たいした話ではないのですが

今日は、お友達の付き添いで 北陸 富山までお出かけしてきました。
お友達の車を、買ってくれる人にお渡しするのが目的で・・・・
なぜもくもくさんかと言いますと、売ることを決めた数日後に タービンが1個お亡くなりになってしまいました。
タービンというのは、いわゆるターボ車という種類の車についている付加装置です。
車のエンジンは、大気中の空気を吸い込んで ガソリンと一緒にエンジン内のシリンダーに詰め込んでピストンで圧縮したところで 「ポン」と火をつけると爆発して、その力で回転運動を取り出すようになっています。
ターボ車は、普通に空気を大気圧で取り込むよりも 圧縮した空気にガソリンを混ぜれば より高い圧力で圧縮し爆発力を稼ぐことが出来ます。
ガソリンと空気の理想的な混合比は決まっていますから、空気の量を増やせばより多くのガソリンを使え、より大きな爆発力を稼ぐことが出来るわけですから。
その方式の一つの方法が、「ターボ」と呼ばれる方法で、エンジンから出る排気ガスで風車を廻し、その動力で大気を圧縮してエンジンに送り込む仕組みです。
その風車は、2万回転ぐらいの高速で回りますし、その上エンジンから出た高温の排気ガスが当たるわけですから非常に過酷な状況に置かれます。
状況にもよりますが、タービンは消費されるべき部品で他の車の部品と同じで いつか交換される部品のひとつです。
2万回転にもなる風車の心棒はオイルで潤滑された軸受けで、高回転の抵抗で発生する熱を吸収しながらエンジンからオイルを巡廻させています。
何らかの衝撃で、もしくは金属の疲労劣化で 軸受けが破損した状態を タービンがお亡くなりになったという言い方をします。
具体的な症状は、タービンが廻らなくてパワーが出なくなる事。
それは、まあいいのですが(良くない良くない)問題は軸受けには エンジンから圧送されたオイルが入っています。
大体は、排気側に向かって壊れますので 排気側にオイル漏れを起こします。
そのオイルが排気を綺麗にするはずの 触媒という装置(ここは高熱です)で燃えて白い煙を出すことです。もちろん、オイルも漏れた分だけ減ってゆくのですが・・・・
初期症状では、わずかなオイルが漏れてゆき 触媒に溜まったオイルが エンジンをかけたときなどに白い煙として出てしまうこと程度です。
今回の車もその状態でした。
何でも、買われる方は仙台の人で 中間点である富山まで車を受け取りにこられて そのまま仙台まで乗って帰られるとのこと。大丈夫かなと思いながらも 中間点まで車を移動させるために同乗しに出かけたわけです。
朝から大阪を出て、何箇所も渋滞する高速を抜けて やく350Kmの長旅、タービンに過度の負担をかけないようにエンジンを労わりながら距離を進めてゆきます。
ようやく、富山まで2kmとまで進んだところで 運転手である持ち主が気が付きます。
「後ろが見えない」
振り返ってみると、後ろにはまるで飛行機雲のような白い雲が・・・・・
もちろん、空を飛んでいませんので 道路が車の後方1mぐらいから後ろを白く覆い隠していました。もちろん、片側2斜線もれなく。
もちろん、止まることはできません そのまま 惰性なのかアクセルを踏んだのか 運転手でない私には知る由もありませんが そのまま料金所を通過して 待ち合わしている人の車の前まで。
待ち合わせ場所は、料金所を出た広場のようなところ。
とりあえず、どうしょうも無いので 路側に車を止めて車を止めます。
そのときには、車の姿すら見えなくなるほどの白煙。
料金所の人たちが駆け寄ってきて、口々に
「大丈夫ですか?」
当然、左ハンドルの助手席に座っている、右側の私に声をかけてくれます(本当は逆だけど・・・)
もちろん、原因も起きた事態も判っている私は
「はい、大丈夫です オイルが燃えているだけですから 発火も炎上もしません」
もちろん、いつもの笑顔で答える。
もちろん納得してもらえません。
それでも、発熱しているエンジンを急に止めることは出来ません。しばらくのアイドリングを 白い煙に巻かれながら続けて それからエンジンを止めました。
ようやく、相手の顔が見えるほどの 濃度まで煙が収まってきました。
「はい、大丈夫です ご迷惑かけてすいませんでした」
と謝りながら事態を収拾にかかる。
「だいじょうぶなら・・・」
とみなさんは歩いて帰ってゆかれました。
そこで、遠くからかけてくる足音が。
料金所の奥にある事務所から、高速警察の警察官が 消火器を持って駆けてきました。
青い制服に、白いスカーフを首に巻いた格好で・・・・
「はい、大丈夫です この煙はオイルですから。はい、良くあることです 私は何度も・・・」
何とか説明をして、帰ってもらいました。
そこで、思い出したのは この車の買主さん。
えーっと、あっけに取られていました・・・・
もちろん、タービンが壊れていることも納得されていて こういった事態になることも理解いただいていると思ったのですが 実際にこういう状態を見られるのは初めてのことのようです。
運転手さんも、少し動揺されていました。
とにかく、近くの喫茶店にでも行って 作戦を練り直しましょうと言って もう一度エンジンをかけて車を動かします。
こういっちゃ何ですが、結構な田舎です。
町のほうに向かって、1kほど行っても喫茶店ファミリーレストランもありません。
ようやくマクドナルドを見つけたんですが、反対車線 それも意外に交通量の多い。
白煙は限界まで来ていました、後部座席の下から、窓とガラスの隙間から 車内にまで白煙は充填され始めました。
さすがに、車は燃えなくても人間が窒息する危険が・・・・
とにかく別の車に乗っている買主さんに 電話をかける。
「とにかく、そこのマクドナルドに・・・・」
マクドナルドまでたどり着きませんでした。
あまりにも多い白煙に、車を止めざる得ません。しばらく、地面に座り込んで考えて とりあえず邪魔にならないところにまで車を動かします。
車を止めて、マクドナルドで コーラを注文しました。
全員、のどがすごく渇いていましたから。
「いや、登場シーンのスモーク焚きすぎまして・・・・」
場を和ませるために ナウでハイブロウなジョークを織り交ぜてみたのですが 何故か受けませんでした。大阪人失格かしら?!
ともあれ、なんとか 売買は終了し帰ってきました。
何故か、結構疲れる一日でした。
もちろん、フィクションですよ!!
何故か、今日一日が長かったんですが もちろんフィクションです。
かばんも、服もすべてがオイル臭いですけど もちろんフィクションです。
きっと・・・・