携帯電話の通話時間

概ね、どの携帯電話も待ち受け時間が200〜300時間、通話時間が大体120分前後。
これは、理論的に消費電力の少ないPDCでも、論理的に多くなる CDMA(W−CDMA)でも同じような水準になっています。
勿論PDCでも例外はあり、安い液晶 暗いバックライト 物によっては液晶すらない と条件さえ良くすれば 待ち受け時間500時間を越える物がTUKAにはあります。
ただ、こんなに足並みが揃っていると 何となく納得いかないものを感じませんか?
携帯電話は、多くの機能を持った集積回路の集合体です。例えば液晶を表示する為のバックライトなんかの様に消費電力の大きな部分もありますが、機能が大きく変化しないのであれば 年々、消費電力は小さくはなっているのです。
今上げたバックライトも白色LEDの性能が向上しているので せいぜい横ばいというところ。何より実はバッテリーの性能がかなりの性能の上昇を示しています。
僅か、数十分で充電を終えてしまうぐらいです。
これは、M1000と言われるスマートフォンと呼ばれる電話のスペックを見ても同じことでしょう。
しかし、DOCOMOから出ているSonyのプレミアプレミニなどは そのサイズを一気に小さくしています。
本体サイズが小さくなったのに、電池のサイズは従来どおりというわけでは無いので 電池も小さくなっています。それでも、待ち受け時間も 連続通話時間も殆ど変化ありません。
何が言いたいかと言うと、この時間はコントロールされている時間で携帯電話の性能から発生した時間では決して無いということです。
プレミアの技術があれば、通常サイズの携帯電話で、電池の持ち時間を例えば2倍の物を作ることも技術的には不可能だと言うわけではないのです。
特に電子回路、CPUであったりメモリーであったりは 昨今の技術の変化を考えればかなり省電力に向かって技術が進んでおり、昨年の100Mと今年の200Mを比べれば消費電力が殆ど同じということも珍しくなく、その上 クロックを動的に変化させた場合 タスクの負荷が100Mレベルで収まるのであれば 200MのCPUは半分程度の消費電力にしか過ぎないことが少なくありません。
この辺は、ルネサスSH-Mobileのロードマップを見ても明らかです。
勿論、一つのチップの中に色々なデバイス、カメラやメモリーカードのI/Fなどが統合された効果も馬鹿になりません。
今までの通話に加えて、メールやWEBを見る機会が増えて尚 同じ時間を貫き続ける理由がどこかにあるのでしょうか?
じゃあ、海外の携帯電話だとどうだと言うと、意外と時間はばらばらで 連続通話時間が1時間半ぐらいのものもあります。
「そんなのじゃあ、役に立たない」という声があるかもしれませんが 往々にしてそういった携帯に関しては 購入時にパッケージの中に電池が入っているものが多く それ以外に携帯電話無しで充電できるキットが含まれていたりします。
私の購入したX−PRO P168にも 電池は2本入っており、電話本体を充電するケーブルに差すと電池を充電できるプラスチックのアダプターが同梱されていました。
バッテリーの交換も簡単に出来るようになっています。
NOKIAやモトローラーの携帯の場合、多くの機種でバッテリーを共有し 一般的な携帯電話販売店では一緒に販売されています。
アジアの国では、バッテリーの詰め替え屋さんも沢山あります。
じゃあ、日本だけが何故そういう構造なのかというと やはりその特殊なビジネスモデルに他ならないのでしょう。
例えば、電池が24時間持ったとすれば 恐らくこの日記を見ていて はてなに席を持っている人ならば 壁紙にアンテナを張って 5分単位とかで更新させるでしょう。
RSSリーダーでも勿論いいと思います。
人によっては、株価だったり、通貨レートだったり、天気予報だったりということも有るでしょう。
PCではあまり成功しなかった プッシュ型のコンテンツも携帯電話となれば効果があるかもしれません。
もちろん、PPCのTodayなんかを理想とする統合インフォメーション画面として使うのであれば メールの受信件数や簡易な内容などを 予定表やTodoと一緒に表示するのもいいでしょう。
ただ、今それを支えるには余りにも持続力の短いバッテリーが許しません。
実際、私の携帯はAUですので EzWebのページなどを壁紙にして更新すると お昼ごろには電池がありません。
パケットフリーと言うのか、ダブル定額と言うのかは別として これでは定額制のメリットを生かしきれないと言うのが現状でしょう。大幅な通話の割引もこの範疇に入ってくるでしょう。
勿論、現在もヘビーユーザーと呼ばれる方は、外部電源を繫いだり 呼び電池を持っていたりするのですが そういった行為がユーザーにとって歓迎できるもので無いことだけは確かです。
ただ、さっきの話ではないですが24時間持つような電池があったとすれば その間に飛ばされるパケット量は凄い物になると思われます。
下手をすれば、家庭で安価な1MぐらいのADSLを利用しているユーザーが乗り換えてもいいぐらいの状況になるでしょう。
で、あればあくまでも 現在のパケット定額サービスは 現在の電池持続時間の上に成り立っているサービスだと言うことになってしまいます。
もし、予備電池を購入しても昔のように電池の充電器と言う物が売っていないので 事実上充電は本体内に入れてしか出来ないのですから。
ボーダフォンのようなメーカーが、海外からの携帯を導入して風穴を開けてくれるかと期待したら 日本の特殊な事情に合わない物は受け容れられないようです(マーケティングの問題という噂もあるが)
色々な技術的ブレークの波が訪れています。携帯電話のCPUが200Mぐらいになり、少し前のPDAぐらいの機能以上のことが可能になり、ディスプレイもQVGAというPPCと同じ解像度、メモリーも外部メモリーも搭載していますから 素材としてのハードは十分な状態です。
しかし、ユーザー側の理解やキャリアー側の 通信毎に想定される利益を考えると 内臓ブラウザーでありながら定額の範疇外で 余剰に費用が発生する仕組みだったりと言うことが発生するのでしょう。
恐らく、WILCOMの付け込む隙がそこにあり、そこを強みにしたいAUの出足を挫く事に成功している辺りは見事なマーケティングです。
DOCOMOはスマートフォンをどこよりも速く発売しておきながら、多くの足かせを付けて(つけざる得ない)運用させる為に そのメリットを享受できない状況です。
この事態に、一番困っているのは実はハードメーカではないでしょうか?
地上波デジタルも、地上波も、GPSも付けてそれで尚携帯電話を小型化する技術があるにも関わらず、それ以上先に進み出せないのは 買い手のいない技術にはお金が出ませんから・・・・