おふれ SE その3

パワーアップしたみんなだが、大事な事を忘れていた。
人目にさらされながらも、決して気にせず。
一緒に肩を並べていた、びりけんの模型を観光客が撫でていても 一向に気にならない。
だけども、メートルの上がった彼らは気が付かなかった。
「立てない!」
そう、座って飲んでいるとだれでも体験できる。
飲んでいる間は元気なのだが、トイレにでも行こうとすると 途端にしゅんとなる人がいることを。
座った状態で体が安定すると 立てなくなるようです。
“もう一杯!!“っと言いたい気持ちを押しとどめ どうしても 花見の為に立ちあがらなければいけなかった。
重い体を引き上げ、なんとか支払いを済ませて(約、一人1500円 ビール 串込み)ずるずるとゾンビが8体花見に向かって歩き出した。
しかし、そこには愕然とする事実が!!
大阪城公園前 天王寺動物園を通り抜けて 夜の部の飲み屋さんまで・・・
と、なんとか本来の目的である 生きた桜を見るために動物園 経由 植物園でなんとか花を確保して・・・・・
あっ、・・・・・
目前には、大きく見上げる鉄格子が。
その鉄格子は、天を貫くかに見え 我々の目前に広がった。
圧倒的な威圧感は、我々のほうに倒れ掛かってくるばかりに見える。
あの鉄格子の向こうと、こちらは大きく違う何かがあるような 見えない川が横たわるかのように見えた。
何とかたどり着いた我々には、どうしょうも無い壁だった。
4時を過ぎた我々に、入る道は残されていなかった。
止む終えず、直通ルートをふさがれた我々は、迂回ルートを選ばざる得なかった。
この疲れきった体に迂回ルートは大きな負担になる。
それでも、われわれは そう 花見という目的のためだけに進んだ。
大きな迂回路を通って、バイパスに該当する高架路に上がり 眼科に楽しそうに歩く動物園を歩く観光客が・・・
僕たちには、高架路の両脇に 我々を祝福するように 何日も前から待っていた人たちが。
見ると一目瞭然 ダンボール、ビニールシート、廃材 ありとあらゆる物を集めて 作られた仮設住宅で、日を過ごし 我々の為に・・・・
あっ、仮設住宅はあったが人はいませんでした。
もしかして、我々が遅く待ちきれなかったのだろうか?
噂によると、ここで我々の為に合唱の練習をしていた人たちもいるとの事だったのだが・・・
何でも、そう “青空カラオケ”合唱団という 日本でも有名な合唱団の方々らしいのだが
まあ、そういったアトラクションを潜り抜け ようやく植物園まで。
もちろん、閉まっています。
そうです、動物園に着いたときですら 閉まっていた公共機関が開いてよう筈も無く 回転扉は出るためにだけ動いていた。
ただ、流石 植物園。
道沿いに、五分咲きとはいえ桜の花が
“桜だ!!“
咲いているだけで、空気がピンクになるようで 回りの明るさが絞りにして一メモリ上がったように感じて・・・そう、絞りを一メモリ絞ろう。
は、みんな持っているカメラを全て出しました。
ここぞとばかり写真を撮りました。
約5本ほどの桜の木を追っかけながら(逃げませんよ 順番に歩きながら見たという意味ですよ)写真を撮る 撮る 撮る
みんなようやく 花見が出来てほっとした。
これで重たい体を引きずって歩かなくてもいい・・
ファインダーから覗く 桜の後ろに 見慣れた言葉が
ソフマップ”って
えーっと、さっき行ったからだれも行かないよね・・・・
はいはい、私が悪うございました。
ソフマップ ザウルスとソフマップ ギガストアは違う店なのですね。
だから、見なきゃいけないんですね。
来たときから、大きな紙袋を持った人も 中にプラモデルが入っていた事は秘密なんですが 足りない種類があるとか無いとか ここならあるかも?!
カメラはいつの間にかカバンの中 迷わず ソフマップに向かって歩き出した。
道を渡って、地下に降りて 上に上がって。
先ほどまでは、あんなに重かった足が いつの間にかテクテクと
一路、数メートルも迷わず 真っ直ぐお店に。
店に着いた途端、みんな あっという間にばらばらに
誰一人、誰かと一緒にというよりも 自分の目的の売り場のほうに。
あちこち徘徊している間に、時々出会う。
“あっ、何を見てるんですか?”
勿論、フィクションです