Miss Lは、ローズバスが大好き 32

Mr.G:「Miss.L 科学の時間に童話の本読んだりしました?」
科学の時間って、学生以来だから十何年ぶり・・・って何を思い出させるの。そんな馬鹿げた問いに、そんな当たり前の答えは無い。何を考えているんだろうか?
「そんな不真面目な生徒ではなかったとは思いますが」
Mr.Gは肩を震わせて笑っている。
Mr.G:「そうでしたか、それは失礼。」
「何かおかしい事言いましたでしょうか?」
笑われた理由がわかっているだけに、はらが立つ。そうですよ、真面目に勉強していればもっと人生の選択肢がありましたョ!
Mr.G:「この本は、そういう本なんだよ」
ん?何の事を言っているんだろう?
Mr.G:「彼は、知ってのとおり科学の信奉者だが どうしても魔法を科学で証明したかったみたいで こういったものが残っている。」
Mr.Gが開いた本の中には、見慣れない生物の骨格図が書いてあった。
「この本が何か?」
Mr.G:「蝙蝠のような羽、鳥のような肋骨の構造、まるで猿のような腕の仕組み どこかで見た事は無いかな?」
と、言われても骨格図から生物の形態を想像できるほど勉強は出来なかった。
「さー、何でしょうね あまりみたことの無い生物であることは確かですね」
Mr.G:「ははは、じゃあこのページではどうかな?」
笑い声は癇に障ったが、そのページには驚くべき
「あっ、これってこの前の怪物じゃないですか」
驚きが声になってでた。
Mr.G:「彼が実現していたかどうかは解らないんですけど、そういった小動物を魔術に呼び出していたって記録はあるんですがね」
「じゃあ、あの怪物の正体がこの本に」
一気に話が解決に向かった。
Mr.G:「残念ながら、そう簡単にはいかないようですよ ここには書いてあるだけでそう言ったものが存在したかどうかも解りませんがね」
「でも、じゃあ そこから調べたら 何か解るかも」
Mr.G:「残念ながら、似て非なるもの 程度ですね。この本の通りでは生物として成立しないようですから あの延長線上ではないようです」
「じゃあ、無駄骨だったという訳ですね」
Mr.G:「そうでも無さそうです、これを調べている間に この事に異常なまでに執着した研究者の名前がいくつか出てきましたから」
「その中には、何か参考になる人の名前がありますか?」
Mr.G:「そこから先は、警察の仕事 でしょう」
話がそこで中断して、数十分で小柳刑事が現れた。
小柳刑事:「機能はどうもすいませんでした。」
私に向かって、頭を下げてそのままMr.Gの下に向かった。
小柳刑事:「何か進展がありましたか?」
Mr.G:「まあ、お茶が入ってからにしましょう。Miss.Lにも聞いておいて頂きたい」
「はい、お呼びですか?」
言ってから気がついたが、聞き耳を立てていたようで 迂闊に話してしまって少し恥ずかしかった。
Mr.G:「偶然にしてはいいタイミングですね」
いつも、癇に障る言い方をする人です。
小柳刑事:「お見えになったので、お願いします」
小柳刑事には私の存在より、事件の事のほうが気がかりだったようで細かい事に気がついている様子は無かった。
でも、ほっとした気持ちと 事件のほうが重要に思われるのも少し嬉しくないとは思ったりもして 少し複雑な気分。
Mr.G:「容疑者といっていいのかどうかまでは特定できませんが、きっかけになるものが一つ出てきました。詳しく言うと、ややこしいのですが こういったものを研究している人がいる事が解りました。候補は3人。しかし、消息のわからないのは一人だけ。」
小柳刑事:「そいつの名前は?」
Mr.G:「その前に、約束を一つしていただきたい。」
小柳刑事:「どんな事でも」
Mr.G:「じゃあ、あの方を呼んでいただこう」
小柳刑事:「あのかた? もしかしてあの方ですか? いや、しかし この事件は私のところで受け持った事件ですし」
「あの方って誰ですの?」
Mr.G:「この方の上司」
小柳刑事:「そして、史上最強の警察官」
「じゃあ、お呼びしたらいいですね。美味しいお茶をお入れしましょう」
Mr.G:「Miss.Lもそういってらっしゃいますよ」
小柳刑事の顔は、非常に困ったものになっていた。
「その方とは折り合いが宜しくないとか?」
小柳刑事:「折り合いが宜しい人は、警視庁広と言えどお見えには成られないとは思いますよ・・・」