Miss Lは、ローズバスが大好き 15

お昼ご飯はラーメンで今度はお付き合いした。やはりラーメンは出前ではなく食べに行ったほうがおいしいでしょう。
それでも、毎日食べていて良く知っているらしくスープは美味しかった。
こんなものを食べていてあれだけ太れるのかと思うようなラーメンで醤油味の輪郭のしっかりした 鳥がら味のラーメンだった。
あまり話もせず、一気にお互い食べてしまった。
そのあと、しばらくユックリとした時間が流れた。
この待ったりとした時間を崩したいわけではなかったが、思い切って話し掛けた。
「先生、私はこのままここにいても良いのですか?」
Mr.G:「貴方さえ良ければ何時まででもと考えているのですが いかがですか?」
「まさか私の体が目的ではないですよね」
Mr.G:「そうかもしれませんね」
勿論冗談のつもりで言ったのですが、軽くかわされてしまった。
そんなに魅力が無いのかしら。傷つくわ!!なんて思ってもいない。
「私にとっては良すぎる話と思えたんですが、何か裏があるような気がするのですけど」
Mr.G:「何の事でしょう?」
もちろんそう答えるだろう事は予想の範囲内だった。
「小柳刑事は、慌てて出て行きましたけど大事な事を忘れてらっしゃいますよね」
Mr.G:「ほう、そうですか それは何でしょうね?」
Mr.Gは趣味なのが主義なのか、会話を楽しむ事を至上の喜びと思っているようで面白そうな話になると 惚けたりもせずに話しに乗ってきた。
「確かに、近くにトレーラーか何かの移動基地があると考えると言うのは間違えてないとは思いました。しかし、どこに現れるか解らない相手に対して 現れてから非常線を張って対応できるものでしょうかね? 相手は前もって計画していれば基地をつくることも出来るでしょうし。」
Mr.G:「じゃあ、そういって教えてあげればよかったのに」
思わず吹き出しそうになった。でもあんなに真面目に走っていった小柳刑事に悪くて笑えなかった。
「それは出来ませんよ」
Mr.G:「ほう、どうしてでしょうね?」
やはり、こちらの話すことがまるで全て予想の範囲内と言わんばかりの余裕を見せた。
「単刀直入に聞きます。どこからが囮だったんですか?」
流石に直接聞くと、かわすような軽い請け応えをしていたMr.Gの話が止まった。
Mr.G:「信じてもらえなければ結構ですが、私は貴方を囮にした事は一度もありません。これでも、安全には十分気を使っているつもりです。幾分の計算違いに関してはお詫びします。」
その回答には驚いた、あまりにも明け透けで計算が無さすぎた。故に信じられそうな気がした。
「まさか、真面目にお答えいただけるとはそれこそ思いませんでした」
Mr.G:「信じてはくれないようですね」
あまり駆け引きには慣れてないような風であった。
「いえ、信じていますよ。でなければわざわざ深夜まで適当な仕事を作ってまで私を足止めした理由が見つからないじゃないですか」
Mr.G:「そこまで気が付いてらっしゃるとは、説明は必要は無いでしょう」
何故か嬉しそうなMr.Gの声。
「私を選んだのは何故ですか?」
Mr.G:「実は貴方に決めて探していたわけではないのです。ここで、言葉どおりの仕事をしていただけるだけで。ただ、貴方がハローワークに来られるのを見てからは確信しましたが」
「お世辞でも、私のことを選ぶ理由があったとおっしゃったほうが宜しいのに」
Mr.G:「だめでしょう、ばれちゃいますから」
「ですね、あまり嘘をつくのはおじょうずじゃ無さそうだから。どこまで調べました私のことを?」
Mr.G:「あまり調べても面白い事は出てこなかったのでたいした事は・・・・Miss。Lの由来ぐらいですね」
Miss.Lはここに来て始めてついた名前ではなかった。大学生のころのそうかなり昔の私のあだ名だった。
推理小説が好きで、体が小さい私のことを誰が呼び出したかいつの間にかMiss.Lと呼ぶように成っていた事を知っていると言う事はそんな昔まで調べたって事。
あまりにも当たり前のようにこの名前で呼ばれたが、自分の事をMr.Gと呼ばせるぐらいだから他意の無い事だと思っていたものの、呼ばれるたびになんとなくMr.Gが喜んでいるような気がしていたのは 女の感が当っていたのね。
今となっては、そんな呼び名で呼ぶ人は誰もいなかったから油断をしていた。
「Mr.G。Lの意味はご存知ですか?」
Mr.G:「感ですが、Littleですよね。他に何か?」
また、嬉しそうなMr.G
「本当に嘘を付くのが苦手でらっしゃいますね」
明らかにわかっていて、惚けている風だ。さっきから 特に刑事がいるときに良く使った喋り方だ。
Mr.G:「Miss Limitとお呼びしたほうで宜しいですか?」
やっぱり知っていた・・・・・