Miss Lは、ローズバスが大好き 33

「へっくしゅん!!」
誰かが噂をしているのね!!
どうせろくなもんじゃない、あたしの噂を影でするなんてたいした奴じゃない。気の弱い小心者が陰に隠れて噂をしているに違いない。
どうしてくれよう・・・・・
相手を特定する方法がないのが悔しかったが、取り合えず目の前にいた男の頭を張り倒した。
“バチン”
男:「何するんですか!!」
「ふん!」
男は顔を真っ赤にして振り返ったが、殴り倒した本人を見た途端に一気に顔から血の気が引いて青い顔色になった。
男:「すいません、勘違いでした」
頭を大きく腰の辺りから大きく曲げた体に合わせて下げて そくさくといなくなってしまった。
どうも気持ちが治まらない。やはり噂をした本人を殴り倒すしかない。
婦警:「警視、お電話が入っておりますが」
「誰から? いい男からでないと出ないわよ」
婦警:「小柳警部からですが・・・」
「なるほど、これで殴り倒す相手が特定できたわけね」
婦警:「あの・・・・」
「何しているの、早くつなぎなさい」
婦警:「はい、すいません」
慌てた手つきで電話をつないだ。
「はいこちら正義の味方よ」
 
小柳刑事:「まもなくお見えになるそうです。何でも、私に急ぎの用があったのでちょうどいいと仰っておられたのですが?」
Mr.G:「それは決していい事ではなさそうですね」
小柳刑事:「じゃあ、寝た子を起こすようなことは止めてください」
Mr.G:「いえ、有能な方ですから ご協力をいただかないと」
小柳刑事:「有能過ぎなければいいんですが。」
ちっとも話がわからない、どうも 呼び出した人は小柳刑事の上司でかなり癖のある人間らしい。
どう聞いても、有能な方だという結論にMr.Gも小柳刑事も依存は無いようであるが 正義の塊のような小柳刑事がそれを押してまで呼びたがらない人って。
鬼のような人なのかしら?
「その方は、怖い方なんですね 小柳刑事がそんなに怖がるなんて」
小柳刑事:「いえ、非常に美しい女性ですよ 本当に」
まったく意味がわからなかったけど、そういう人なのでしょう。
小柳刑事:「容疑者の名前は判っていますか?」
Mr.G:「Dr.コーネル と呼ばれていますが 実際の名前は判ってはいません」
小柳刑事:「居場所はある程度特定はできているんですか?」
Mr.G:「そこで、上司の登場となる。」
小柳刑事:「登場なさらなくても、何とかなると思うんですが」
Mr.G:「では、彼女が到着する前に出かけますか?」
小柳刑事:「呼び出しておいて、いなくなったら後が怖いじゃないですか!」
Mr.G:「お待ちになるようだから、改めてお茶を入れてくれる? Miss.L」
首を大きくしなだれて、小柳刑事は無駄な議論を打ち切った。
Mr.Gは、そのままいすをくるりと回していつもどおり窓のほうを向いてしまった。
疲れ果てて家に帰った人のように、ソファーに背中から体を投げ出す小柳刑事の姿。
「どういった方なんですか? その女性」
小柳刑事:「正義感が強くて美しい女性ですよ」
「うーんと、そう言うのではなくお茶の好みとか、好きな食べ物とかご存じないですか?」
どういった人かがわからないと、お茶の準備が出来ないじゃないですか。
小柳刑事:「ジョッキビールとか、一升瓶のラッパ飲みなんかが好きなお茶じゃないですか?」
「それって、お茶じゃないじゃないですか!!」
小柳刑事:「ははは、来られたらうやうやしく聞いてみればきっとそういいます。」
思わず、警察官ですよね? と聞いてみたかったがぐっと我慢した。
聞くだけ無駄だし、そう言った事には答えてくれそうに無いから。
「じゃあ、好みの食べ物とかは?」
小柳刑事:「塩辛、一夜干、めざし ってところですか。あと刺身なんかも好きですね」
全部、酒のあてじゃない・・・・食べ物の好みって言うのかしら?
だいたい、それに合うお茶なんてないし。
う〜〜ん!!
「念のために聞きますけど、本当に女性の方ですよね」
小柳刑事:「生物学上、紛れも無い女性ですよ、外観も含めて」
「じゃあきっと、さばさばした性格の気持ちの良い方なんでしょうね」
小柳刑事:「ええ、きっとご本人は気持ちがいいと思いますよ」
なんだか回答が微妙にずれているような気がした。