、”パンドラの箱“を作ったって訳」
少女:「それはいい表現ね。確かに希望が詰まっているわ。どんな事でも叶えるって」
パンドラの箱ってそうでした? 他のまがまがしいものが全て無くなって唯一希望だけが残されたんじゃなかったでしたっけ?」
erieriさん:「そう、残ったのは希望だけ 他のものは全て箱から飛び出した。で、残された希望が無くなれば地上に闇が訪れるって」
少女:「希望をどう使うかは 選んだ人が決めるのよ」
「じゃあ、選ばなければどうなるんですが?」
突然、arieさんの廻し蹴りが僕の後頭部に炸裂した。
何も構えていなかった僕は、けり足に倒されて地面に這いつくばった。
erieriさん:「なるほど」
erieriさんはそういって、僕の頭を踏みつけた。
いくらなんでも・・・・
「何をするんですか!!」
腕で、erieriさんの足を跳ね除けて、erieriさんをにらみつけた。
arieさん:「で、世界が滅亡するって訳」
「??」
erieriさん:「たったこんな事でも、敵意を剥き出しにした。私にかなわない事を知っているから睨み付けた。しかし、もしここで あの子に私の破滅を望めばどうなると思う?」
「そんな事!!」
arieさん:「望んだりしないって? 今わね。でも、将来も? ここにいる限り年も取らなさそうだし 何百年も誰も恨まずに? 無理よ」
老:「わしはそんな事望まんかったぞ」
arieさん:「いつまでも我慢できる自信が無かったから、外に出てそんなになるまで年を取ったんじゃなくて?」