くまぜみ

今日の朝に、ワイドショーを見ていると「くまぜみ」の話題がでていました。
大阪の御堂筋では騒音公害になっていると。
司会者はまるで人事で、「私だったら大丈夫」とか「夏の風物詩のことを騒音公害なんて嫌な世の中になった」だの(正確には覚えていませんがそういった意味のことを言った)言っていました。
アナウンサーが、地球温暖化のせいで生息域が北に移動しているとかいうことを説明しても聞く耳は持たないようです。
そういった人が世間に影響力を持っているというのも困った物で、こんなところから保護運動など始まった日には目も当てられないというのが正直なところ。
あくまでも新聞に書いてあることをそのまま読んで、その範囲で調べもせずに勝手なことを言うだけなのですからそうなるわけなのですが、下手をするとその元を書いた人だってそんなに大事には思ってないかもしれません。
 
自然は大事だということに口を挟むわけではないのですが、これは自然に発生したものではありません。
人が出した二酸化炭素が原因といわれる 地球温暖化に起因する物だと思いますが徐々に数度暖かくなったので生態系の移動が発生しているというところ。
自然の摂理としては、最初にエサになるべき虫などが移動して それを捕食する動物が移動するとなるわけなのですが、羽のある生き物と羽の無い生き物では住むところも、移動速度も異なります。
蝉などは、街頭に立てられた人の為としか思えないぽつんと立った緑にでも生息できるわけで、隠れる場所もない動物たちがすめるわけではありません。
蝉が増えたのが環境がたまたま合ったという事です。
まあ、環境に対して適応できる種のみが生き残るという自然の摂理には適った物です。
ですが、それを野放しにして自然の対応を待つには 人はおとなしくないというか野放しにすると人の生活にすら影響を与えるレベルにまできているということ。
 
騒音は100dbぐらいと聞いています。
だいたい、隣に工場が建っていて一日中騒音を出しているという状態、若しくはとなりにスタジアムがあって盛り上がっているという感じで 我慢が必要なレベルであることは確かで その周囲に住んでいる人にはたまったもんではないでしょう。
ただ、我慢ですまないのはもっと他の問題。
 
くまぜみは もともとそんなに強い種ではなく 捕食される側に属していてそれ故に生き残ってきた種としては特殊な特長を持っています。
それは卵を産むときに発揮されて、他の蝉や他の動物では硬すぎて相手に出来ない程の木に卵を生むことが出来ます。
つまり非常に硬度の高い産卵管を持っていて、力ずくでの産卵が可能なわけです。
勿論、生まれた幼虫もそこで育つ能力を持つわけです。
故に、大よそどんな木にも産卵が可能なわけです。
そして、その対象が生きている木だけならともかく そうでないものにも向いてしまいます。
例えば家の柱だったり、壁だったりと。
生まれても生きていけないからそれぐらいはと思うかもしれませんがそうではない問題も出てきています。
 
電気や通信に関わることを仕事にしていて施設に関することに関わる人ならすでに知っていると思いますが、蝉に対する対策に関しては専門の会社が数社有るほどになっているのが現状。
NTTなども2000年ごろから大きな問題としています。
つまり、電線の被覆すらも破って卵を産み付けることが出来るわけです。
そして、漏電だったり細い通信線であれば断線の危機にさらされています。
それでも、増え続けるくまぜみたちなのです。
 
私は工事に直接関わる物ではありますが、その対策に日夜走り回っている人たちがいる現状で、「野暮」だの「情緒」だの「自然破壊」だのと言い放つ司会者の発言にはどうかと思います。
温暖化の原因は人類共有の責任であり、その結果として生まれてきた問題です。
生態系の変化もその結果にしか過ぎないのです。そして、それと戦う人たちがいるということにもう少し思いをはせても良いのではないでしょうか?
せめて、発言するにはそれぐらいの配慮はいただきたいものです。
WEBで「くまぜみ 産卵管」と検索してみれば皆さんも判ると思うのですが・・・・