伊藤探偵事務所の混乱 51

予想通り、人数で片をつけようとする国、手段を選ばず破壊しようとする国。
前者は200人を超える兵、後者は落ちてくる飛行機としてやってきた。
前者は後者の勢いに負け逃げ出した。
arieさん:「ほら、手を出すまでも無かった」
そして、後者は小さな的なので狙いきれずにかなり遠くに落ちた。
元来、軍用の兵器を使えるぐらいなら、爆弾でも何でも落として自分は安全に逃げる。
しかし、彼らにその余裕は無い。
発見されたら打ち落とされるから、民間機で体当たりをするのだ。
勿論、軽い飛行機では相手を十分に破壊する事が出来ない。
ゆえに、大型旅客機を使うのだが・・・・・
その作戦にも、盲点がある。
旅客機は、下を向くように出来ていない。
そして、地表に向かっての水平飛行はフラップで制御しているが、機体を下に向けることが出来ない。
フラップの角度はコンピューターによって制御される。
ちじょう100mを超えるビルに体当たりするならともかく、地表の小さな目標物には大きすぎた。
arieさん:「行くわよ!!」
 用意してあった車に乗り込んだ。
「えっ、抜け穴・・・」
erieriさん:「あたしが・・」
erieriさんが伸ばした糸が手榴弾に結ばれた。
2台の車に乗って、脱出した。
KAWAさん:「わ た う あ え」
道でないところを、全速で車は走り出した。
その振動は、激しく話も出来ないほどであった。
KAWAさんは、指で上を指差した。
一機のヘリがいた。
「て か でれ あ え」
敵ですか味方ですか?といったつもりだった。
良く考えたら、味方なんているはずがない。
西下さん:「もう一機来るぞ!!」
西下さんの声は良く通る・・・・そりゃーそうだ、車に乗っているわけじゃない。
馬鹿な事を考えた。
ヘリコプターからは、ミサイルのようなものが飛び出した。
油断した隙に、車は大きくUターンした。
爆発にあって 舌をかんで痛かった事 そして、KAWAさんの膝の上に倒れこんだ。
もがいて、起き上がろうとするけれども車の揺れが激しく、起き上がれない。
突然、僕の頭を持ってKAWAさんが抱きしめてくれた。
「K あん こ  だで」
KAWAさん、こんなところで 駄目です っていったつもりだった。
KAWAさんの甘い匂いの中には、鼻を突く刺激臭が混ざっていた、
「ごほっ、ごほっ」
声はちゃんと出ないが、咳はちゃんと出るものだ。
鼻の奥に、爪楊枝を突き刺されたような痛みが走り止らない咳が出た。
目は急に抱きつかれたので、目を瞑ったので痛みは走らない。
しかし、目じりからは涙が出た。
恐らく、炎上した燃料か機体の内部を焦がす匂いだろう。
“ばん”
辺り一面小規模な爆発が続くので決して静かではなかった。
しかし、ひときわ大きな音だった。
車の後方。僕たちが元いたところだった。
多分抜け道に仕掛けられた手榴弾の爆発であろう。
一瞬の空気を震わす音と、大きく広がる煙が地上からの司会を遮った。
恐らく、僕には解らなかったがうまく、飛行機の煙に隠れて逃げていたのであろう。
車が急に止まった。
KAWAさん:「もう良いでしょ!!」
頭を起こされて、顔にはマスクを貼り付けられた。
マスクを自分の手で押さえて固定した。
しかし、鼻の下の間延びした顔をしていたのに気が付いて急いで顔を直したが きっと見られたであろう。
「何でこんな所で止まってるんですか?」
また、KAWAさんは空を指差した。
ヘリコプターが、地上に下りてきた。
KAWAさん:「上からは見えないところを逃げて、爆発があったから勘違いしたんでしょ」
いや、勘違いさせたんだろう。
erieriさん:「あら? KAWAちゃんったら お胸によだれなんかつけて はずかしーわね!! 最近の若い子は・・・」
KAWAさん:「違うわよ、これは!!」
erieriさん:「あれ?、じゃー何かな?」