Miss Lは、ローズバスが大好き 16

Mr.G:「何も隠す必要が無いのでしたら、お話します。今回の家を破壊されたのはこちらの責任と思っていますので、ここに何の遠慮も無くお住まい下さい。あと、足りない荷物もこちらで揃えます。」
「ここは安全なのですか?」
Mr.G:「貴方も見られたと思いますが、ここには強力な防犯システムが用意されています。昨日も、来ていたようですけど撃退しておりますから。逆に今はその関係で 相手の戦力が弱まっているとは思いますがね。」
「防犯システムですか? 空から侵入してくるのにオートロックなんかでは効果は無いと思うんですけど?」
Mr.G:「ここの防犯は、空からも想定されています“トールハンマー“ってご存知ですか?」
「アニメやなんかでよく聞く名前ですね」
Mr.G:「元々は北欧神話の神様“トール”の武器で、ハンマーといっても長い木の柄に重い金属のヘッドが付いていて 重いのですが力任せに振り回す訳なのですがその重さから力のある人しか使えません」
「まさか、屋上にハンマーが付いていて、もぐらたたきしているわけではないですよね」
Mr.G:「それも面白いですね、でも これはそのハンマーを振ると 大地が震えて大きな音がすると。そして、振り下ろした時に雷が発生すると言われています。故に、雷はトールがハンマーを振るって発生させると言われているんです。」
「屋上で雷を発生させているのですね」
Mr.G:「雷を発生させると、自動的に近くを飛んでいるものに対して落ちようとしますから 狙いをつける必要もないですからね」
「ということは毎日あれですか?」
Mr.G:「何も来なければ雷を落としたりはしませんよ・・・」
「そう願います・・」
Mr.G:「取り合えず必要なものをいってくだされば全て用意します。勿論、費用は私持ちで結構ですよ」
「じゃあ、遠慮なくと言いたい所なんですけど あまり言えないような物が欲しかったりするので自分で買いに行きたいのですが」
Mr.G:「最初も申し上げました通り、貴方を危険に会わせるつもりはありません。ゆえにこちらでもうしばらく我慢いただきたいと思っているんですけど」
「でも・・・」
下着を買いに行きたいともい得ないし他にも欲しいものが・・・
Mr.G:「下のホテルの担当者にでも用意させますので 通販のカタログからでも見つけてくだされば手配させて今日中に届けさすようにします。」
「わかりました、ではカタログからでも探します。ありがとうございます。」
そういえば・・・
「もっと早い解決法をお試しになりませんか?」
Mr.Gは即答しなかった。
しかし、しっかりした口調で言った。
Mr.G:「警察を信用できないといったら誤解があるかもしれませんが、その気になればあれほどのものを作る事ができるのでしたら、一般的な銃のような武器や、爆薬を操る事も難しくありません。その上、生物に詳しければ例え相手を倒したとしても、共倒れになるかもしれません。そんなところに 囮に出すわけには行きませんから。」
「ですけど、可能性の一つとしては必要かもしれませんよ」
Mr.G:「そんなことは考えたくもありませんがね」
思わずなるほどと思った。しかし、その可能性があるかもしれないと感じたのは女の感であった。
 
小柳刑事:「いいか、通報があればすぐに非常線を張るんだ。そのための準備は怠るな。相手は大型車両だ! 1BOXやトレーラーは絶対に逃すな」
警視庁に付くなり、慌しく怒鳴る小柳刑事。
七瀬刑事は、その怒鳴り声を命令書としてまとめて行く。誰にでも才能はあるものだ。
ただ、怒鳴り声は部屋の中でむなしく響いている。
確かに部屋は広く、多くの机があり慌しい雰囲気のするところではあるが ここ数日のトラブルに多くの人が裂かれて、部屋の中の人口密度は 台風の日の遊園地程度になっている。
ここ二日ほどで現れた怪人の捜査はそれこそ雲を掴むような話。どの捜査員も当てもなく情報を集める事に終始するために、出払っていた。
コピーすら自分で取って各人の机の上に配られる命令書が全員の手元に渡るのは、恐らく2~3日は掛かるでしょう。結果的に七瀬刑事の無能さが官僚らしく目立ってしまう。
それでも、小柳刑事の熱意が衰えるものではなくそのまま、部屋を出て行った。
そのまま、上司に今回の報告をしに出かける。報告と言えばよく聞えるが 妙なところだけけち臭い組織だから(と本人が飲むたびに言うのが口癖だ)予算を引き出しに行く。
実際、検問などを行うとなれば地域の警官を動員して行うのであるから そんなに簡単には行かない。
実際問題、これだけの事件ではあるが公安が担当しないのも馬鹿らしいと思っているからであり、そう言った事件を押し付けられた訳ではあるから決して上層部からすかれている訳ではないが その正義感と情熱ゆえに出世こそしないものの確固たる位置を保っている。
ただ、これから念入りな報告を聞かなければいけない上司こそが、一般的官僚であるが故に不幸であろうと思う事である。