あまり社会的なことはいいたくないのですが

現在、テレビのワイドショーの主たる話題は強度計算の偽造されたマンションの件。
孤軍奮闘、テレビに出てくるのは販売会社社長が毎日登場します。
「私財をなげうってでも・・・」と訴えている姿が毎日見て取れます。
搭乗する社長に対して、コメンテーターといわれる方が、説明責任があるとか 管理責任がと責める姿が視聴率を支えているようです。
建築会社は、涙を流しながらの会見で 倒産を昨日発表していました。
恐らく住んでいらっしゃる方のご心配はいかほどのものかと思います。
 
わたしは、どれも心理を付いていて悪くは無いと思うのですが 感情論はともかく実質的にはどうなのかという事は、テレビの報道は伝えてくれないようです。
もちろん、全ての根源は誰がなんと言おうと、書類を偽造した一級建築士でこれは恐らく間違いないでしょう。
ある意味、建築会社の社長、販売会社の社長の証言が正しければ彼らも被害者です。
建て替えにかかる費用は150億円〜200億円。販売責任があるということで販売会社の社長は行政への協力を呼びかけています。
責任を問うべき建築会社が自己破産した以上、当然、支払いに当てる資金があるぐらいなら破産しないので一銭のお金も出ないでしょう。
この破産も、恐らく銀行が手を引いたのが原因で回転資金が不足した故のことだと思います。
じゃあ、住民の方々に弁済できそうなのは 販売会社若しくは 行政以外の選択は無いかと思います。まさか、個人の建築士がどうこうできる金額ではありません。
 
販売会社の社長を、ワイドショーで非難するのは非が無いことではないから良いでしょう。
それは、最後まで考えての発言なら良いと思います。
この方が正義の人(実際はどうあれ)であり、責任を自覚し 行政と協力して支払いを続けるという立場を取り続ける限りは良いのですが、一転 悪の枢軸で最終の責任者というレッテルを事実はともかく張られたらどうなるのでしょう?
現在であれば、銀行も表立って手を引きにくい状況でしょう。何故なら、この会社が倒産すれば誰も弁済能力はありません。
住民の方々は、現在の住宅ローンに付け加えることの、新しい住居費を最低限払わなければいけなくなってしまいます。
それどころか、現在住んでいる住居も住宅ローンの担保としての価値を失い 担保の追加若しくは資金の一括回収を要求される結果になってしまいます。
恐らく、多くの人は支払いすることも出来ずに終わってしまうことでしょう。
今回の発表のあった時点で、気の早い銀行は回収にかかっている可能性もありますが マスコミに訴えられれば大きな企業イメージのマイナスに繋がることでしょうから どこかが動くまで状況待ちと言うところでしょう。
同様に、払う意思をテレビに出て訴え続ける限り 販売会社は払える可能性を残しますが、先ほどの後者として 非難しかされない立場になったとたんその望みが絶たれる可能性があります。
 
恐らく、倒産したほうが楽になれると思います。
150億の支払いは、今後利益を積み立てて返済してゆかねばなりません。
社員も辞めてゆくでしょうし、事業もこの騒ぎが収まるまで停滞してしまうでしょう。
利益の上がる事業に少なくとも手を出すことはしばらく出来ないでしょう。
倒産してしまえば、現在どこかに資金を隠しているなら ほとぼりの冷めた頃に再起することも可能でしょう。
しかし、払うと(口だけだとしても)がんばっているのです。
非難している有識者といわれる人は、この人を悪人にして社会的に葬り去れば、次の話題に移るだけの無責任な立場だから良いでしょう。
この事件に巻き込まれた住人の方々には、一生の問題なのです。
払いきれないお金を払う選択しか残らない可能性を、有識者の人々のせいで選択せざるえない環境になるかもしれません。
なぜ、その事まで思いが巡らないのでしょうか?
 
もちろん真相は重要ですし、それに対する法の裁きも必要でしょう。
それは、当事者たちが語ることで 無責任な野次馬に命運をゆだねられるべきものではないと思うのですが・・・・
あくまでもマスコミは、表現は力なのです。
武器と同じで、扱う側は それだけの責任を持って扱うべきものです。
この事件で、間接的に自殺者すら生み出す可能性を十二分に秘めています。
販売会社社長、支払い過多になった住民 他、
出たときに、誰か訴えますか?