機上にて

おおよそ一週間の出張が終わる。
既に何度目?
香港は片手で数えることは出来なくなり、北海道ももう少し少ない物のやはり片手では数えることが出来ません。
だから? 決して詳しかったりフリークな訳ではありません。
仕事で出掛ける香港は、チムシャッツイ、モンコック、ヤウマティ、ワンチャイ どれも耳で聞いた発音なので表記は違うかもしれますせん。
その幾つかの場所しか知りません。
勿論、もっと前にそれも10年以上前に婚前旅行に来たきり。
幾つかの観光地が記憶にありますが どれも窓から覗いた違う国の景色に思えています。
まあ、結婚前に来たときに景色や観光に熱心だったらそっちも困りますが、今思えば最も新婚旅行に近かったように思います。
勿論、そういった気持ちを引いてもやはり傍観者だったと思います。
それからの10年の間に 仕事も遊びも含めてパスポートを汚し続けて いつの間にか殆どの旅行は航空券を握って、予約されたホテルに向かってふらふらと歩き回る旅行になってきています。
ツアーで歩いている限り見えない物を見ることも出来ました。
勿論、コストを削ると安全レベルが下がることを身を持って体感し だから安いんだという事になっとく。
今回の香港のようにホテルの高い地区で利便性とリーズナブルな欲求を叶えるとかなりコンパクトな、恐らくダブルにしなければ伸びすらさせて貰えなかっただろう所に泊まりました。
不満なんかありません。
それなど天国にいるように思えるような所に泊めて貰ったこともあります。
いつも言葉は通じないから今更ですが、見渡す限り野中の一軒家のホテルに 一人っきりでおいて置かれて寂しい思いをしたり、4時間を超える待ち時間の間一機の飛行機も着陸しない、着陸後30分もしたらターミナルの電気が消され売店もない、自販機に電気すら来てない所で気分が悪くなってうずくまったこともあります。
 
海外旅行は楽しいですか?と聞かれれば特に最近は即答できません。
勿論仕事で行くので、それが心の中にあるのかもしれません。
出掛ける前には自分でも信じられなくなるほど臆病になり、色々気になって 不安感でじっとしてられなくて、有る意味数日分、かえって数日分の仕事を片づけたり、日記を書きたくったりと情緒不安定になります。
長距離を飛ぶときは、大体空港への移動途中には青い顔をして幽霊のように出掛けて、飛行機の中で元気を取り戻すのがパターンです。
私の旅行記はフィクションです。
正確な表現ではありません。
例えば相手の話していることは、恐らくこう言っているだろうと言う想像です。言葉が判らないのですから。
おいしいと思って食べた物が、調味料がかかってなくて本来の味で無かったこともあるでしょう。
行き先も、騙されたことも、本当は騙したのでなく正しいことを相手がしていたのかもしれません。
つまり、ドンキホーテが風車を怪物として相対したように 私も何でもない物を怪物のように感じているのかもしれません。
 
しかし、私の感情や相手の言葉を解釈しない部分では完全なノンフィクションです。おそらくドンキホーテもそうであるように。
シンセンで荷物を持っていこうとされ、財布を盗られたことは事実です。しかし、それは事実ではありますが私がその国にたった一人しかいない泥棒にあっただけかもしれません。
おおよそ大げさと私のことを言う人もいるでしょうし、事実はこうじゃないと笑う人もいるでしょう。
ですが、創作だとしても事件はあります。中古を新品として売る人など一人もいないかもしれませんが、私はそう感じたのです。
香港の人がお金をかなり念入りにチェックすることは事実ですが、偽札など無いのかもしれません。
免税品店を廻り、バスで観光地を廻る旅行もあるでしょうし そういう旅行も私は大好きです(買い物に関してはちょっと・・・とは思いますが)、しかしそうでない旅行もあり その旅行の話達は双方とも同じ地の旅行とは思えないこともあるでしょう。
香港フリークの方々が私の感じ方はおかしいと言われるならそうなんでしょう。そしてきっとその方々の言うことが恐らく言葉の通じてない私の言うことよりは正しいのでしょう。
 
海外旅行はすきですか?と聞かれたら 返事に困るとは書きました。しかし、仕事だとしてもどうします?と聞かれたら間違いなく万難を排して行くでしょう。
行きの飛行機で青い顔をしてようともです。
なぜなら私の旅行は私にとっては私の感じたままのもので、おおよそ間違えていて考えを変えるでしょうが、それまではそう思い続けるのです。
10年は長いようで短いと感じるのは年を取ったからでしょう。
だんだん自分の中での冒険が減ってきているような気がします。
旅行前の小学生のように、行き先を自分の夢の中に膨らませ私の旅行は夢の上にのっかっているのかもしれません。
海外旅行と言われればともかく、頭の年齢が熟し切れていない私や同じ感性の人たちなら「冒険に行きますか」と聞かれれば 即断して行くと答えるでしょう。
勇者の冒険と言うほどご大層なものでは有りませんが、苦労は冒険のスパイス。
なら、出掛けてみたいと・・・・
そして、家に帰る「ルーラ」の魔法を唱えて今空を飛んでいます。
今だけは家のことを思い浮かべて。
きっと、次の冒険が家に帰れば夢になるとしても、家があり帰る場所があり待っている人たちがいるから出かけれるんだと。
 
帰る場所の一つにこの日記もあります。
追い出されかけたり、ぜんぜん関係のないことしかここ数日のように書けなかったり。
でも家に帰っていつもの調子でキーボードに向かうとつまらないことをつらつら。
未だ帰り付いていませんが、今回はEM−ONEが日記には迎えてくれます。
 
最後に荷物半券を落として、カウンターまで出っ張る結果とは成りましたが今回はトラブルもなく、スパイスの少ない冒険となったかもしれません。
とりあえず「ただいまっ!!」
ここにも帰ってこれました。
そして、もうすぐ家にも・・・