CLIEの終焉に寄せて

勿論、狙ったわけではなかう入手は約半年前から決まっていたのですが終焉を跨いだ入手になりました。
事実上の最終CLIEのTH−55。勿論 有機液晶の最新モデルもありますがこれは価格から見ても一般モデルとは言いがたいものでしょう。
手帳として 必要な機能だけをシンプルに突き詰めた「TJ−25」。そうではなく、新しい機能を意欲的に盛り込んだ「TH−55」このチャレンジに失敗した事によりCLIEの歴史は終わったのでしょう。
ハードウエアーとしてはSONYの誇る Handheld Engine 124Mhz最速と言われるPalmOneTungstenCの400Mhz、同じSONYのCLIEであれば NXシリーズの200Mhzと決して速い部類では有りません。
ところがって、昔やったとおりに 一般的なPalmのアプリケーションはそこまでの速度を要求しません。ですが、人間の欲望は際限はなくほかのPDAで可能な音楽再生や動画再生にまで手を伸ばしたいところ。エンコード等専用ハードウエアー等の手助けが無ければ400MhzぐらいのCPUの速度は必要になります。
勿論、つければよいのですが付ければ付けるほどCPUそのものの負荷は下がるもののそちらのチップの消費する電力は馬鹿にならず インターフェースに消費する電力はその中で増える最たるものです。
で、あれば一つのチップの中に盛り込めば良いのですがPDAの生産量はあまり多くないので汎用品ではなく専用品になるとすればコストの関係上実現しにくい・・・・
恐ろしい事にやってしまったのが SonyのこのCPU。UX50から始まるシリーズに向けての生産ですが、Mpeg1の再生であれば大きなCPUパワーを必要とせずに実現しているようです。また、音楽ではATRAC3やMP3の再生も内部に持ったDSPの手助けだろうとおもうのですが非常に消費電力の少ない状態で実現しているようです。
1Mhz~124Mhzまでの間を行ったり来たりとなるのでしょうが消費電力は少なければ少ないほど良くなります。
TH−55はそのスリムなボディから内蔵しているバッテリーが小さい事は予想に堅くない。薄いボディながら消費電力の少なさを物語っているのは金属製のボディに収められた本体の中からは どんな動作をさせていても そう、動画を再生していてもその本体の発熱をあまり感じさせないところからも十分。最近では携帯電話でもJigブラウザーWEBなんかを動かすとほんのり暖かくなりますし デジカメも決して無縁では有りません。そうおもえば優秀な部類です。
おそらく、今後も出てくる事は無いでしょうが3Dエンジンもサポートしているので3Dのゲームなんかが出てきても快適に動くのでしょう。
とにかく、ハード的には十分なスペックです。
唯一、難を言えば 一部のメモリー転送レートのみが優先されるアプリケーションにおいてはバススピードのみが評価基準になるのでそういったものは遅くなります。
今回の売りである、「クリエオーガナイザー」なんかがそれにあたるのですが。
それでも、インターネットのブラウザーNETFRONT無線LANの利用もあり快適に動きます。
それでも、アプリケーションの詳細部の変更以外は大きな変更はありません。それはPALMだから当たり前の事なんですが。
一通りのソフトをインストールしてみました。比較がX-PROなのですから速いのは当たり前なのですが 普通に使うレベルです。
今回、TH-55で最も試してみたかったソフトはLandscapeと言うソフト。
元来、UXやVZで実現しているように横長画面での利用に関しては賛否両論だとは思います。しかし、こと何かを見るつまりビューワーとして見た場合には横長の画面のほうが良いものもあります。
その筆頭だと思われるのは、WEBです。
私見ですが、UXの商業上の失敗は全てを横にしてしまった事に有るのではないかと。
実際問題の手帳と言う用途では、縦長画面のほうが使いやすいようです。
WEBを見るとなれば、横画面がいい。どちらも出来るCLIEは未だ販売されていませんでした。CLIEの液晶は一般的にワイドハイレゾと言われる 480×320の独特のサイズ。ただ、このサイズ80%の縮小表示にすればだいたいVGAとなる解像度。
携帯電話とかで見るときに、またPDAで見るときに80%縮小は目に優しいかどうかは別にして識別の出来る限界でしょう。
一般的な、HPは800×600ぐらいを想定していますので、左右、上下共に20%ほどはみ出すだけで済みます。
