200gPCに挑む

「目標14271327件!」じゃあないんですけど(ローカルすぎてわからない人多数だけど)200gPCとは大きな目標です。
昨日の話では無いのですが、HDDザウルス並みの重量で尚且つHDDザウルス並みの価格でPCを成立させるのですから夢のようなプランです。
まあ、ここでは200gをターゲットにしていますしキーボードもいらないしWifiBluetoothを搭載していることからDELL PDAをテーマに考えて見ましょう。
 
DELLのもっとも高額で重量の重いのがおそらくX51V。実物は持ってないのですがX50Vは持っていますので近い性能でしょう。
まず、同重量に設計するための大前提として、バッテリーは少なくとも同等以下のものである必要があります。
SofmapでノートPCを持ってみれば判るとおりに、バッテリーの外されたノートPCは非常に軽量な物です。バッテリーの重量にしめる割合が40%近くのものも多く存在しますのでここが重ければ液晶のサイズの大きいORIGAMIは成立しなくなります。
なんといっても液晶パネルはガラス版です。サイズと重量は比例的に大きくなります。
例えば同等だとイメージしてみましょう。
現在のX51Vのバッテリーですが
3.7V 1100mAですので 4.07VA
現行ORIGAMIが
10.8V 1600mAですので 17.28VA
ついでに Vaio−Tが
7.4V 7800mAですので 57.72VAとなります。
ORIGAMIはPCながら小さなバッテリーでがんばっていると見えなくもありません。
しかし、駆動時間割して見ましょう
X51Vはカタログ値 8h。
PDAの連続駆動時間は、あてにならないという人もいますので X51Vだけに関しては2hも参考値として計算しましょう。
ORIGAMIは2.5h VAIO−Tは9hがメーカー公称値です。
1h辺りの電気の消費は
X51V(8h) 0.5VA
X51V(2h) 2.0VA
ORIGAMI  6.9VA
VAIO−T   6.4VA
となります。
X51Vを2hと計算しても現行の1/3以上の消費電力の削減に努めなければならないわけです。
こうして比較してみると鳴り物入りで出てきたORIGAMI一号機は思った以上に電力消費の面ではVaio−Tに比べて良くない要素が多いようです。
やはり、コストの面で・・・・・
もしかしてと疑ってみたいところなのですが、やっぱり。
この間ORIGAMIを剥いた記事を見ていたときに気が付かなかったのですがC7ULVの採用で消費電力を〜っと日記に書いていたのですが、そのかいていたCPUを採用していないのです。
実はC7 ULVにはいくつかの周波数のものが存在し その中でも1Gのクロックのものは770と778779の2機種が存在します。
778779は先日書いたとおり、TDPが3.5Wの超低消費電力モデルです。770はTDP5Wで消費電力が低いことは確かなのですがPentium−Mに比べてものすごく凄いほどではないのです。
つまり、現行のPCのレベルを大きく超えるCPUではなかったのです。がっくし・・・
CPUだけで考えると未だ30%の省電力化が計れるはずなのですが採用されていませんでした。
ともあれ、チップセットCPUの合計で消費電力の1/3〜1/4ということなのでその効果はCPUとチップセットが半々で消費するとして最大5%の低減なので7分程度伸びるだけなのでチップセット込みで新しくなって、15分程度のバッテリー能力の向上は測れるかもしれません。
うまくいけば約3時間とうたえるレベルになるわけです。
まあ、それでも1/3の諸費電力にしなければ200gPCが成立しないので1・3を考えましょう。
もう一つVAIO−Tとの比較で大きなポイントは電池の電圧。
内部の処理を総て5V以下で行うのであれば、最大だけでなく電池の消費による電圧降下があっても動くように 20〜30%は余分を見たバッテリーを設定することが普通です。
故にVAIO−Tは7.4VなのですがORIGAMIは10.4Vです。何故でしょう?
ここにコストの問題が大きくのしかかっていると思われます。
バックライトの光源をコストの安い冷陰極管を採用したことによるものでしょう。
高圧を発生させて点灯させる光源ですのでこの為にこの電圧を採用したのではないかと思ったり思わなかったり・・・・
とにかく電圧を上げるのは効率が悪いので、勿論下げるのも上げるほどではないが効率が良くないのでこういう結果でしょう。しかし、コスト上この選択はしょうがないものではないかと思います。
もう一つ、無線に関する部分で、Intelのチップよりも不利になる点は避けられないはずなのでその問題もあるでしょう。コストから考えると検討したほうだとは思います。
いや、コストも制限があるのです 200gPCには。
 
