ウイルコムの通話定額制(本気だったら恐ろしくて書けない)

PHS最大手にして、4月1日以降は唯一音声通話のPHSを提供する業者となる「ウイルコム」もちろん、いつ頃なるかの予想はあったものの突然のように音声通話の定額化に踏み切ったことを発表しました。
業界に激震が走り、大きな話題となったのですが。
もちろん、何故出来たのかというような事をしきりに質問されて、大々的にはニュースサイトに掲載されていますのでそちらを読んでもらえれば解るのですが、「マイクロセル」や「IP化を進めて」という様な説明をされていますが本当にそうでしょうか?
PHSの発生は、ISDNの発生と時期を同じくして行われました。現在ではあまり聞くことの無くなったISDN。一般回線を利用したデジタル通信回線で2B+1Dといった構造になっており、データ通信でBチャネルを利用するなら 64k×2で128kの速度を持った通信を可能にしました。
モデムしか選択肢の無かった頃。14400や28800の時代に64kや128kといった当時では想像できないほどの高速の回線を提供し テレビ通話やFD転送システムという様な後者なんか今では冗談にしか思えないものを発売しました。
ただし、回線品質は非常に良く 64kであれば実行値としてその速度が出ていました。
現在のADSLのように時間や環境で速度の変化するようなあやふやな回線では無いので現在もデータ回線として利用されている方はいらっしゃいます。ビジネスの場合とまったことによって発生する損失を一番に考える業務も有りますので。
で、そのISDNを幹線として発生したのがPHSです。
当初、未だ携帯電話の普及率も少なかったので NTTは電話ボックス毎にアンテナを立てたりして 小さく安価な基地局を多くたて通話した時間分だけをお客さんに請求する コードレス電話を表に持ち出した事そのもののサービスを始めたのがPHSなのでしょう。これは私のイメージです。
で、電話の位置確認などはDチャネルを使っているのでまあ、通信料は掛かってないでしょうし・・・・
それをベースに開発したシステムですと、通話のたびに料金が発生します。ですので通話料の定額化はシステム的に難しくなっています。ですが、テレホーダイとかを利用した場合がありますので固定費用が掛かっても全てを通話状態にする方法がありますが、マイクロセルのいいところと悪いところで 多くの回線を持っているが故に問題点もあります。
それだけ多くの回線に対して固定費をかけた場合回収し損ねる場合が存在します。もちろん、家庭用回線ではないのでかなり安価な契約をしているとしても それほどのユーザーが無ければ成立しません。
しかし、近年ADSLや光ファイバーを自社で施設するパターンも増えてきています。そうした場合に月額に掛かる固定費は下がります。例え同一料金だったとしても非保証とはいえ圧倒的な 片側だけなら40Mとかいう帯域を確保した回線があれば基地の集中する場所なんかでは大きな固定費のダウンに繋がります。
そして、その上音声をIP化するための装置を置けば その回線部分の通信は基本的に固定費の範囲になりますので非常に安くなり 定額化を可能にするわけです。
現に、ADSL業者の多くか自回線内のIP電話を月額固定費500円ぐらいで同一回線内は無料通話といった形になっています。
無線回線の固定費を考えたとしても、500円で儲かるのなら、約3000円の固定通話費用であれば2500円は通信回線の固定経費に回せる(多くは利益だと思います)仕組みになります。
故に、ウイルコムの音声定額化は成るべくにして なったかのように見えますが ここで大きな問題が。
現在は、基幹の回線としてISDNで作られてきた基地局を多く持つPHS。恐らくDOCOMOは全てその構造になっています。
現状、多くのISDN回線に支えられるPHSでは固定費用にして それこそ一日中に近い通話を行われた場合、赤字を発生させる恐れがあります。
じゃあ、何故今の時期に行ったのか。
ウイルコムは元々、KDDI傘下にあって AU程の華々しい業績を上げている会社ではありませんでした。独立したことによってお互いの枷が外れて 定額化の波に乗って大きくなるのはAUでは無いかと思われていたぐらいですから。
シェアーがトップでも必ずしも儲かるというわけではないのです。
加入は出来ますが、いざ解約となるとウイルコムの解約できるのは・・・・と探し回る必要があるぐらい直営店も少ないでしょう。
もちろん、コンパクトだからこそ使う経費も少ないと成るのですが それにしても大々的に出てくるような会社では有りませんでした。
ところが、独立を前に京セラから、フラッグシップとも呼べるWEBの見れる端末が出て、データに強いウイルコムから始まって今回の音声通話の定額化までまるで、このシナリオが見えていたかのような綺麗な流れでプロジェクトが進んでいます。
あくまでも 非常にいい加減な予想ですが 恐らくウイルコムは2007年度までに全基地局のIP化を完成させるのではないかと。
その根拠は、先日のジャケットフォン。その発売時期を2007年頃としていた辺りに秘密があるのではと。
とすれば 現在の2005年から約二年の突貫工事になるでしょう。そしてそれだけの短い期間に行うと成れば短い期間にそれだけの資金が必要になる。
現在は、広告先行でも何でも ユーザーを集め当座の現金を増やすことに注力しなければ計画半ばで進みきれなくなる可能性も有ります。
現在の圧倒的な件数の広告や、これだけの魅力的なプランを一気に推し進めるのには理由があるのでしょう。
ジャケットフォンは、基地局側ではなくIPでの通信で利用できるVoIPと言われるIPに音声を載せるタイプの電話ではないでしょうかと想像します。
そういう形になれば、基地局は無線LAN(PHS)のルーターだけを置けば良くなる形です。
全部の電話がそうなれば、基地局建設のコスト及び維持は一気に安くなるでしょう。
勿論、そのときにはIPリソースの不足が出るでしょうから IPv6の導入が必然に成るかもしれません。
その上、携帯電話(端末)自身に固定のIPを振れるほどリソースが裕福なIPv6であれば固定のIPを降られた端末から フリースポットや家の無線LAN経由でのIP電話もサポートする事が出来るでしょう。
それも含めての音声通話定額化であれば、家の電話自身の全ての置き換えすら可能にしてしまいます。ビジネスとしては現在の布石は大きな一歩になる可能性は有ります。
将来的には結構夢のある話なのですが・・・・・
何となく出来すぎな気がするのですよね。今しなければいけない理由があるような・・・
ISDN事業はあまりNTTにとって採算性の良い事業ではなく IPに取って代わられた今、NTTですら音声通話をIP化することで価格的競争力を増やそうとしています。
で、あれば音声通話用回線も今後負担になってきますよね、その上ISDN・・・・
日本全国津々浦々に分布しているISDNは結構邪魔なのではないかと。
家庭用からは殆ど撤退したISDN。企業等では未だに利用しているところがあります。
そういったところにいい条件での代替が進めば、少なくともINS64は無くせるかもしれない・・・
まるでウイルコムの独立を支援するかのような、DOCOMOのPHS撤退。急いで、そうDOCOMOのPHS廃止の約2年と時を同じくして完成するウイルコム回線のIP化。
余りにも符号が合うと、巨大通信業者間の裏側を垣間見たような気になるのは えせ小説家だからでしょうかね?
この後、ISDNの廃止なんかがニュースに出たりすると・・・