Miss.Lの幼馴染2(創作です)

「胸が無くて助かったわね」
ルージュとよばれる女性がにこやかな笑顔で言う。
「うるさい!! でかけりゃ良いってもんでもないでしょ!!」
Miss.Lがはじけとんだボタンの様子を見るように自分の胸の辺りに視線を移していたので 外に向けて聞こえるような 聞こえないような声で言った。
確かに胸は無い・・・・いや、そんな場合じゃない。
要約からだが動き出し、目の前に突き出していた右腕が地面を叩くように動いてからだの向きを変えるように回転しながら飛び起きた。
奇襲がうまくいかなかったので 両者の間に動きを止めた緊張感が漂った。
私が動きを取り戻したように、動きを凍結していた周りの人たちも動き始めた。
 
蛇のように不気味に銀色に光しなる剣をもって、まるで泥の中を歩くように高く足を地面から離さずに体の向きを変えずに移動してゆく。
空気は凍りついたように固化しているが、唯一二人の女性の顔は体の中からあふれ出る気持ちを抑えきれないように笑みが浮かんでいる。
私は精々、引きつり笑いというところだった。
Miss.Lがもともと刀の入っていた袋を拾い上げた。
ルージュと言われる女性に投げつけると、投げつけられた袋に向かって刀の刃が。
 
最近、ここに来る楽しみは香りもある。
お茶のおいしさの半分は香りで出来ていると思うのは、味覚音痴だからだろうか?
少なくとも、飲む前に香りだけでゆったりした気分になるわけだから あながち味音痴を自称する必要も無いだろう。
見えるわけは無いのだが、体にまとわり付いている風の中には香りを含んだものだけは 湿度が高く体にまとわり付くような感覚がある。
何より楽しみなのは、ポットに被せてある何と言うのだろう?保温用のカバーを取った瞬間に最高潮の広がりを見せて、水の中に石を投げ込んだときに出来る波紋のように部屋の中に広がってゆくように見える。
そして、それを越えるような香りが楽しめるのは お茶を口の中に含んだとき。
口の中に中途半端な地の香りが無ければもう少し楽しめるのに・・・・
さっき座り込んだときに口の中をきったようだ。
 
「紹介します、先生 私と同門のルージュさん」
最近、気になるのはお茶のときにMr.Gが自分の席を離れて飲みにくること。
心なしか減量されたように見えるが 歩いても地面が振動しないのはこの建物の建て付けがよいからなのかと思わされる。
まあ、いすがかわいそうなのは換わらない体重のようには見える。
それより、危なっかしい女性は同門で尚且つ"さん"付けで呼ぶことだった。
確かに一撃を放った後は 投げた袋に刀を納めて親しそうについてくる。
かなり危ない状況だったとは思うのだが、私の次元を超えた動きだったのでその先は創造でしかない。
 
「わざわざお見えになったのは、何か目的があってのことですか?」
Mr.Gは挨拶もそこそこに単刀直入に聞いた。
「多分、第一目的は私を殺しにかしら?」
Miss.Lはこともなげに答える。
いつも思うのだが、そういった話が最も似合わない女性だと思う。
今も、お茶を入れ終わった後には目を細めて紅茶を眺めながら言う言葉ではない。
「誤解が解けてよかったわ」
ルージュと呼ばれる女性が言った。
多少つまらなそうに見えるが、特に最初に会ったときのような妖気のような恐ろしさは無かった。
「では、正式にご依頼ということで」
Mr.Gはティーカップを持ち上げて言う。
示し合わせたように、Miss.Lとルージュと呼ばれる女性もティーカップを持ち上げた。
出遅れた私のカップはテーブルに置かれたままであった。