大きなポイントとしての二つ目の要素として記憶装置。
1.8インチHDDを1インチにすると消費電力はぐっと下がります。回転する円盤の質量が下がりますしヘッドの移動量も減りますから消費電力的にはずいぶん楽になりますがそれでも、先述のザウルスと同等のレベル PDAに対して消費電力をうたう部分にはなりません。
その上、RAM(これはD−RAMです)が64Mから512Mまで増えているわけですから記憶装置の部分ではRAMの消費が 電源の入っている時点で8倍になります。
この部分がマイナスとなるでしょう さあ、どこで埋めましょう?
 
三つ目の要素はやはり液晶画面
ORIGAMIが中途半端な解像度であるのはやはりコストが大きなポイントとなっているのでしょう。7インチの液晶で800X480は一般的な、2万円弱で販売されているDVDプレーヤーの少し解像度の高いモデルに搭載されているワイド液晶なのでしょう。
720x480のDVDの画面を少しだけ横に余裕をもったぐらいでしょう。
この液晶が3.7インチのPDA液晶に対してどうかというと、消費電力は2倍程度にまで跳ね上がります。
ただ、インチ辺りの解像度が低いのでバックライトの明るさが少し低いのが僅かなプラス材料。それを差し引いても二倍の消費電力は避けられないでしょう。
ちなみに、液晶画面の消費電力はデバイスにも寄りますが1/3〜1/4なので倍になると非常に大きな痛手になります。
勿論コストさえがんばればバックライトにLEDを使って照らす方法もありますがコスト高になるのと、PDAの中には既にLED照明のものが多いので大きなマイナス要素にはなりません。
 
単純に考えて、プラス要素しか現れないわけです。
その上、ケースとなる外装も2倍ぐらいの質量は最低。大きくなれば重くなって(重くなっちゃ駄目だけど)ケースの強度が必要になるので本来は4倍程度の重要となるでしょう。
非常に難しい問題です。
まあ、出来ないことばかりを言うのは簡単で、そこからは新しいものは生まれない。
ただ、可能なパターンを考えた場合、コンテンツサービスを伴うPCならばという方法もあります。
個人に対して、バーチャルサーバーとしてインターネット上に仮想PCを割り当てるサービスをインテルが始めた場合は成立可能なサービスとなるかもしれません。
WiMAXという新機軸の無線サービスの案内も同じカンファレンスで触れています。
WiMAXで接続されたインターネットに接続し、独自の認証方法と暗号化技術を使って接続されたPCではWindowsXPが動作しており、あたかもORIGAMIデバイスで動作しているように動くという方法があります。
個人に対して、40G程度のHDDが割り当てられており、本体のUSB端子やBluetooth端子から接続されるローカルな記憶デバイスにデータをコピーしたり、ローカルに繋がるプリンターに出力する仕組みなどがあればwindowsXPが動くPCとして動作をしているかのように見えます。
勿論、VISTAの3Dインターフェースに耐えられるターミナルがあるかどうかの問題はありますが、いまはXPの二次元インターフェースで十分に事足ります。
それならば、フラッシュメモリーとPXA270の後継CPU上で動く WindowsCE.NET上のアプリケーションとして動作させることも難しくないことでしょう。
コスト的にも通信費用を考えなければ、ORIGAMI価格で十分可能でしょう。
ただ、これもORIGAMIといえるかどうかがポイントとなるのでしょうが・・・