名機

デジタルな世界で「名機」と呼ばれるものは その時には存在しても未来に向けては存在しません。
あまりにもいきなりな話ですが、日進月歩のデジタル技術の中では 例えば如何にCASIOのQVシリーズが35万画素のカメラとして名機といわれていても、今なら携帯電話のカメラにも叶わない画質なのです。
勿論、時代を語るものとしてコレクションの対象にはなるでしょうが それは実用面を無視した話。
いくらClassic MACの価格が上がってもそれを現役で それも最先端で使うためには逆にコストが高くなりすぎるのです。
また、例えばPDAのようにフラッシュメモリーを搭載している機器には、フラッシュメモリーの物理的書き込み限界がいずれやってくるので(多くは現在CPUの中に実装している)寿命は必然的にあるわけです。
時代の壁はなかなか越えられないものなのです。
ところが、時代を超えてそういった機械を使わせる価値観も存在します。
それが、人と触れる部分のインターフェースです。
この部分の難しいところは、如何に優れていようとも熟練を要するもの 若しくは熟練を要して身に着けたものを手放してまでそちらに行く為の敷居が極めて高いと言うことなのです。
 
最近のデジタルカメラを使っていて、ズームと言う機能が付いています。
ズームは、遠くのものを近くに見せるべく 像を工学的に拡大する技術です。
勿論デジタル的に拡大する技術もありますが。
デジタルはともかく、工学的に焦点距離を変える為には、レンズとレンズの距離を帰る必要があります。
人の目のようにレンズの厚みが変化する構造ならその必用もないのですが、現状の技術ではレンズを動かすのが早いようです。
デジタルカメラのCCDが小さくなり高画素になりました。
CCDが小さいと言うことは、必然的に接眼側のレンズが小さくなり パッケージの問題もあってズームで動く距離も地位さkなりました。
3倍程度のカメラであれば、1cmも動けば十分にズームが可能なようです。
技術的にはすばらしいと思うのですが、その操作感です。
1cmを微妙に調整することは手では難しく、結果的に小型のモーターでレンズの動きを制御します。
少し安いカメラを買うと判りますが、ズームに段があり 止まる点が指定されているのか うまい場所にとまらないこともあります。
この辺りはモーターを如何にうまく制御するか(例えばレバーの角度で動く早さを調整したり、動き始めを遅くその後段階的に早くなるような仕組み)が使いやすさのポイントとなります。
 
APSと言われるフィルムカメラデジタルカメラの登場と殆ど同時期に登場します。
そのときにフィルムを小型化することで、カメラを小型化することが出来るというサンプルが沢山登場しましたのでデジタルカメラは比較的自由なCCDのサイズを駆使し 色々なタイプが出てくるわけです。
では、その前はと言うと フィルムのサイズは35mm幅が殆どでした。
8mmや16mmという動画の名称もフィルム幅から来ていますので 静止画とはいえ映画館で上映する映画と同様のフィルム幅を持っていたということは、その美しさを問題とする際にはかなりの素材を与えられていたと言うことでしょう。
故に、カメラの魅力にのめりこんだ人は多く、その趣味も多彩になったわけです。
ズームレンズは、その趣味に大きく幅を与えた商品でした。
 
今でもタイガーマスクなど昔のアニメを見ると出てきますが、テレビカメラはレンズが3っついた姿で出てきます。
ズームレンズが出る前には、顕微鏡のようにレンズを切り替えて撮影していました。
遠くをアップにするレンズや、全景を取るレンズという風に使い分けているわけです。
これが、レンズ設計の技術の進歩でズームレンズの登場となるのですが・・・・
最初のズームレンズは動き幅も大きく筒をもって前後に動かしてコントロールしてきました。
ただ、細かい調整が難しいので、回転運動を前後運動に変えるような仕組みが登場します。
そして、如何に滑らかに そして軽やかに動くかを各社で競い始めるのですが(勿論、レンズの性能ありきですよ)
ある程度までそういった技術が進むと、軽く進むだけであれば誰でも出来るようになり 今度は操作中にある程度動きをうまく抑制する 回転に対する粘性みたいなものが要求されてきます。
もちろん、ストレートに前後で動かして 高速に操作が出来るもの、相変わらず回して制御するもの と種類は分かれて行く訳なのですが レンズは人の手で動かすものであったので どうあれレンズを左手で抱えて操作するのが基本の形となりました。 
最近、デジタルカメラを購入しての不満点は、私にとっては正にここで シャッター横についているボタンでズームを動かすと言う行為に 体がなじまないと言うことなのです。
コンデジで、ズームリングを持っているのは フジやコダックの大型の機種にあるだけであり、それ以上はレンズを交換する必要があり操作スイッチが本体側に置けないデジタル一眼になってしまいます。
勿論、レンズに操作系をつけるという事は かなり大きなカメラになってしまうのでそれはそれで困り者なのですが・・・ 
では、今の人にそういう話をしても 上記の説明が必要なぐらいの話で 生まれたときからカメラのズームはスイッチで 形態のカメラを最もよく使う層に言っても判る話ではないのです。
 
悲しい話ですが現実で、実際にどちらが良いかは私には判りません。
それどころか、センサーが顔を判別するぐらいですからいずれズームも人の操作するものではなくなるかもしれません。
ただ、私がいくら そういったカメラを名機と言って ズームリングの付いてる機種が出るまで何年も買わずに待っていたりしても 自己満足にしかならないんですよね。
ハードの進化と、インターフェース、人の進歩の総てが揃って次の世代に動くのですが、名機って どれかが欠けている時に登場するものなんですかね?
勿論、熟練と技術によって次の世代すらも凌駕するってのが最高にCoolで面白いんですけどね。それがジャンク漁りを正当化するとは思えませんが・・・・