一般的にはXGAと言われる1024×768と言われるかもしれませんが実際には上下に大きなアイコンが並び、左にはよくブックマークや検索バーが表示されており全面を利用しているわけではないのでそれぐらいが好まれます。
VGA液晶の視認性に関しては、サイズに比べて詳細すぎる印象なので、個人的偏見でこのサイズがベストマッチではと思ったりするわけなのですが・・・
で、このソフトただ、小さな19.1kのプログラムファイルのインストールで実現しています。
DEMO版でのテストは見せてみてもらった事はあったのですが、今回自分のTH-55に入れてみたら全然違う印象です。
一番下のWindowsのタスクバーに該当するところの右側の何も無いところをタップするだけで瞬時に右90度回転します(ちなみに時計のところをタップすると左90度回転します)一部不具合が無いことは無いですが、例えばNetFrontで下のツールバーが消えたりすることもバーチャルグラフィティエリアを表示させる事で解消したりもします。
実験用のDEMO版では、AudioPlayerやPixcelVewerで回転させると戻せなくなったり暴走したりする不具合があったのですが、そう言った不具合の起きるアプリケーションは回転状態で立ち上げても、正常(縦長画面)に勝手に戻されますし そういうアプリケーションからは回転を指定できなくなっています。
もちろん、殆どのアプリケーションを試していません。と言いますか用途としてはWEBだけがターンできれば良いので試す気も有りません。期待している方は、http://d.hatena.ne.jp/MAROON/20050317#p3で検証結果をご報告いただいてますのでそちらをご覧下さい。
こうする事により、PCに近い画面でWEBを見る事が出来るようになります。
また、これは予想外だったのですが、グラフィティエリアまでは横を向かないのですが 入力をしてみてびっくり。横倒しにした状態で入力できるようにグラフィティ2の入力も90ど回転しており 普通に入力すれば認識します。まるでUXのグラフィティエリアのような使い方が出来ます。残念ながらDOCUMAの入力まではターンしません。当たり前か・・・・
実際、このままでは通信する事は出来ないんですがCF用のアダプターが発売されていますので、それを利用すればPHSでの通信も可能になります。
大きな欠点として恐らく存在するのは、他のスロットを接続するには内部電圧の変化とクロックの変化、そして電圧の許容量の幅が狭く、CFスロットが無いと言うよりつけるためには大変な苦労が有ったのではと想像するような作りですので、拡張ポート経由で電池を実装した接続アダプターを利用せざる得なかったと言うところでしょう。
しかし、そのお陰で通信中の大きすぎる電源の負担の影響を考えなくてもいいかもしれないと思います。本体内蔵電池しか持たないTH−55はPHS若しくは携帯電話のCFカードにその電源を消費されると言う事はかなりの負担になります。ましてや外部ポートにカードアダプターを利用中には電源を供給する事が出来ませんので この選択は正しかったでしょう。
また、一説によるとメモリーカードも読む事が出来るとか・・・カメラで撮影した画像のビューワーとしても利用できる可能性があり、PDAの中では比較的美しい液晶なのでそういった利用方法も考えられると言うのも嬉しい誤算でしょう。
最後に、今回も液晶保護シートとしてPocketGamesさんの「SuperProtector」を利用しました。
今回のTH−55は極端に液晶が明るいタイプではないので、貼り終わった後に少し全体的に暗さを感じないわけではないですが、調整する明るさの1目盛りも動かすほどではありません。
斜めから見たときの、明るさが下がったような印象です。
ただ、PocketPCを利用時にはあまり画面に字を書かなくて感じなかったのですが、標準の何も張らない状態ですと、液晶面に僅かな段差があり斜めから見てもらうと解りますがタッチパネルの段が見えます。恐らく他の機種でもあるのでしょうがTH−55では余計に強く感じられます。
この辺りが少し気になっていたのですが、上から厚めのシートを貼ったお陰で書き味はかなり向上しました。ここは嬉しい誤算じゃないかと思います。
TH−55は恐らくもなにもこの後が出ていないわけですから、今後の比較があるわけではないですがCLIEとしてもPalmとしても現存する中では というよりもかなり良いと感じさせる機器であることは間違いないでしょう。
もちろん、この時期になって少なくとも私にはキラーアプリとなるLandscapeが出た事により 長らく使ってゆけるPalmとなったと思うのですが・・・