電話とテレビの電波

携帯電話にワンセグチューナーが付いて、何処でもテレビが見れるようになりました。
ところが、少し地方に行くと見れなかったり山之上に行くと見れなかったりとワンセグ放送を見れないエリアが沢山あります。
やっぱり携帯電話は凄いと思わされたりしながら見ているわけですが、よく考えたらテレビは日本中方法は違えど普及率は100%に僅かに足りない程度、逸れに比べれば県庁所在地の普及率こそ100%の携帯電話には、通話できないエリアが存在します。
勿論、屋根の上にアンテナが立っていたり、それも巨大なサイズだったり、通信方式が大きく違う衛星放送だったりと手を変え品を変えて電波を届けるテレビと同等で考えてはいけないようです。
しかし、いずれ地上波のアナログ放送が停波すればその空き帯域を使える放送は地上波アンテナを立ててみることの出来る地域すべてで受信できるようになるだろうことは想像に硬くありません。
そのときには携帯電話ももっときめ細かくサポートされているでしょうけど 度重なる規格変更で高速化を計る携帯電話は普及率が追いつくことがないかもしれません。
いつの日か昔の携帯電話のカタログを見て、「通話可能な地域が全てワンセグの視聴地域ではありません」という注意書きが、笑い話になる可能性も低くない確立であります。
そういう日が来るかと思うと少し怖いのですが・・・・
 
PHSのハンドオーバーが問題視されるからなのか、移動中の乗り物からの通話に関するレポートは良くあります。
現在主流の3Gの通信に関しては、CDMA方式も初め 複数の電波を束ねて使う方法を取っている為に複数の電波の中には移動先の基地局からの電波も含まれていることが多く、何本かの一本が次の基地局に変わりながら接続が基地局間を移動しますので、それこそ新幹線やリニアモーターカーの最高速度にでもならない限り、データ通信の通信速度の変化はあれど 通話程度の低いビットレートでの通信は影響を受けないというのが普通です。
もちろん、移動中の電車や車の中で通話することが良いか悪いかは別としてなのですが。
PHSの場合は携帯電話が数キロの範囲を持つ基地局を配置しているのに対して、500m程度の出力しか持たないアンテナを利用していますので、同じ仕組みを利用していても、電波の切り替わりが間に合わなくなり切れてしまうこともあります。
同じ理屈で、テレビ放送は移動中に視聴できるのかを実験を行う人のBLOGが見受けられます。
電波状況の変化と、ワンセグの受信感度とのせめぎあいは十分に楽しめるのですが 今のようなハンドオーバーに対する耐性を語ることは決して技術的に正しくないことなのではないのでしょうか?
 
例えば、東京地区のテレビの電波は東京タワーから発信されています。大阪では生駒山という山の上の鉄塔から送信されています。
東京に住んでいてビルの陰で電波が届かない人ならともかく、多くの人はVHFのアンテナを東京タワーに向けています。
同様に大阪では山に向けています。
それだけでテレビは受信できるのです。
逸れに対して、携帯電話のアンテナは 町のあちこちに有ります。
勿論、テレビ局の電波を送信する出力と 携帯電話の基地局では比べるべくもありません。
しかし、例え出力を揃えたとしても 東京地区1本だけでと言うわけに行かないのが携帯電話の難しいところです。
禅問答のなっていて判りにくいのですが、テレビの放送は一方通行で基地局から送信された電波をテレビの受像機は受信して映し出すだけです。
携帯電話は、基地局からした受信した電波を音声信号に変えて聞くことはテレビと同じですが、こちらの声を相手に伝える必要があります。
ところが携帯電話の端末は、手の中に隠れるサイズだったり、二つ折りになってポケットに入るサイズ。ここから送信される電波も基地局は受信する必要があり携帯電話の基地局は送信局であり受信局である必要があります。
大きなアンテナを立てた基地局ならともかく、見かけではいまやアンテナも付いていない携帯電話の端末から送信される電波など微弱な物。それを受信できる範囲などたかが知れた範囲なのです。
つまり、携帯電話の基地局は送信した電波を携帯電話に届かせることが出来て、尚且つ携帯電話の電波を受信できる機能のある範囲にある必要が有ります。
昔、PHSで通話中に相手の声は聞こえるけどこちらの声は届かないなんていうことがあったのですが、これはそのバランスが崩れて 電話機からの電波が基地局に届いてないときに起きる現象です。
というわけで、一つのアンテナのカバーする範囲が大きいテレビの放送は 移動する車両の中で受信していてもハンドオーバーに失敗することはないのです。というよりハンドオーバーは起きないのです。
 
しかし、電波には到達距離に限界があります。
東京では東京タワーから離れすぎてしまえば、電波そのものが届かなくなり受信できなくなります。
その際自動的に隣の県のアンテナに切り替わるのかと言うとそうではなく、受信できない状態で止まってしまいます。
これは、例えばフジテレビは東京近郊エリアの放送局で、静岡県では系列局はありますが別のテレビ会社なのです。そして、使われている周波数も違うし 全国放送の番組でもない限りプログラムも違うのでかってにローミングしたりは出来ないわけです。
もちろん、自動的にキー局を繋いでチャンネルを帰る昨日が付いているとかなら別なのですがそれでも、切り替わった瞬間に違う番組になってしまうことも少なくないでしょう。
 
ラジオもそうで、電波の周波数が短ければ地球の半球全部に届いているような放送もありますのでこれもハンドオーバーなどする心配はなく、マッハで移動中の飛行機の中でもハンドオーバーの問題が起きることはありません。
もっともマッハで移動中の飛行機の中ならハンドオーバーは起きなくても、ドップラー効果で波長の伸縮が起きて、ちゃんと受信できるかどうかは別なのですが・・・・
ワンセグ放送は最初に携帯電話から普及して行っています。
同じ筐体の中にあれば、そして新しいメディアであるが故に携帯電話の電波の上にあたかも乗っているような錯覚を起こしているのは面白い話です。